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オバマ大統領の来日の意義

2014年04月22日 14時31分 JST | 更新 2014年04月22日 14時36分 JST

オバマ大統領が国賓として来日するわけですが、その際もっとも問題になるのは、TPPについての交渉かと思うので、これについての少し。

1 TPP交渉

 TPPの交渉が日米で合意に達するかどうかですが、私的には難しいのではないかと思っております。

 日本政府は、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖を重要5品目として、関税撤廃の対象から除外するよう求めています。

 正直この5品目全てを守るのはかなり難しく、最後は米や乳製品を守ることを条件に、交渉のたまとするために、入れたという感じもしないではないと思っております。

2 牛肉

 特に牛肉を巡っては、オーストラリアとEPAの締結で合意し、オーストラリア産の冷蔵牛肉の関税は現在の38・5%から段階的に引き下げ、協定発効後15年目には23・5%になることになりました。

 結果、TPP交渉では、この23.5%という数字が交渉の出発点となっている面もあり、10%台という譲歩案も出されるのではという話も出ております。

 ただ、アメリカは更なる譲歩を求め、一けた台の要求を行っているという話もあり、私的には合意はかなり難しいのではないかと思っております。

 元外交官の天木直人氏は「オバマが最重要視するTPPについては日本の大幅譲歩に終わる事はもはや目に見えている。」としておりますが(日本にとって何一ついいことのない今度のオバマ訪日)、私はそれほど簡単に「大幅譲歩」とはならないだろうと考えているという話です。

3 アメリカ

 実際、オバマ大統領は確かにTPP交渉にはそれなりに熱心だとは思いますが、現実問題として、今の彼に交渉をまとめる時間と能力があるかというとかなり疑問だと思っております。

 対外的に見ても外交面ではどうもプーチン大統領の方が一枚上手という感じがしますし、伝家の宝刀を抜けないと足元を見られた行動が起こるのではないかと心配せざるを得ない状況でもあります。

 国内的にも共和党との不毛な消耗戦を行っているようにしか見えず、何も決められない状況が継続しています。

 11月には、中間選挙が始まるわけで、更に国内に目が行くこととなり、TPPへの関心は薄れるのではないかと思っております。

4 東アジア

 オバマ大統領が東アジアを訪問する目的の1つには中国への対抗という意味合いから同盟の強化を目指すという側面があります(日米韓首脳会議の原因と結果)。

 確かに日本としては、アメリカに守ってもらう立場であり、尖閣諸島の問題もあるため(アメリカが尖閣問題で日本支持を表明したことに対する中国の反応)、いろいろ譲歩しなくてはならない面もあるのは確かです。

 しかし、アメリカの上記のような状態を見ていると無理をしてTPPに付き合う必要もないのではないかという感じもしないではなく、結構私と同じような印象を持っている人はいるのではないかと勝手に思っております。

 それに、韓国はいま旅客船の沈没問題で精一杯となっており、オバマ大統領の訪問にどれだけの労力を払えるかという状態で、日米韓の同盟強化についてもどこまで突っ込んだ話ができるか疑問です。

5 最後に

 正直私はオバマ大統領の外交(政治)能力にはかなり懐疑的で(オバマ大統領の理想とサウジアラビアと靖国参拝)、今のオバマ大統領の指導力で、これだけの大きな案件をまとめきれるのかという懸念が無きにしも非ずです。

 それに、実際問題として、アメリカがどこまでTPPに関心があるかというのも正直疑問で、こうしたことからも日本は何も無理をして大幅な譲歩はする必要がないと考えております。

 こういうことを考えると、オバマ大統領のアジア訪問はどうも形だけということになりそうですが、外交(関係強化)には、こうした形式も大事だと思っておりますので、これはこれで意味のあることだとは考えています。

(2014年4月21日「政治学に関係するものらしきもの」より転載)

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