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2015年は女性にとってどんな年だったのか? そして2016年に必要な「女子力」とは?

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すべての女性が輝く社会づくりを掲げる安倍内閣。女性の社会進出を促進しようというその動きの一方で、待機児童の問題や女性の貧困など、まだまだ課題は多く残されている。
2015年の後半には、育児中の社員にも遅番や土日勤務を求めた『資生堂ショック』も大きな話題となった。

女性を取り巻く環境が変わろうとしてきた2015年を経て、2016年は女性たちにどんな"輝き方"が求められるのか。

編集者として時代の変化を見つめてきた軍地彩弓さん が、新時代に求められるこれからの「女子力」について考える。

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『あさが来た』のヒットは、時代の潜在ニーズを顕在化した


--------2015年は「女性が輝く社会」というキーワードが取り上げられた一年でしたね。

軍地  「女性活用」「女性の社会進出」が叫ばれた年ではありましたが、実際は働く母親を助ける保育制度も整っていませんし、ひとり親世帯のサポートも弱い。
社会のセーフティネットが整備されていないのに「働け働け」と言うのは、まだ内実が伴っていない印象がありますね。

ひとつ象徴的に時代の空気を表しているな、と感じたのがNHK連続テレビ小説『あさが来た』のヒット。
ヒロインの白岡あさのように「働いて立身出世する女性」がドラマの題材になることは珍しくありませんが、あさの夫・新次郎のように「妻を支える男性の姿」を描いたのは朝ドラ史上初めてかもしれません。
女性が出世を目指し男性がフォローする、という関係性を、社会が大きく変革した明治時代を舞台に表現しているこのドラマは、やはり社会の変革期であるいまの時代の潜在ニーズともリンクしているのではないか、と感じています。

--------これまでの男女の役割に変化が起こる兆しが、朝ドラにも表れてきたのかもしれませんね。2015年までを振り返ると、女性を取り巻く環境はどのように変わってきたのでしょうか。

軍地  1985年に男女雇用機会均等法が制定されますが、その前の世代の女性たちは、男性中心の企業のなかで主に補助役として社会に進出してきました。
女性も総合職に就けるようになった均等法以降の人たちは現在の50代前後、皇太子妃の雅子様は均等法の一期生です。
機会を均等にしたとはいえ、実際は根強い男性社会のままですから、認められるために男性の三倍働いて実績を出してきたのが当時の女性たちです。
結果として「仕事か結婚か」「仕事か子どもか」という二者択一が女性に求められ、この世代の女性たちは仕事を選び独身で頑張ってきた人も少なくありません。

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軍地  次にくる現40代前後が、フォトグラファーの蜷川実花さんなどに代表される、女性の働き方にも広がりが生まれた世代。
やりたい仕事に就き、子育てもできるようになってきましたが、男性の育児参加は進んでおらず「仕事も家事もキチンとやるなら働いていいよ」と夫に言われるような時代です。
その結果、女性たちは仕事も家庭も手が抜けなくなり、子供のキャラ弁を手作りし、お受験もさせ、なおかつ仕事も男の人と肩を並べるという、均等法世代とは違う部分でがむしゃらに働いて来た女性たちでもあります。

こうして40~50代と二世代「がむしゃら」が続いたせいか「私たちそんなに働けません」と考える傾向が生まれてきたのが現30代。
責任あるポジションを任せられる機会が与えられても「それなら会社を辞めて専業主婦になります」と無理な働き方を避けるようになるケースも出てきています。

また20代は、女子学生の2割前後が専業主婦願望を持っている、というデータがある一方、若いうちから独立起業する意志のある子も出てきている。
専業主婦から起業まで、女性にとって全ての選択肢が出揃った状態、と言えるのが2015年の現状ではないでしょうか。

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2020年までに日本経済は緩やかに沈んでいく


--------先ほど「社会の変革期」という言葉が出ました。2016年以降、どのような社会の変革が起っていくと予想しているのでしょうか。

軍地  すでに社会のデジタル化という波が来て、情報のやり取りがスピードアップし、既存の仕事の半分が人工知能やロボットに置き換え可能になる、という調査結果も発表されました。

社会変革のベンチマークになるのは、奇しくも東京オリンピックと同じ2020年だと予想しています。
まずはその頃までに、団塊の世代後期の現50代後半が企業で定年を迎えます。
彼らが持つ高度成長期の成功体験は、残念ながら今の時代にマッチしません。
マイナスから成長を考える新しい世代が台頭してくるここ5年で、会社風景は大きく変わっていくのではないでしょうか。

次に少し暗い話題ですが、中国の経済破綻への懸念と世界全面株安、そしてオリンピックに偏った資本の投下とそれに伴う被災地復興の遅れがマイナスに働いて、消費税が10%になると同時に低消費時代が加速する可能性が濃厚です。
2020年までに一部のアベノミクス景気の裏側で経済は緩やかに沈んでゆき、それに合わせて将来に向けた人的な改変も起き、企業の抜本的な変革が進む。
これが今後起こる「社会の変革期」のシナリオだと考えています。

--------私たちは、社会の構造そのものが新しく変わってゆく、大きな変化の只中にいるわけですね。

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ピラミッド型」の会社体系は崩壊し、「横のつながり」が重要な社会に。そこで必要となるのが「女性の力」


軍地  私が就職活動をしていた頃、証券会社やメーカーなど大手企業に入社が決まった学生は勝者として扱われていました。
当時の感覚では、一度入社すれば長期雇用が保障され生涯年収も決まっていたはずですが、いまや大手企業の倒産やリストラなどはあたりまえ。その中で行き場を失った50代は、いまやたくさんいるわけです。
というのも、大手企業の多くは社長をトップに置いたピラミッド型の社会で、社長や会社の意志が最も優先されるトップダウン方式。
いかに上長に認められるか、という会社に献身的な働き方が昇進のカギになるため、仕事の達成感が得られにくく、個人のやりがいよりも会社の利益優先の社会でした。

