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25年目の初期衝動。イラストレーター・エドツワキが描く軌跡とこれから

2015年11月09日 15時37分 JST | 更新 2016年11月08日 19時12分 JST

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VOGUE、Wallpaper*など世界各国のモード誌にイラストレーションを描きおろし、ブランドや企業やレーベルとのコラボレーション、自らのファッションブランドも手がけるなど、長らくモードイラストレーションの第一人者として活躍してきたイラストレーター、エドツワキ

彼の現在の境地と、これからのヴィジョンとは--------。

東京では5年振りとなる個展を控える彼に、話を伺った。

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自らを固定化されることへの拒否反応

--------イラストレーターの他にもデザイナー、アートディレクター、画家......とさまざまな肩書きを持つエドツワキ氏。

最近ではミュージシャンとのセッションで行うライブペインティングや、大学で教鞭をとることも。そんな彼の原点には何があるのだろうか?

インタビューは、こんな言葉から始まった。

エド 僕は以前から、「イラスト」という言葉に抵抗があります。なんだか軽んじられている気がするんです。

「イラストレーション」と表現してもらいたいし、もっと大切に扱ってほしい

その想いは、イラストレーターとしてのキャリアをスタートしたころから持っていました。

当初、自分のイラストレーションの上に文字をレイアウトされたり、無断でトリミングされたりすることがありました。

人々が目にするのは、印刷物になったその姿なので、コミットできない歯痒さがありました。自分でデザインも始めた動機はそれが一番大きかったと思います。

アートディレクターに提案できたり、また僕自身がアートディレクションを兼任するようになりました。

要は、責任を持つということ。少しずつ自覚的に、そういう環境作りも含めてやってきました。

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--------彼の作品の代名詞とも言えるのが、ベジェ曲線で描かれた女性画。首の長い独特なフォルムと、どこか憂いを帯びた大きな瞳の少女たちは、アイコニックな人気を誇り、数々のモード誌やビルボードを飾った。しかしやがて、彼の作風は変容していく。

エド 創作を始めた時は自分だけの持ち味を目指します。しばらくやっていたら、いつの間にかそれを手に入れていて、後々「作家性」という冠がついて認知されていきます。

イラストレーションはクライアントワークが中心なので、お題を出された時に完成形が頭に浮かぶかどうかが、引き受けるポイントの一つになります。

自分のアルチザンの部分は、それに応えようと持っている技術を注ぎ込むんですが、自由に描きたいものを描いていた子供の頃の自分が今もいて、それが「新しい何か」をそこに注ぎ込もうとします。そのバランス感覚が自分の肝なんだろうと、自分では分析しています。

その中で仕事で達成できないことが、個展のような形で何年かに一度溢れ出すんだろうなと。

ただそれも、ひとりよがりなものではなく、新しいものを提示して共感を得ながら、メタモルフォーゼしていくことを繰り返してきた気がします。

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ひたすら夢中になって見つけた、未知の表現

--------そんな彼が11月10日、新たな作品群を発表する。

『QUAKENESS』

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--------そして同日、1990年に制作し、連作としては初公開となる初期作品集『100 FACES』を電子書籍でリリースする。意外にも、今まで作品集を出版したことのなかった彼にとって、『100 FACES』『QUAKENESS』の2冊は処女作品集となる。

エド  『100 FACES』を描いたときの情景は、わりと記憶に残っているんですよ。

初めて自分のタッチが降りてきた感覚があって、数日間に渡って並木橋のアパートの一室で、下書きもなく一気に描いていた自分の姿を覚えている。

ただ、今回まとめるにあたって、全部デジタルデータにスキャニングしたら、当時確かに100点描いたはずなんだけど、2点が消失していました。だから今回2点を描き下したんです。混ぜてあるので探してみてください。

25年前の自分にしか描けないものだと思っていたんだけど、この数ヶ月間、その絵たちに接していたので、だんだん距離が近づいてきて。そうすると自分が忘れていた感覚とか、手癖とかが少しずつ蘇ってくる感じがあった。

「寄せていくのはつまらない」と思っていたけど、当時使っていたマーカーを手に入れて、ニュートラルにスッと描いてみたら、意外と気負いなく描けましたね。一種の「セルフカバー」のようなものというか。

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--------『100 FACES』の巻末には、当時からの盟友、女優・歌手の小泉今日子、ミュージシャンでTOKYO No.1 SOUL SETの渡辺俊美、レゲエシンガーのチエコビューティーを交えた対談が収められている。

エド キョンちゃんと俊美くんと僕が来年ちょうど50歳で、チエコは一つ下だから再来年(50歳)になるんですけど、一様に4人ともピンと来てないという(笑)。

改めて4人で話すのも珍しくて、あの頃密接に関わっていた分、別に普段会わなくても心配ないという感じがありました。

でも、生まれて半世紀、出会って四半世紀という節目で集まれてよかったのかな。四半世紀なんて、あっという間ですね。

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はじまりの予感と「彼女」の行方

--------2016年には50歳となり、また海外での活動もちょうど20周年となる節目を迎える彼の位相は今、どこにあるのだろうか。

エド レイヤーの違う周回でまた円を描きはじめたみたいな、何かがまた始まる予感があります。初期衝動をずっと大事にしてきたんだけど、いつもそういう感じ。

「思い通りにいかない」とか「自由自在にできない」っていうのが、逆に夢中になれる。

『100 FACES』のときもそうだったし、『QUAKENESS』もそうです。また何度目かのエポックが来ているなという感じなんです。

たぶんそうやってずっと、構築しては捨て、また構築して......っていうのを死ぬまで続けていくんじゃないかな。

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--------とはいえ、一ファンとしてはあの「首の長い女の子」の行方も気になるところ......。

エド 実はまた、女の子を描いてます。それはまたモードに惹き付けられはじめたこととリンクしています。ランウェイから自分がインスパイアされた幾つかのスタイルをその子に着せました。

これだけ飽きっぽい自分がずっと女性像を描いてこられたというのは、やればやるほど新しい発見があったということなんでしょうね。

女性にまつわるモードを描くことは、自分にとって天職だと思うので、またそのタイミングが訪れたのかなという気がしています。僕自身が恋をしたので、魂が入ったと思います。世に出す機会をうかがっています。

今までは、「待ち」の姿勢でも回ってたんだけど、「水が流れていない」という状態の中に籠っていた時間が長くあって、そこから出るためのいい出会いがたくさんありました。

今は頬に風を受けています。パラレルワールドの中にいるみたいですよ。1990年と2015年とを行き来しているような。

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--------1990年作の『100 FACES』は電子書籍というデジタルコンテンツで、2015年作の『QUAKENESS』は個展と図録というアナログな方法で発表されることに、25年のときが交錯するようなスリルを覚える。

見る者がフレームにはめようとしたとたん、するりと抜け出して新たな地平を提示してくれるのが、エドツワキが世界で活躍しつづける所以なのだろう。



エドツワキ個展 [QUAKENESS]

日時:11月10日(火)~11月21日(土)

Open 12:00-20:00 月曜休廊

場所:恵比寿 POST

〒 150-0022 東京都 渋谷区恵比寿南2-10-3

エドツワキ電子画集『100 FACES』

電子書籍レーベル THETHEより

kindle版、iBooks版同時リリース

(2015年11月9日「QREATORS」より転載)