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アイドル育成と社員教育は同じ!? SHOWROOM代表・前田裕二が語るマネジメント術

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ライブ動画ストリーミングプラットフォームを運営する、DeNA子会社・SHOWROOM株式会社の代表取締役社長・前田裕二さん、28歳。

外資系の投資会社でアメリカ勤務の経験を持ち、あのDeNA取締役・南場智子氏が5年間かけて口説き落とした若者としても話題の人物だ。

個人で成果を出すことを一番に考えていたスーパービジネスマンから、チームプレイを意識し、スタッフのマネジメントをする経営者へ。

本人もリアル若者世代でありながら、さらに若いスタッフの羅針盤役を担うマネジメント術とは、一体どのようなものなのだろうか?

前田流のやり方やポリシーについて語ってもらった。

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一対一の血の通ったコミュニケーションが、最も大切。

--------まず、前田さんのチームにはどのような層がいるのか教えて下さい。

前田 チーム人数は全部で30名弱くらい、20代前半や新卒も多く、おそらく平均年齢26〜27くらいですね。若いからみんなスポンジのように吸収します。

ただ、若さの裏返しですが、必ずしも浮き沈みが無いわけではないので、ネガティブな状態の時にどうコミュニケーションするか、ということも大切なのかなと思います。

コミュニケーションの方法としては、会社で個別ミーティングをしたり、ひとりずつサシで食事に行ったりもします。

--------ひとりずつですか!

前田 その方がゆっくり深く話せるじゃないですか。もちろん何か目標達成できた時とか、タイミングは重要です。当然その時はまず何より、賞与など定量的な手段で会社からのリスペクトを表現します。

ただ、もっと血が通った方法でも合わせて感謝を伝えたい。例えば、自分の知り得る限りの一番美味しい焼肉屋に連れて行ったり(笑)。

それでメンバーが喜んでくれるのは、シンプルに嬉しいことです。個人的に、自分のチームで頑張ってくれている部下の「幸せ」にすごく興味があります。だって、人生には無数の選択肢があるんです。日本のみならず、世界中にチャンスや選択肢は広がっている。

例えば、来年からブラジルに移住してサッカーに生きるっす!とかも、やろうと思えばできるわけで。極端ですが(笑)。

あらゆる選択肢の中で、SHOWROOMに入って、貴重な人生の時間を使うという選択をしてくれて、その上、ものすごく頑張ってくれていることに敬意を表したいというか。その人の命、人生を一部預かっているので、少しでも返せていければいいなと。

実は僕が最初に入った投資銀行の上司がまさにこういう人だったんです。彼から受けた恩を、後世に繋いで行きたいなと。Pay forwardですね。

あとは、最近特に意識して始めたこととして、メンバーと定期的に30分ずつ個別面談の機会を持ちます。その中で、特に2つ意識していることがあります。

1つは「定期性」。もう1つは「客観視点の提供」。

1点目の定期性についてですが、人のモチベーションは、基幹部分はそこまで変わらないことが多いですが、その周りに付随するものは、環境や人間関係に影響を受けて、ちょっとずつ形を変えていきます。その変化を、誰よりも早く、できれば恋人や家族よりも早く、察知できる人でありたい。

そのためにも、定期メンテナンスの必要性を実感しています。時間のかかる作業ですが、部下のパフォーマンスを最大化したい経営者にとって、極めて重要なことだと思います。

2点目の客観視点の提供ですが、人は、つい「主観カメラ」で物事を捉えがちです。それでは自己認識に抜け漏れや齟齬が生じ、成長が遅くなる。だから、自分が客観カメラになってあげて、その人独自の強みや弱みを気づかせてあげるのです。

最終的には、メンバー本人が、自身で主観カメラと客観カメラをうまくスイッチングしながら、自立成長可能な状態まで持っていきます。

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塾講師時代に培った、モチベーションを見極める能力。

--------とても慣れているように見えますが、経営者としてマネジメントは初めてですよね?

前田 はい、初めてです。なので、僕なんかが経営・マネジメント論を語るのも非常におこがましいのですが、とはいえ戦場に出ればみんな一緒。

一経営者として、「経験がないから」などと甘えたことは言えません。ただ、経験がなくとも、マネジメントのエッセンスはこれまでの経験の中に散りばめられていたように思います。

例えば、学生時代に塾講師の経験があり、その時30人くらいを見ていたんで、だいたい今と同じ状況ですね。モチベーションって当然みんな違うのですが、それを見極めて、刺激していくことが昔から好きで、得意なんです。

例えば塾講師の時は、最終的に男子のモチベーションは大体"モテたい"に行き着くんですけど(笑)、女の子の場合はもっとミーハーで、例えば流行りの洋楽聞かせると英語が好きになって成績が急に上がったり。ほんと人それぞれ。

