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自分たちで設定した防空識別圏で、苦悩する中国

2013年11月28日 23時38分 JST | 更新 2014年01月28日 19時12分 JST

中国ネタをメインとしているものとして、やはりこの話題には触れておかなくてならないだろうということで、防空識別圏について少し。

久々の感がなくもありませんが、『環球時報』が掲載していた「国防部回应日军机进我防空识别区:全面掌握情况」という記事がいろいろ興味深かったので、これをネタ元とさせていただきます。

1 記事の紹介

この記事は、11月28日の,中国国防部の定例記者会見をまとめたものですが、それなりにボリュームがあるので、私が関心を覚えたところの一部抜粋・要訳という形で紹介させてもらいます。

記者:中国の防空識別圏設定以降、日本の政府やメディアはこれは中国側が一方的に現状を変えることを宣言したのもので、「意外」な事態を招きかねない危険な行為としている。これについてどう思うか。

回答:中国が防空識別圏を設けるのは、全く正当で、合法的だ。日本側はいつも他国を非難し、泥を塗るだけで、自分のことを顧みていない。

日本は中国側の強い反対を無視し、「釣魚島を購入」した。日本側はここ数年来頻繁に航空機を出動させ、正常に航行し訓練を行っている中国艦の偵察し、時には、自由な航空も妨げた。

一方的に現状を変えようしてるのは、誰か?緊張を煽っているのは誰か?

日本は1969年に防空識別圏を権利がないのに設定し、中国に対して勝手に論じている。もし撤回するなら、日本が先で、中国はその44年後に更に考慮する。

記者:あるメディアは、識別なしに、他国の防空識別圏に入る外国の航空機に対し、防空識別圏の設定国はこれを撃墜する権限があると報道している。これに対してどのよう思うか?

回答:防空識別圏は領空ではなくて、また「飛行禁止空域」でもない。国の領空の外に確定した空域の範囲で、それによって早期警戒の時間を確保し、国家の防空安全に努めるものだ。

国際法と国際慣習によって、外国の航空機は他国の国防空識別圏に入ることができ、同時に、防空識別圏を設定した国は、他国の航空機を識別する権限があり、その飛行の意図や属性を明らかにし、状況に応じた対応をする。

記者:日本の防空識別圏と重なっているところがあるが、これについてどう思うか?

回答:東シナ海の独特の地理的環境から重なる部分がでるのは避けられないことだ。重なった部分については、双方が意見を交換し、ともに飛行の安全を維持すべきと考える。

記者:日本政府は日本の2社の航空会社に対して、中国への飛行計画提出を変更させた。もし外国の民用航空機が許可を経ていないで防空識別圏に入ったら、軍はどのような措置をとるのか? 

昨日アメリカのB-52戦闘機が防空識別区に入ったが、中国軍はアメリカのこのような行為が挑発だと思うか?

もしも日本もこれを見習うことがあれば、中国軍は、どの様な措置をとるか?

回答:中国の防空識別圏の設定は国際慣習に合ったもので、中国側は一貫して国際法の各国の飛行の権利を尊重しており、防空識別圏の設定はこれを変えるものではない。国際フライトは防空識別圏で影響を受けるものではない。

防空識別圏を飛行する未確認物体に対し、中国側は、直ちに識別、監視、管制等の措置を行う。具体的にどんな措置をとるかとなると状況により異なる。

ここで強く指摘しておきたいのが、中国側は空識別圏に入ってくる各国の航空機に対し直ちに識別を行い、状況を全面的に掌握しているということだ。

記者会見後、ある記者が、日本が今日自衛隊が事前通報無しに、防空識別圏に入ったと発表したことに言及した。

これに対して、スポークスマンは、中国は防空識別圏に入る各国の航空機の識別を行っており、状況を全面的に把握していると言及した。

2 苦悩する中国

日本の報道などを見ていると今回の防空識別圏設定に伴い、ものすごく緊張が増したかのような報道がなされています。

確かに、今回の中国側の措置によって、緊張が増したのは間違いありませんが、こうした報道を見ると、中国側も苦悩していることが良く分かるのではないでしょうか。

国内向けのパフォーマンスもあって防空識別圏を設定したは良いが、周辺国からは反発をうけるし、尖閣諸島では、ある程度自制していた感のあるアメリカまでも完全に日本側についてしまったわけで、中国としては、想定外だったと考えます(アメリカが尖閣問題で日本支持を表明したことに対する中国の反応)。

思うに、尖閣諸島でアメリカある程度自制的な態度をとってきたし、「米中の2大強国」構造になりつつあると自分達が思っている状況では、アメリカが日本のために中国に敵対することはないだろうという思いがどこかにあったのではないでしょうか(日本はアメリカがいるから、中国に対し強硬な態度を取っている?)。

日本として、尖閣諸島問題について、どことなくアメリカに対する「片思い」のようなところがないわけでもなかったのですが(日本のアメリカに対する片思いとアメリカの無関心)、完全に解消された様な形となっています。

3 最後に

これまでも何度か書いておりますが、私は日本と中国の軍事衝突が起こる可能性は低いと思っています(中国を批判する中国人は「売国奴」か?)。

確かに中国は予想の斜め上を行く国で、何をするのかわからないところはありますが、もし武力行使などを行った場合、どうなるかということは良く自覚しており、最後の一線を簡単に超えることはないと考えています。

実際、今回の会見記事を見てもかなり自制的で、具体的に何をするかについては一切述べておりません。また、飛行の自由は保障すると言っている以上、だったら何のために設定したのかという感じでもあります。

なお、この記事には感想をつけることができるようになっています。普段日本がらみだと「憤怒」が最も多いのですが、おそらく私と同じような感想を持った方が中国でも多かったと見えて、今回は「可笑しい」が最も多くなっており、あきれた人が多かったのではないかと推察します。

それに、あくまで私の推測で楽観視はできませんが、ここまで航空機の識別を「全面的」に行っていると強調されると、逆に完全に把握する能力が中国軍にはないのではないかとも思ってしまうような感じさえ与えます。

(※この記事は、2013年11月29日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)

尖閣問題 画像集

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