独身芸人は「可哀想な人」でいないといけないのか

独身で生きる、という選択だって、個人の立派な生き方の一つだ。

あけましておめでとうございます。

年は明けましたが、私は相変わらず自分のセクシュアリティを周りの人へ明かせていないため、昨年までと同じく顔や本名を明かさずこのブログを続けさせていただこうと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

私は普段、周りの大学生の友人たちと同じくインターネット中心で生活しているため、テレビをほとんど見ない。しかし、正月は実家に帰省し、久しぶりにのんびりとテレビを見ていた。

何時にどんな番組がやっているか全くわからず、適当にチャンネルを変えながらテレビを見ていた。しかし、とある局にチャンネルを変えたときに私の手は止まった。

その局では、芸能人が数人集まって一緒に食事を取りながらトークする番組を放送していた。昨年の報告をし合ったり、新年の抱負を言い合ったりと、正月らしい番組だ。

トークの中盤で、出演者の一人が昨年結婚を発表した、ということが話題となった。

彼女は満面の笑みで「結婚して、毎日がとても楽しい。夫婦で過ごす生活が本当に幸せ」と話していた。私は彼女のファンでも何もないが、彼女の本当に幸せそうな笑顔を見て、「幸せそうなら何よりだ」と思った。

しかし、その幸せトークが終わると司会者がとある独身芸人(Aさんとしよう)に話を振った。

「Aさんも結婚した方がいいんじゃないの?」

追い討ちをかけるように、新婚ホヤホヤの芸能人も、その他の出演者たちも「結婚がいかに素晴らしいことか」そして、「結婚をせず独身でいることがいかに可哀想なことか」を熱弁し始めた。

言われっぱなしの独身芸人・Aさんは、

「俺もなあ...... 欲しいとは一応思ってるけど、もういいかな?って。料理も洗濯も家事とかも全部一人でできるし、一人で長いこと暮らしてて不便ないんだよね」

と苦笑いで答えていた。

Aさんは50歳近くで未婚の男性らしいが、芸人として大成してとても著名な人だ。芸人という仕事で長年高く評価され、一人での生活も楽しんでいるようにも見える。

そんな彼の言葉を無視するように周りはなおも続ける。

「結婚した方が絶対いいですよ!」

「今年こそ、いい嫁さん見つけましょう!」

「Aさんの嫁探しみんなでやりましょうよ!」

とても、不快だった。

Aさんは「一人で暮らす」ことを嫌がっていないし、どちらかと言えば楽しんでいる。

「結婚したい」と口では言うけれど、その表情は「結婚したい」という内容を嫌々言っているようにも見える。

何故だろう。

なぜ、他者の選択にそこまで口出そうとするのだろう?

Aさんが苦笑いしながら「結婚したいとは思ってるんだけどね」と言う姿が、見ていられなくなり、私はテレビのチャンネルを変えた。

今度は芸人がたくさん集まって行われているトーク番組だった。そして私がチャンネルを変えた直後、とある芸人が自分の悩みについて相談するコーナーが始まった。

「俺、もう40歳になるけど、まだ独身だからどうするべきかな、って悩んでるんですよ」

とある芸人がこう悩みをつぶやいた直後に、周りにいた芸人たちが一斉にこういった。

「早く結婚せな!」

「今年こそ嫁さん貰わんと!」

「結婚した方がええで!」

「Aさんみたいに独身のままでおったら、可哀想な人生や!」

寒気がした。

新年早々、どこの局もこんな番組ばかり放送しているのだろうか?

結婚=幸せ

結婚=正しい

この国は、そんな単一した価値観しか許されない社会だったのだろうか。

独身で生きる、という選択だって、個人の立派な生き方の一つだ。

私たちが選択できる生き方の一つに「結婚」があるだけであって、決して「結婚」だけが私たちの人生の全てではない。

今年こそ、そう自信を持って言えるような社会に、少しでも近づける一年になれば嬉しい。

昨年10月より活動している、名古屋あおぞら部

まだ活動を始めて3カ月ではありますが、のべ30人以上の方に参加いただいています。

LGBT当事者の高校生から社会人はもちろん、LGBT当事者を家族や友人に持つ人など、セクシュアリティに関わらず様々な個性の方にご参加いただけて、嬉しい限りです。

みんな持っている個性は違うけれど、同じ青空の下で暮らしている。そして、学生にとっての部活動のように、気軽に集まって、楽しい時間を過ごせる空間を作りたい。

そんな気持ちで名付けた、名古屋あおぞら部。

次回の活動は3月を予定しています。

一人でも多くの方のご参加をお待ちしています。

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