しかし最近の傾向として、時代は力のある個人が必要に応じて連立する、丸が横に連なるような社会に変わってきています。
社会が縦型から横型に変わっていくと、チームで協力して仕事をする能力、そしてお客様の満足を追求する顧客主義の発想が必要になってきます。

企業のなかで働くにしても「言われたからやる」というルーティンは通用しなくなりますから、社内の上長に認められることを最終目的にせず、顧客満足を大切にした働き方をする人のほうが、異なる分野への異動などどこでも結果を出せて、変化の時代の強みになる、と言えます。

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--------たしかにスマホやSNSなどのツールによって、横につながる動きは一般の生活のなかでも加速しているように思えます。この社会が横型へと移行する動きは女性にどのような影響を及ぼすのでしょうか?


軍地  これらの変化を前向きに活かすには、いかに周囲の気持ちを察することができるか、という「共感力」が必要になります。
さらにデジタル社会では、情報をどう受け取り、何を発信するかというコミュニケーション能力の重要性もますます高まってくる。
この「共感」や「コミュニケーション」という能力においては、男性よりも女性のほうが得意とされています。

私がコンサルティングをしている、あるスーパーマーケットでは50代以上のパート女性がたくさん活躍しているのですが、彼女たちのコミュニケーション能力といったらものすごい。
お客様のニーズをよく見ており「この商品は量が多すぎるわ」「こんな商品がお客様に受けている」という生のマーケティングができている。

こういう女性ならではの力を活用したほうがいろんな局面で仕事がスムーズにまわる。
また、男性もそういう女性と上手につきあうことで働きやすくなるのではないでしょうか。

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未だ潜在的に、女性は"補助的に生きる"ことを期待されている


--------女性が能力を発揮することで、男性も働きやすくなる社会になる。前向きな変化に思えますが、障壁になっている要素はなんだと考えますか? 

軍地  やはり政府が言うほど、女性が働く環境の整備が追いついていないのが大きいように思います。
待機児童の問題がまだまだ解消されていないにも関わらず、子ども手当も減額されました。
非正規雇用の女性が陥る貧困の問題についても、はっきりした解決策は出されていません。
結婚を促す前に、夫婦別姓を始め、戸籍上、婚外子を差別なく扱うことで、養子縁組をしやすくするなど、パートナーシップのありかたを寛容に変えることが先決なのでは?と思います。
まずは女性が制約なく働ける環境を整え、安心して社会進出できよう整備することに着手すべきではないでしょうか。

もうひとつは、日本は世界と比較して、国会議員にしても企業の社長や役員にしても女性の比率が圧倒的に少ない現状があります。
昨年、カナダの新首相ジャスティン・トルドー氏が内閣の男女比を5:5にした理由を聞かれて「2015年だから」と答えて話題になりましたが、日本にはほど遠い数字です。
女性の意見が通りにくく、まだまだ軽んじられているという点では朝ドラで描かれている明治時代と状況がさほど変わらないわけです。

それはやはり、男性がどこかで女性が補助的に生きることを期待していることの表れでもあるのではないかと。
育児休暇を取ろうとする新次郎的な男性が若い世代を中心に増えてはいますが、それを見て「あいつは昇進を諦めたんだな」という男性もまだまだいます。
実は仕組みをいくら変えてもダメで、男性の潜在的な価値観を変えていけるかどうかが、最も大きい壁になるかもしれません。

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女性が活躍するためには、男性だけではなく女性側の意識を変えていく必要もある


軍地  もちろん、男性だけに問題があるのではなく、女性の側も意識を変えていく必要があるのは大前提。
「責任を取りたくない」という考え方では、これからの不況時代を乗越えるにあたり生きづらくなりますから、女性も自分の能力を肯定し、リスクを背負う力を身につけたほうがいいですね。
家のローンも夫だけが働いて支払うより、夫婦両方が働いてお互いを支える方法なら、リストラなど予期せぬ難局も乗り切りやすくなるはず。
女性が仕事を持つことは男女お互いにとってリスクヘッジになるんです。

--------最後に、変化の只中にある2016年、いま求められる新しい「女子力」とはどのようなものでしょうか。

軍地  10年ほど前に「女子力がある」と言われたのは、巻髪にピンクのチーク、コンサバな服を着て、料理上手。男性のために一歩下がれる家庭的な女性でした。
しかしこれからの時代が求める「女子力」は、柔らかいけど芯がある、柔軟性と協調性を持った女性像。
時代の変化という強い風が吹いても、力で立ち向かうのではなく、柳のようにしなやかに対処して、折れることなくまた元の姿に戻る、そんなイメージです。

これからの世の中安定的な人生というのはありません。
リストラや離婚の可能性、老後の問題などなにかとリスクの多い時代に、女性にも収入源があったほうが人生に選択肢が生まれる、結果として自由に生きられる、と思います。

私の知人には、出産と育児のために会社を休んだり一時的に辞めても、収入が少し下がるくらいの条件で在宅勤務で仕事を続けている人がいます。
ネット環境が整ったことで、プログラミングやWebライターなど在宅でできる仕事も増え、働き方も多様になりつつあります。

新しい人や物ともつながっていける「コミュニケーション力」、人の立場に立てる「共感力」。
新しい兆しに気づく力や、語学力など、女性のほうが得意と言われている分野はこれからの時代に必要とされるものばかり、実は社会で役に立つスキルをすでに持っている。

2016年の「新・女子力」とは、そういう女性の強みが際立つことなのだと思っています。

(2016年2月16日「QREATORS」より転載)

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