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ICTを使って、もっと地域の課題と向きあおう(下)―木下斉

2014年01月13日 18時12分 JST | 更新 2014年03月14日 18時12分 JST

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ICTによる真の地域活性化のため、「モノ」であるICTを使いこなす「ヒト」への投資を提言する「ネットと地域活性化を考える会」。前回に続き、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉さんが、ICTの利点や効果的な使い方について述べます。

■まちづくりにおける事務作業の効率化にICTを使おう。

 

さて、まちづくりの現場でICTを効果的に活用する上で、画期的なシステムなどは基本的に必要ありません。一般的に普及しているサービスを活用し、事務作業を簡略化するだけでも、現場の効率は劇的に改善します。

 

例えば、AIAのアライアンス・パートナー(提携先)の関係資料は、ほとんどデジタルデータで保管しています。もともとデータであるものは勿論のこと、紙の資料も全てSnapScanにてスキャンして検索可能なPDFにし、データにして保存しています。それらのファイルは適宜、Dropboxなどのサービスを活用しつつ共有管理をしています。

 

結果として、どこにいても資料にアクセスできる、さらに全ての資料が検索できるという利点があります。これによってオフィスに行かないとできない作業というものがほとんどなくなり、さらに過去の資料を探す時間がかからなくなりました。

さらに離れた地域のメンバーでの会議の際には、テレビ会議をしつつ、GoogleDocsを共に開いて皆でログインして資料や議事録の共同執筆をし、その場で完成させてしまったりします。会議が終わったら、資料や議事録ができているのです。

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何事もその場でどんどん解決していくことが大切であると思います。

 

また、プロジェクト管理も複雑になってくるとスケジュールや担当が誰かとかわからなくなってしまうことがないでしょうか。

 

AIAでは、AsanaやサイボウズLIVE!というサービスを活用して、プロジェクト別でタスクを整理し、担当とスケジュールなどをオンラインで管理しています。これで、マネジャーが一々確認したり、タスクを忘れてしまうということがなくなります。

 

他の活用事例としては、AIAのアライアンス・パートナーでは各地で新規創業者を生み出すために、マーケットの企画を月一で定期開催しています。毎月開催するマーケットで新規創業者の方のハードルを下げる意味と、毎月の営業で常連客がつけば周辺のリノベーション店舗に実際に出店してもらうよう誘致していくという仕掛けです。従来のような単なる集客イベント目的ではありません。

 

例えば、四半期に一度、東京都大崎駅地区で開催しているマーケット「REACH Market」では、出店申し込みフォーム、出店料の決済などもPaypalを通じて全てオンラインで実施しています。これによって、申し込みの書類のやりとりもなくなり、申込者は全て自動的にリスト化され、出店料を現金でやりとりすることでのトラブルもなくなります。

 

毎月第二土曜日に開催している、熊本県熊本市のSeedMarketでも申し込みなどは全てオンライン化し、一部の決済もPaypal決済に対応しています。このようにできるだけ事務作業にかける時間を削減し、企画の運営や地域への営業などに力をかけるように、皆で心がけています。

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■地域の課題と向き合う「時間と財源」を増やそう。

ICTによって、できるだけ事務的な作業を自動化したり、同じ場所にいなくてもコミュニケーションがとれるようにしたりすることによって、無駄な時間・コストを削減することができます。

 

これは単に楽をしたくて効率化するのではなく、より地域の課題と自分たちが向き合い、自分たちが仕掛ける事業に集中するために行っています。どこのまちづくりの現場も人手と資金が潤沢というわけではありません。どこの地域でも「人がいない」「お金がない」といいます。だからこそ、ICTを活用するのです。

 

勿論、ICTは何でも可能にしてくれるわけではないです。

 

やはり面と向かって直接お会いして、お話するほうが効果的な場面もありますし、自動化せずに手作業でやった方が速いこともあります。が、やはりそうではない時はしっかりとICTを活用して効率化するほうが、取り組みの成果は生まれやすいです。なぜならば、人間の手でしかできないことに集中的に時間を割くことができるから。そのように集中してこそ、地域に発生している様々な課題の一つを解決できると思っています。

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■専門家頼みより、普通のサービスを「チーム皆で使うこと」が大切。

今回ご紹介した、我々が使っているサービスは、ほとんど無料です。

 

かかるお金はインターネットの固定通信料くらいです。3000円とか4000円とか支払えば使い放題です。ですから、さすがにお金がないから使えないという、まちづくり団体はほとんどないと思います。

 

しかも今はスマホからも使えるレベルですから、全員がバリバリ使えないとしても、それなりに情報を確認したり、多少の入力をすることはできたりします。

 

専門性のある誰かだけが使えるというのではなく、皆が使えるようにしていくことが大切だと思います。また、単に使い方を講習会とかで学ぶのではなく、習うより慣れろ。実務の中で具体的に活用していくことで慣れるのが一番です。単にサービスの機能説明などを聞いても、使えなかったりしますが、実際の現場で使いはじめると使えたりします。

難しいことより、一般的に普及している普通のサービスから自分たちが使えるものを選択して、皆で使う方が、ICTを円滑に活用することができると思います。

 

AIAのアライアンス・パートナーの中では多少のレベル差はあっても、どこの地域でもインターネットでのプロジェクト推進は基本になってきました。4年間でも劇的な変化です。とはいえ、今回ご紹介したのはあくまで一例です。恐らくみなさんの地域には、皆さんの地域なりにICTを活用している方法があるのではないでしょうか。

私たちは地域の力はしっかりとしたその地域の民間の取り組みから生まれると考えます。

 

まちづくりは公共的な取り組みですが、行政に丸投げすべきではないと思っています。自分たちのまちなのですから、地域の人々が合同して、公民の関係なく守っていけるようにと考え、取り組みをしています。

 

かといって、いきなりまちの人たち全員が活性化に取り組むことが現実的ではないのも事実です。だからこそ、やはり気づいた一部の人たちがしっかり責任をもって取り組み、できるだけ効率的な取り組みを意識して成果を上げ、その成果をもとに徐々にまわりの人を巻き込んでいくしかないと思っています。

立ち上がった方々が、地域を越えて、オンラインでつながり、励まし合いながら取り組むことも大切だと思っています。そんなこともICTが実現してくれます。

 

ぜひ、皆さんのまちづくりの取り組みでもできるところからICTを活用し、その活用方法をネットで他の地域の方と共有するのはどうでしょうか。互いの地域での試行錯誤を共有すればより一層利活用が進むのではないかと思います。

 

行政頼みにならず、専門家だよりにならず、まずは使えるツールを自分たちの手で試してみて、その活用ノウハウを共有していくのが一番地域の状況にあったICTの使い方ができるのではないかと考えるのです。