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GPIF法改正でどう変わる? ~被保険者の意思が反映される仕組みを~

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2016年3月11日、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)法」改正案が国会に提出され、2月24日に都内で緊急シンポジウムを開催した。

前半の「GPIF法改正でどう変わる?~法改正のポイントと経緯~」では今回のGPIF法改正案のポイントと経緯を振り返った。

後半は、連合として今回の法改正にどう対応するのか、「年金積立金はだれのもの?」キャンペーンをどう進めていくのかを平川連合総合政策局長に聞いた。

 

独任制から変わったとは言え、10分の2は不十分だ


年金積立金は、社会保険制度のもと拠出者が納付した保険料の一部であり、その運用の目的は「専ら被保険者の利益のために」と定められている。

それゆえ、GPIFのガバナンスは、運用について保険料を支払っている拠出者代表である労使の意思が確実に反映されるものでなければならない。

連合としても、理事長独任制を見直し、ステークホルダーが参画する合議制機関(意思決定機関)を設置すべきだと考えてきたが、問題はその構成だ。

新設される経営委員会は、執行部の長と有識者9人の計10人の委員のうち労使代表は各1人となっている。これでは十分な意見反映はできない。他国の例から考えても、過半数を基本に労使代表を入れるべきだ。

また、特定の金融機関と強いつながりのある「専門家」が委員になれば、利益相反が生じる恐れがある。中立性確保や情報公開、退任後の職務制限なども強化していく必要がある。

 

年金積立金は政府のものではない


連合は、「年金積立金はだれのもの?」キャンペーンを展開し、安心の年金制度を支える長期的な観点から安全・確実な運用を求めてきた。

積立金は、被保険者から強制的に徴収する保険料であり、運用に失敗したら被保険者の将来の年金に影響が出る。

だからこそ、安全・確実な運用を基本とすべきであり、そのためにはガバナンスを強化して、被保険者の意見が反映できる仕組みをつくる必要があると訴えてきた。

一連のGPIF改革の背景には、アベノミクスのもとで巨額の積立金を経済活性化の手段に活用しようという動きが見え隠れする。しかし、被保険者の大事な老後の資金が、時の政権によって株価維持や政治介入に使われるようなことを許してはならない。

またGPIFが直接株に投資するインハウス運用は、政府による企業支配につながる恐れがある。株主として最大収益を得るために企業にリストラを求めることになれば、そこで働く人たちは、みずから拠出する積立金にクビを切られることになってしまう。

今回、インハウス運用の導入は見送られたが、「3年後の見直し」に向けて引き続き警戒が必要だ。

改正法案は、労使代表が過半数経営委員会に参画できるよう修正の上、成立させたい。社会保障審議会に新設される会議体におけるルールづくりもしっかりチェックしていきたい。

国会への働きかけを強めるために重要なのは、まず国民のみなさんに「年金積立金は自分たちのもの」という自覚を持ってもらうことだ。「クラシノソコアゲ応援団」の重要課題に位置づけ、世論喚起をはかっていきたい。

 

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平川則男 連合総合政策局長

 

GPIF法改正法案の内容 


[さらなるガバナンス体制の強化]

①合議制による意思決定の導入

○新たに経営委員会(仮称)を設置
経営委員会は、基本ポートフォリオを含む中期計画等管理運用に関する重要事項や、財務諸表、役職員の報酬、制裁規程等の組織・経営管理上の重要事項を議決するほか、執行部の職務の執行の監督を行う。
経営委員会の構成は、経済、金融、資産運用、経営管理その他の学識経験又は実務経験を有する者9人(うち被保険者・事業主それぞれの利益を代表する者各1人は関係団体が推薦)及び執行部の長とする。
○経営委員長及び経営委員は厚生労働大臣が任免する。

②意思決定・監督と執行の分離

○執行部(執行役員)は、執行部の長、運用担当理事、理事各1人とする。執行部の長は、法人を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理することとし、その任免は厚生労働大臣が行う。
○経営委員会は、執行部の長が解任事由に該当する場合には厚生労働大臣に報告しなければならない。
○執行部の職務の執行の監査等のため、監査等委員会(仮称)を設置することとし、厚生労働大臣が監査等委員となるべき経営委員3人以上(うち1人以上は常勤)を任命する。
○役員(経営委員長及び経営委員を含む)の利益相反を防止するため、公務員並みの再就職規制措置等を講じる。

③厚生労働大臣の権限・役割

○運用についての最終責任は引き続き厚生労働大臣が負う。
○社会保障審議会に会議体を新設し、中期目標、中期計画、法人評価等の重要事項を審議する。

[運用の見直し]

①リスク管理の方法の多様化

○デリバティブ取引について、リスク管理を目的とする場合に限定して利用可能とする。

②短期資金の運用方法の追加

○現在認められている譲渡性預金等に加え、コール資金の貸付等の短期資金の運用方法を利用可能とする。

 

施行3年後の見直し  

○更に検討が必要な株式のインハウス運用やオルタナティブ資産への投資の課題については、今般の改革の施行から3年後を目途として検討を行い、必要に応じ措置を講じることとする。

 

※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2016年4月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。