運べないものはない~運輸労連 全日通労働組合~

「運んで、並べて、結果が見える。達成感もやりがいも感じます。」

~運輸労連 全日通労働組合~

日本通運株式会社 関東美術品支店

日本通運株式会社は、総合物流の国内最大手。陸・海・空すべての輸送モードを網羅し、重量・大型品、美術品、鉄道車両の輸送や、大規模事業所移転、国際輸送にも対応。美術品部門は、関東、関西、中部に支店を置き、高度な輸送技術と特別な注意を必要とする美術品輸送を専門に取り扱っている。

世界に一つだけの価値を運ぶプロ

「いかにスッと取り出せるように梱包するか。展示準備にかけられる時間は決まっていますので、ただ厳重に梱包すれば良いというわけではないんです」。そう話してくれたのは後藤さん。〝運べない物はない〟と言われ、世界でもトップクラスの輸送実績と実力を誇る日通の美術品部門。その関東美術品支店で人員配置などの事務作業や、現場での監督を行っています。

引っ越し部門から美術品部門に異動して14年。「当初は苦労しました。専門用語は飛び交うし、美術品の素材もさまざまで」。現場で経験を重ね、今では美術品とともにアメリカやヨーロッパなどの海外へ赴くことも。「通常は日本から送り出すことと、戻ってきた物を返送することだけですが、甲冑など現地の業者が扱えないものは、現地へ同行します」。

これまでの輸送でいちばん難しかったのは、仏像だとか。「大きさも形も多種多様ですし、安置されている建物自体が重要文化財の場合もある。仏像に負荷がかからないよう振動の少ない輸送ルートも調べます。展示を終えて無事に戻すことができたときは、やはりホッとします」

美術品の形状に合わせた梱包材は、その都度スタッフが自作。「『こんな素材があるけど、使えるんじゃない?』って、いつも皆で試行錯誤している感じですね」。関東美術品支店では、この道一筋、60歳を超えるベテランの方も活躍中。「センスも経験も技術も、一人前になるには何年もかかる。ノウハウの継承のためにも、ベテランの方には少しでも長く現場にいてほしい」


入社は就職氷河期真っただ中。「職種を選べる時代ではなかった」と採用してくれた日通へ。

年月を経た今「運んで、並べて、結果が見える。達成感もやりがいも感じます」。世界的な名画も扱う仕事、手が震えたりしないですか、と尋ねると「ゴッホの絵も無名の作家の作品も、扱い方は一緒。心を無にすることです」。


※こちらの記事は日本労働組合総連合会が企画・編集する「月刊連合 2015年11月号」に掲載された記事をWeb用に編集したものです。

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