本人さえまだ言語化できていないモチベーションの源泉を一緒に見極めて、目標を共有し、二人三脚で頑張っていく。この一連の営みが大好きで、塾講師は天職なんじゃないかとさえ思っていました。

だから、マネジメントもきっと簡単にできるだろうと、思っていたのですが、それは甘かった。本質こそ一緒であるものの、現実はそこまで甘くなく、最初はとても悩みました。

投資銀行時代は、チームプレイも当然ですが、それ以上に、いかに個人としてバリューを出すかということが求められました。

言い換えれば、いかに周りから一歩抜きんでて目立つかが重要だった。今は、生き物のように全体の有機的調和を考え、チーム全体で生み出す付加価値の総和を最大化することがミッションなので、よりチャレンジングで、楽しいですね。


まずは、他人よりも自分のゴールや価値観を明確にすること。

--------今はどんなことをポリシーとしていますか?

前田 一貫して相手の立場に立つことです。こいつは、今の仕事に対して何を感じているんだろう。何に苦しんでいるんだろう。

やりがいはあるんだろうか。いま、何が幸せで、将来、どうやって生きていきたいのだろう。こういったことを、本人と同じくらい、時には本人以上に徹底的に深く考えて、適切な課題を課していく。

つまり、「相手の論理」から始めること。これは、僕にとって、SHOWROOMの演者さんや、アイドルに対しての育成方針にも通ずる、普遍的な価値観です。

具体的には、シンプルな2ステップを踏みます。ステップ1として、その人が何を好み、手に入れたいのかを見極める。

ステップ2として、それを手に入れるためには、どうすれば良いのかを教えてあげる。世の中には、ステップ1の見極め作業無しに、「自分の論理」に基づき、いきなりステップ2に入ってしまう方が多いように感じます。例えば、魚釣りをする時に、高級ステーキを釣竿の先につける人はいない。イソメをつけますよね。魚の好きなものが何かはちゃんと考えられるのに、部下が好きなものは何か分からないなんて、そんな格好悪いことはありません(笑)。

ただ注意が必要なのが、時々、自分にとって何が重要なのか、本人さえ分かっていないことがあります。コンパスなしで大航海に出てしまって、海の真ん中で右往左往している状態です。目的地も分からないので、苦しくて仕方がない。例えば、みんなが東回りでインドに行くなら、自分は西回りで、と考えたコロンブスは、最後まで自分の羅針盤を信じて、ついには新大陸に到達することができました。

でもそれは、明確なゴールに加えて、羅針盤や優れた船舶があってこそ成し得たことです。それら設備がないままで航海に出てしまっていることに気づいたのなら、勇気を出して、1回、陸に戻ることが重要だと思います。

陸で設備を整える、すなわち、自分が向かうべきゴールや価値観を明確にすることが、遠回りのようでもっとも近道に思えます。

もちろん、"自分はAという価値観に基づきBというゴールを目指している、故にCという生き方をする"という逆算的な発想で生きていない人もいると思いますし、僕はそんな生き方も非常に素敵だと思っています。

大事なことは「自己認識」です。

どこかで立ち止まって、腹をくくること。そうでないと、ある日ふっと、残酷なまでに生き方を後悔するかもしれない。"気づいたら結構歳を食ってた"状態になりかねない。

腹をくくるとは、例えば、「自分は逆算思考ではなく、あえて計画無しでランダムに過ごす日々が幸せなんだ」と、自分の価値観を定義することです。もし一旦そう心に決めたら、あとはもう徹底的に、ゴールに向かうのではなく、純粋に日々を楽しく生きていく。

ちなみに、僕の家族は完全にそちらのタイプで、逆算思考の権化のような僕を訝しげに見てきますが(笑)、本当に幸せそうに過ごしています。素晴らしいことだなと思います。

幸運にも、自分が関わる人は若い人が多いので、なるべく早くそれに気づかせてあげたいのです。なぜなら、若いうちの1mmの違いが、1cm、1m、と時間経過につれて大きな違いを生み、果ては大波になって本人に多大なる影響を与えると思うからです。本人たちからすると"なんで俺の人生のことそんなに突っ込んでくるんすか?"って思うかもしれないけど(笑)。

短期的には彼らが成長してくれることで、会社の業績が大きく伸びるかもしれない。とても重要なことです。

でも、本質的には、自分に関わってくれた人達への感謝や恩を、持ち得る最大限の力で返していきたい。彼らの人生にプラスの影響を与えて、もっと幸せになってもらいたい。自分にはそれができる自負があり、それは、天から授かったミッションのような気もしています。

これからも、幅と深さの両軸で、世の中に大きな効用をもたらすべく、全力で戦います。

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