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誰も隅に追いやられない教育へ~学校の先生がLGBTを知らなくて良いの?~

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現在、日本各地にLGBTやセクシュアルマイノリティに関するNPO団体や学生サークルなど、数多くの組織が存在している。
その多くはLGBT当事者が発起人となってできているが、中にはLGBT当事者ではない人が発起人として出来た組織もある。

その一つに、国立の教育大学である愛知教育大学のセクシュアルマイノリティ支援団体・BALLoon(Twitter @BALLoonfromAUE)がある。

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教育に携わる身として、そして近い将来学校の先生になる身として、『誰も隅に追いやられない教育へ』を目標に掲げ活動を行ってきたBALLoon。

2016年1月の発足以来、LGBT当事者ではない学生を中心に20人程度が所属しており、学内でLGBTなどの勉強会を定期的に開催するなど、学内のプログラムの一つとして大学側から資金の援助を受けながら活動している。

そもそもLGBT当事者ではない学生がLGBTやセクシュアルマイノリティに興味を持ち、セクシュアルマイノリティ支援団体を作ったきっかけは何だったのだろうか。LGBT当事者ではない身でありながら、BALLoonを創設した久保 勝さん(愛知教育大学3年/22歳)に話を聞いた。

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「中学時代の同級生が、大学生になってからゲイであるとカミングアウトしているのを知って、僕は自分自身にとてつもない罪悪感を抱きました。なぜなら同じ学校に通っていた頃、彼に対してホモという言葉が出ても、僕は何も言おうとしなかったからです。だけど、もしあの時、彼の笑顔の裏にある本当の気持ちに気づけていたら。後悔しました。」

「彼のカミングアウトをきっかけにLGBTという存在を知り、自分が通う大学の講義を振り返りました。「LGBTって言葉習ったか...?」と。LGBTは13人に1人だと言われています。40人学級だったら3人。もちろんそのデータの数字が、40人学級に1人だろうが2人だろうが3人だろうが関係ありません。「存在する」という事実を知ることが大切だと思いました。そして、クラスにいるはずの存在を、自分たちが学んでいないことはおかしい、と思いました。」

「教育現場で、セクシュアリティ(性のあり方)に関していじめや差別が起きやすい原因はこれだ、と強く感じました。教員に知識がないから、今の学校でのLGBTを取り巻く厳しい環境は当然のことかもしれません。だったら、その「当然」を誰かが変えなくては、と。」

詳しい経緯は久保さんのfacebook にて→https://www.facebook.com/masaru.kubo.79/posts/361988887466574

東京ヒューマン・ライツ・ウォッチが2016年5月6日に公表した資料『出る杭は打たれる:日本の学校におけるLGBTの生徒へのいじめと排除』では、LGBTであることを理由に学校でイジメを受けても、担任教師に見て見ぬフリをされたり、戸籍と異なる制服やトイレを利用することを許可されなかったりと、今も教師の無理解によって苦しめられている生徒たちの姿がわかる。

現在の教職課程では、ジェンダーやセクシュアルマイノリティを扱う授業が必修ではない。
今年4月、文部科学省から教育現場に向けてセクシュアルマイノリティの対応に関する通知が出されたものの、教育現場からは「そんな通知はまだ来ていない」「通知が来たことところでどう対応して良いかわからない」という声も聞こえる。

さらには、実際にいま学校の先生として働く人の中にも、周りの教職員(教頭、校長なども含め)がLGBTに否定的な発言をするために、LGBT当事者であることを隠して働いている人もいる。

久保さんは、「性的指向、ジェンダー・アイデンティティ及び人権についての教員研修教材を開発して、現役教師全員に受講してもらいたいし、今後先生になる人達に向けて、すべての大学の教員養成カリキュラムに、LGBTや自らの性的指向やジェンダー・アイデンティティに疑問を持つ生徒など、多様な生徒との関わり方に関する研修を義務として組み込んで欲しい。」と話す。

その上で「現在の教育大学の教員養成カリキュラムには、LGBTなど多様な生徒について知る機会がない。でも、教育に関わる人は全員知るべきだと思うから、教育大学で学ぶ身として多様性を学ぶ必要性を訴えていきたい。」と考えている。

そんな久保さんをはじめとするBALLoonのメンバーは、「まずは今教育大学に通う仲間たちにLGBTなど多様な性について知ってもらうことが重要!」と考え、AIKYO ALLY WEEK(Twitter @AIKYOALLYWEEK) を計画した。
(注)AIKYO(愛教)は愛知教育大学の略称。

ALLY WEEKは昨年12月に明治大学で、今年5月に早稲田大学で開催されている。

「自分たちが通う愛知教育大学は、教員志望者が集まる教育大学。しかも保守的な空気の強い地方の国立大学。教育現場は多様性を受け入れてこなかった歴史があるからこそ、自分たちがいまこの大学でやるべき。」

熱い気持ちを胸にALLY WEEKを計画したBALLoonメンバー。
どんなイベントにするのか、どんな反響が来るのか、期待と不安と共にALLY WEEKの準備を進め始めた。

次回は、2016年7月11日~17日に開催された AIKYO ALLY WEEKの様子を報告する。