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中国の「民度が低い」のは文化の違いの問題か?

2013年09月03日 22時33分 JST | 更新 2013年11月03日 19時12分 JST

『Record China』が「国民の民度を国別に比較することに意味はあると思うか?―13億人のアンケート」という記事を掲載しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

1 記事の紹介

これは、『北京青年報』が「中国国民民度は世界ワースト2位との報告書、国連が否定」との記事を掲載したところ、「ネット上でこの話題に関する議論が巻き起こっている」という記事です。

斯様にどうやらデマだったようですが、「何年も前から同様の文章がネットでたびたび話題を集めていることもあり、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報(電子版)」が「国民の民度を国際的に比較することに意味はあると思いますか?」というアンケートを行ったそうです。

結果、「9月3日時点で6393人の回答を集め、うち48%にあたる3040人が『ある』、52%にあたる3353人が『ない』と回答し」、以下のような意見が寄せられとしています。

「文化や歴史、国情が異なれば民族の性格や習慣が異なるのは当たり前。民度の概念や基準についてはある意味で確かに共通認識が存在するものの、異なる点も多い。」

「それぞれの国には自国の文化がある。中国文化の一部は欧米人の眼には民度が低いと映るかもしれない。でも、だからといって彼らから良く言われるために自国の文化を変える必要があるのか?日本は表面的には礼儀正しいが、内心は腹黒い。」

「上に立つ者が不正を行えば、下の者もそれに倣って悪いことをする。各レベル・各部門の幹部の資質を向上させ修養することが差し迫った目前の課題だ」

「私たちは本当にきちんと反省すべき。むやみに痰を吐いたり、ところ構わずゴミを捨てる人はたくさんいる。このままで行けば、たとえ経済的には繁栄しても、他人からは単なる成金と思われるだけで、永遠に尊重されることはないだろう」

2 欧米の基準

やはり、こうした国際比較という話を中国で行うとどうしても最初に出てくるのが、「欧米の基準」という話です。

というのは、人権問題などで欧米から批判を受けている中国は、「中国的人権」を用いて欧米に反論を行い、アメリカが議会への報告書で中国の人権について批判すると、中国もアメリカの人権状況について批判を行うというのが恒例行事となっています(アメリカの人権に対する中国の批判)。

こうしたやりとりを見ている中国人にしてみれば、至極当然の反応です。ただ、中国のたくましいところは、こうした欧米の基準(グローバルスタンダード)に、中国の基準がとって変わるべきだという発想をするところです(中国の発展戦略と国際基準)。

3 多文化主義

カナダなどが有名ですが、他国の文化を尊重しようという「多文化主義」という発想があります。「文化」というといろいろやっかいと思うかもしれませんが、要は個々人の違いを尊重しようということです。

一人一人いろいろ違う考えや行動様式を持っているのだから、それを尊重していこうというものです。それ自体は大変素晴らしい発想で、同調意識の強すぎる日本では(日本型「カースト制」に苦しむ女子大生)、もう少し取り入れるべきだと思う事があります。

ただ、やっかいなのは、個々人の違いをどこまで尊重すべきかという問題が出てくることです。韓国の椀を手に持たないことが礼儀とされている食べ方などが典型ですが、行動様式(価値観)は国々よって異なることがあり、それを許せるか(受け入れられるか)という話です。

アメリカの様に、世界各国からの移民によって成り立っている国家では、最低限度守るべきことは法律で定めてそれ以外は、何をしても自由という発想もありますが、マナー(道徳)などは法律で定めることができない分野なので、問題はそれほど簡単ではありません(甲子園のスパイ疑惑と高野連の対応2)。

4 最後に

元記事では、何故か日本人の悪口も出てきますが、これは「反日」云々以前に、中国では日本人の礼儀正しさは表面的なものにすぎないという考えを持っている人が多いからでもあります(日本人の優しさは表面的で、本当は冷たいと思ってしまう中国人)。

確かにこうした違いを重視することも大事ですが、実際問題、中国人観光客の行動などを見ているとどうかと思うことも多いのが事実ではあります(中国人観光客の「悪習」とその原因)。

ただ、こうした記事が中国でも話題になるということは、自分たちもそれなりに他国の目を気にしていることの現れでもあれば、こうした行動をとる同胞を「恥ずかしい」と思っている人がいることかとも思っています。

直接、中国人観光客を相手にする仕事などをされている方は大変でしょうが、彼らの行動が変わるまで、もうしばらく待つしかないのが現状かと思います。

(※この記事は、2013年9月4日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)