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公園の代わりの場所が、公園の代わりになっていない。〜杉並区の保育園問題(1)〜

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杉並区の公園転用は、他の保育園反対と一緒にできない

5月末以来、杉並区の公園を保育園に転用する問題を追ってきた。Yahoo!に書いてきた記事を読んでもらうと、これまでの概要がわかるので、この記事の最後にリンクを置いておく。詳しく知りたい人は読んでほしい。

久我山東原公園に関する、5月30日の4時間にも及んだ説明会がニュースで放送され話題になった。保育園が必要なのは十分理解しているが公園を潰さないでほしいというのが住民側の主張だが、杉並区側は突如判明した来春予測される560名の待機児童のためにはどうしても必要だし議会でも通ったことだという説明。7月後半にも説明会が行われたが紛糾した。

私はこれまで、保育園を増やすべきだとの考え方にたち、首都圏の各地で起こる反対運動を取材し忸怩たる想いでいた。だが杉並区のこの件は、公園の転用だ。他の反対運動と一緒くたにできないし、公園はむしろ保育園同様、子育てに欠かせないインフラだと思っている。見逃せない案件だととらえ、ここまで事態を追ってきた。

8月1日に公園は閉鎖され、代替地が整えられた

杉並区は住民から異論が出ようと予定通り進めていき、8月1日には公園が閉鎖され、工事が始まっている。どんな様子か気になっていたが、平日はなかなか行けない。7日の日曜日になってようやく行って写真を撮ってきた。それを見せながら、現状を解説したい。

今回の公園を保育園に転用する問題は、5月に杉並区が緊急対策宣言を出し、区が保有する11カ所の土地に保育園をつくる計画の中に4カ所の公園が入っていたことで起こった。公園を利用する親たちから沸き起こった異議に対し、杉並区は代替地を確保するとしていた。とくに反対の声が多かった下井草の向井公園と、久我山の久我山東原公園に、代替地が確保された。

向井公園の代替地は、あまりにも無雑作な空間だった

まず向井公園に行ってみた。日曜日だったので工事は何もしていなかった。工事が始まったとは言え中はほぼ手付かずで、まだ公園として使える空間の入口が閉ざされ、蝉の声は賑やかだがさびしい場所となっていた。

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奥にはネットが張られた場所があり、安心してボール遊びができるのだが、もう使えない。私が前に来た時には、近所の保育園の子どもたちがボールを楽しげに蹴っていた。あの子たちも、もうこの公園は使えないのだ。

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同じブロックに代替地があるので行ってみた。前に来た時は草ぼーぼーの空き地だったが、整地されている。

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これ、代替地というが、代替できていないと私は感じた。とくにこの猛暑の中、ここで子どもが遊ぶはずがない。熱中症になるに決まっている場所だ。向井公園をやさしく覆っていた木陰はここにはひとつもない。平らで無機的な地面があるだけで、あとは申し訳程度の遮光された場所があるだけ。

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さあここで遊んでください。そんな気持ちは微塵も感じられない。約束通り、代替地を用意したからこれでいいでしょ、遊べるでしょ、日陰も水飲み場もちゃんとあるからいいでしょ。そんな風にしか見えない。代替地を用意すると聞いていたので、あの空き地もそれなりに整備するのだろうと思っていたのだが、これはちょっとびっくりした。

向井公園に来ていた保育園の子どもたちは、ここは絶対使わないだろう。保育園を建てるために、別の保育園を困らせるのは矛盾がある気がする。

久我山東原公園の代替地は、代替地になっていない

次に、電車を乗り継いで久我山にも行ってみた。こちらは5月末と7月末に説明会の様子がテレビで報道されて話題になったところだ。駅から歩いて5分ほどの井の頭線沿いにある、代替地に行ってみた。

前に来た時はまだ草が生い茂っていて、線路のすぐそばにあるし、住宅にも接している。久我山東原公園は子どもたちがボール遊びをしていたのだが、その代替地という意味ではここでボールを蹴ると、線路に入りかねないし住宅の壁にもぶつかりそうだ。そこをどうするのか気になっていた。

