18歳選挙権成立!大人たちはどう働きかけるべきか

新たに有権者となる18歳前後の若者が何に関心を持ち、選挙権年齢引き下げをどう受け止めているのか。

6月17日、選挙権年齢を「18歳以上」とする改正公職選挙法が成立。来年2016年夏の参議院選挙から適用され、10代の約240万人が新たに有権者となる。

今18歳前後の若者が生まれたのは、1990年代後半。非正規雇用が急増し、格差社会への転換点となった頃だ。学校生活や進路選択を通じて、格差や貧困、雇用の劣化を身近に感じている世代ともいえる。日本が抱える問題を解決していくためにも、若い世代の声をしっかり政治に反映させることは重要だ。あるいは、異論を封殺するような現在の政治状況において、18歳選挙権は、その流れを変える一つの転機になりうるかもしれない。

大人たちはどう働きかけるべきか。「主権者教育」と「労働教育」という2つの観点からアプローチを考える。

アプローチするには、まず相手を知ることが大事。

そこで、新たに有権者となる18歳前後の若者が何に関心を持ち、選挙権年齢引き下げをどう受け止めているのか、2015年7月にインターネット調査を行った。

投票に行きますか?

最近の選挙で20代の投票率は30%台にまで低下しているけど、調査ではその数字が逆転!投票先を選ぶ基準は政策・公約がトップ。ただし「何を基準にえらべばいいかわからない」も18.2%。判断材料が示されれば、次期選挙で投票率の大幅アップが期待される。

現在、関心を持っていること(複数回答形式)

最も関心が高かったのは「お金」のこと。「仕事」も39%と高率。家庭の教育費負担の重さからか、高校生、大学生の経済事情も厳しさを増していることがうかがえる。

ふだん、何からニュースなどの世の中の動きを知っているか(複数回答形式)

「テレビ」がダントツで82.6%、「ニュースサイト」「SNS」「インターネット検索」もよく利用されている。高校生では、「学校の先生との会話」が16.8%と高いことにも注目。

選挙がどのように変わったら「投票しよう」と思う気持ちが(今よりも)強くなると思うか(複数回答形式)

「インターネットで投票ができたら」が最多で54.6%。4人に1人が、「もっと政治について知ることができる・学べる機会があれば」と回答。

「投票のしやすさ」と「主権者教育」の両方の観点から投票率アップに取り組む必要がある。

どの程度「政治の影響がある」と感じるか

「お金」や「仕事」に高い関心を持つ18歳前後の若者たちは、政治の影響が大きいものとして、物価や治安だけでなく、就業のしやすさ、働きやすさ、賃金を挙げた。労働教育のニーズも高いといえる。

労働組合の取り組みについて、知っていること(複数回答形式)

最後に労働組合について。3人に1人は「特にない」と回答。

労働組合の存在や活動を知ってもらう取り組みをさらに進めなければならない。

調査概要

◆調査タイトル:若者の関心と政治や選挙に対する意識に関する調査

◆調査対象 :ネットエイジアリサーチのモニター会員を母集団とする15歳〜23歳の男女

◆調査期間 :2015年7月4日〜7月12日

◆調査方法 :インターネット調査

◆調査地域 :全国

◆有効回答数 :1,000サンプル(各性年代がおおむね均等になるように抽出)

イラスト・本文漫画 福岡達弥(愛媛県労福協)

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2015年8月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。「月刊連合」の定期購読や電子書籍での購読についてはこちらをご覧ください。

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