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統計データが女の子の人生を変える

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2015年9月に、国連が全会一致で採択した「持続可能な開発目標」(以下、SDGs)。2015年から2030年までに、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための諸目標が定められています。

SDGsの野心的ともいえる目標の達成には、進捗を正しく把握して、その後の対策を決定するためにより精緻な統計データが大変重要になります。プランは今回発表した世界ガールズ・レポート2016「見えない存在に光を当てる」において、女の子の人生を変えるには統計データの収集と分析に変革が必要であることを訴えています。


公的な支援が届かない女の子たち

ニカラグアのアブリルが妊娠したのは16歳のときでした。

彼女は厳しい貧困から抜け出すために、僻地にあった実家を抜け出して、首都マナグアで暮らし始めました。収入を向上させて家族の生活を楽にしたいという一心で。

しかし、乳母としての仕事を見つけたものの、数カ月と経たないうちに、ずっと年上の既婚男性に言いくるめられて性的な関係を持つようになり、妊娠に至りました。孤独と不安に襲われ、彼女は実家に戻りましたが、勉強をする機会も将来への見通しも持てないままに子育てに追われています。

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困難な状況の女の子や女性についての統計が必要


困難な状況の女の子や女性についての統計が必要

アブリルのような話は、彼女の地域ではめずらしくはありません。

ニカラグアはラテンアメリカにおいて最も10代の妊娠が高い国で、その中でもアブリルが育った地域は国内で最も10代の妊娠割合が高く、15歳から19歳までの女の子の3人に1人がすでに母親となっているか、第一子を妊娠しています。アブリルのような状況に置かれた女の子の大半は、公的な支援を受けることができないままに年齢を重ねていきます。


SDGsの目標達成に不可欠な統計データの充実化

アブリルが学校に通っていないことも、彼女が不遇の環境に置かれていることも公的な指標では捕捉されていません。彼女のような大半の女の子の境遇は統計データでは知ることができません。

ニカラグアは、他の国々と同様に、15歳から49歳の間の女の子と女性の統計データのみ収集しています。しかし、世界では、15歳未満の女の子が200万人もの赤ちゃんを出産しているのです。彼らの状況を正確にデータで捉えることをしなければ、支援の方法を策定することも、国際社会で合意された目標への進捗状況も把握することはできません。

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統計データの充実化は女の子たちの立場を変えるための手段


統計データの充実化は女の子たちの立場を変えるための手段

国連のSDGsが達成されるとすれば、それは女の子と女性の地位を改善することができた場合に限るというのは広く共有されている理解です。

しかし、こうしたグローバルな目標の進捗を追跡するのに必要な基本的な統計データを持ち合わせていません。大半の国々では、半数以上の公式指標のデータについて定期的な収集がなされていません。女性への暴力について信頼できる数値をもっているのは40カ国ほどにすぎません。その他の重要な問題、例えば、セクシャルハラスメントなどについての統計情報を持っている国はさらに限定されます。

多くの国々において、貧困データは性別による細分化がされていません。就業や失業について、精緻な情報を持っている国は、途上国では半数にも満たない状況です。世界のほとんどの国では、政府や民間組織における男女の参画割合を出すことさえも不可能です。

ジェンダーの格差をなくすために国際社会が目標を定めて合意したことは非常に大きな一歩です。

しかし、その格差が減少しているかどうかを計る手法が確立していません。進捗度合いを明確にし、ニーズを絞り込み、効果的な取り組みを選択するための統計データがなければ、女の子や女性の生き方に変革をもたらすために、政府に対して説明責任を求め、解決策を検討し、可能な資源を洗い出すことは不可能です。

女の子たちの実情が、政策担当者の目に写り子まないかぎり、誰も取り残さないという約束が実行されることはありません。


女の子と女性に関する統計データの改善に取り組むプラン

上記の理由から、プラン・インターナショナルは、市民社会や民間セクターとの連携のもと、女の子と女性に関する統計データの質と量の充実化に向けてイニシアティブを発揮することを決めました。

連携の目的は、ジェンダー平等の達成に関わるすべての人たちが使うことのできる統計データのセットを生み出すことです。2016年10月に発表された、世界ガールズ・レポート2016「見えない存在に光を当てる」では、連携のビジョンと狙いを明確に述べています。

このプロジェクトを達成するために乗り越えなければならない課題は膨大です。

最も基本的なレベルの統計データも十分ではありません。年齢と性別にとどまらず、民族、宗教、教育などにデータが細分化されなければ、グループ間、またはグループ内での相違や格差をつまびらかにすることはできません。もっとも困難な不利益を被る人々は、さまざまな差別が重なりあって存在しています。

17歳のグロリアの例を紹介しましょう。

アブリルと同様に、彼女はニカラグア北部のミスキート族の出身です。孤児であると同時に、彼女には重度の障がいがありました。母方の叔父に育てられましたが、性的な暴力を受け、妊娠しました。

彼女のケースは、遠隔地域の土着の民族で、貧しく、障がいがあり、女の子であるということが、人生のほとんどあらゆる機会を喪失してしまうことを示しています。なんの支援体制もない多くの女の子たちの現実はこのようなものです。

統計データだけが世界の女の子の問題を解決するわけではありません。しかし、統計データの改善と、それを用いる意志がなければ、グロリアやアブリルのような女の子たちは影の存在として、取り残されたままとなるでしょう。

統計データの革命が今、必要です。

すべての国において、あらゆる人々との協力の上に築き上げなくてはなりません。統計データを作成する立場の人々はデータを世に広く利用可能なかたちで提供し、それを使う立場の人々が女の子の現状をしっかりと伝える。

そして、統計データを持たない人たちは、それを要求し、政府がSDGsの達成に向けて動くよう声を上げる。世界のすべての女の子の状況が把握されるよう、私たち一人ひとりが役割を果たさなければなりません。

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女の子たちの可能性を広げるために

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統計データの必要性を訴えるプラン・インターナショナルのCEOアルブレクトセン