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なかなかわかりにくいと思うが、こんな風にいちおう整備されていた。線路よりずいぶん手前に金網が張られている。住宅も網で囲われている。これならボール遊びもできるでしょ、という考え方なのだろう。だがそもそも、この場所は地面の高低が均されておらず金網があろうがなかろうがボール遊びはできない。下井草同様申し訳程度の日陰しかなく、猛暑の中誰も遊ばないだろう。

「はいはい」と杉並区が言ってるかのようだ、「はいはい、あんたたちが代替地はどうしたというから、用意しましたけど何か?」そう言われているような感覚に陥る。

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「遊び場111番」とある。ちなみに下井草のほうも「遊び場112番」の看板があった。公園ではない、という意味だろう。それに「代替広場を開放するまでの暫定開放」というわかりにくいことが書かれている。

この土地は京王電鉄の所有で、もともと緊急計画第一弾で保育園予定地になっていた場所だ。ところが京王側の事情で保育園にできなくなったらしい。そこで東原公園の代替地に急きょなった。一年間しか契約できていないので、ややこしい表記になっているのだろう。

保育園の予定地が、公園に保育園を建てるための代替地になっている。なんだかわかりにくいし、だったら京王電鉄にお願いし倒してここを保育園にできないのだろうかと考えたくなるだろう。

久我山東原公園にも行ってみた。ここは公園の40%を保育園に使い、60%は残る。40%の部分は平たくて運動しやすい場所だった。ボール遊びもみんなしていた。60%の部分は岩がつまれ小川のように水が流れている憩いの空間だ。運動ができる空間と憩いの空間が接しており、さほど広くはないが完成度の高い公園だ。このあたりには公園がないので22年前に住民たちからの願いで作られたのだ。みんなの要望がうまく形になっている。

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60%の憩いの空間側から40%のほうをみたのが上の写真だ。60%残ると言われるとよさそうだが、40%がなくなると60%の部分もかなり価値が薄れる。それはそうだ。両方あるからいい公園だったのだから。

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囲われた中を見ると、こんな状態。もう何か壊されたようだ。近いうちに、立派に育った木も切ったり枝を切ったりするらしい。

向井公園も、久我山東原公園も、代替地は申し訳程度のものだった。保育園転用の計画をぐりぐり進めるために、とにかく作ったといったところ。形だけ整えたと言っていいのではないだろうか。私はこれは大きな問題だと思う。

「都市公園法」によると、公園は簡単には転用できないはず

というのは、公園はそもそも簡単に転用できるものではないのだ。都市公園法という法律がある。法律があるという時点で、公園というものが重要な存在でありだからこそ法律で規定されているのだと認識すべきだろう。その第十六条「都市公園の保存」という箇所を読むと、今回の杉並区の判断と進め方にいろいろ懸念を感じてしまう。そして議会でどんな議論があって承認されたかも気になるところだ。

この都市公園法について、そして議会での議論について、さらに記事にしていくつもりなので、続きを待ってほしい。

少なくとも言っておきたいのは、「公園より保育園のほうが大事に決まっているだろう」とか「子どもの遊び場ごときより待機児童で悩んでいる親の悩みのほうが深刻だ」とするのは早計ではないか、ということだ。公園と保育園は優劣などつけられない。どちらも子育てをサポートする重要なインフラなのだ。そういった考え方も、追い追い書いていきたいと思う。

私は、この杉並区の公園転用の問題は、平成の日本にとってかなり重要度の高い案件だととらえている。いろんな課題を象徴していると思うのだ。

※参考記事
杉並区の保育園問題。公園転用への反対は住民のエゴではない。
杉並区の保育園問題。転用に直面した公園で出会った3人の人物。
杉並区の保育園問題。もうひとつの現場、井草地区では住民による代替案が提示されている。
杉並区の保育園問題。『TVタックル』で言えなかったこと~公園とは町そのもの~。
杉並区の保育園問題。田中区長の話を聞いて、地方自治と民主主義の難しさを感じた
杉並区の保育園問題で、説明会紛糾。公園も、働く母親に必要なインフラなのに

※赤ちゃんにやさしい国へ(2016年8月8日)より転載

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