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日本は中国との関係改善のために尖閣問題を棚上げし、歴史認識を改める?

2013年09月16日 22時38分 JST | 更新 2013年11月16日 19時12分 JST

『新華経済』が「中国専門家が安倍首相の対中政策を分析、「近い将来、関係改善の動きをする」―中国メディア」という記事を配信しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

1 記事の紹介

『中国網』に掲載された中国社会科学院日本研究所の何暁松氏の意見を紹介したものです。これによると、以下のとおりとの分析だそうです。

安倍政権は中国との関係が悪いままでは日本経済にとってマイナスであることを意識している。釣魚島(日本語名称:尖閣諸島)問題を棚上げし、時間が過ぎれば、両国は新たな友好関係を築くことができるとの認識だ。

安倍晋三首相は小泉純一郎首相よりも保守的だが、現実主義者である。8月15日に靖国神社を参拝しなくとも中国が厳しい態度をとったため、もし参拝すればさらに強烈な反発を買うことを知っている。

先のG20サミットで安倍首相は中国の習近平主席と立ち話をし、「歴史に対して謙虚に向き合い、中国との関係改善に努力していきたい」と語った。近い将来、日本は関係改善のための措置をとるだろう。

2 尖閣諸島

『中国網』に掲載された記事なので、当然中国の主張にそったものしか掲載されないわけですが、現実問題として、安倍政権が、尖閣諸島問題で「問題を棚上げ」するという殆どあり得ないことを書いています。

日本の公式見解は、「領土問題は存在しない」というものなので、「棚上げ」するべき問題など最初から存在するはずもないという立場です。それをそこまで譲歩するからには、それ相当の理由が必要となります。

この記事では、日本は中国との「関係悪化が日本経済にとってマイナス」だからとしております。確かに、関係が悪化した状態が日本経済にとってプラスということはあり得ませんが、これは中国も同じ話です(「日本企業が中国から撤退するはずがない」と思いたい中国)。

3 安倍外交

確かに安倍首相は保守的と言われていますが、「現実主義者」かどうかは不明です。元記事では、靖国神社に参拝しないことを以て、「現実主義者」と判断しているようです。

中国の記事を見て、しばしば思うのがあまりに「靖国神社参拝」を重要視するあまり、それだけが基準となっているのではないかとしか思えないことが良くあります。

その1つの例として、東京オリンピック開催が決定したとき、中国は真っ先に靖国参拝とオリンピック開催を結びつけて論じてきていることなどが挙げられます(東京オリンピック開催を利用しようとする中国)。

また、中国に言わせれば、靖国神社に参拝したかどうかが「右」かどうかを判断する基準となりうるようで、本来であれば、その人の宗教観なり、中国観なりを検証してみなければ、何もわからないはずですが、どうも参拝したという一点だけで、中国に言わせれば十分なようです。

4 最後に

中国の場合、韓国などと異なり世論をあまり気にしなくも良いということを以前書きましたが(自分で盛り上げた「反日」に縛られる韓国外交)、そうは言っても全く気にしなく良いというわけではありません。

ネットなどでは結構政府に批判的な書き込み(直接的ではありませんが)が見られたり、デモも発生しており、政府としても全く気にしなくて良いとはなかなか言えません。

結果、関係改善をするにも日本側が折れたという形をとることが必要となるわけですが、安倍首相が「歴史に対して謙虚に向き合」うなどと発言したというのは私は初耳でした(念のため補足しておきますが、当然嫌味で書いております)。

(※この記事は、2013年9月17日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)