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オーストラリア・ビクトリア大学Begg教授来日 ~足底から日本の未来を変える日本人博士とともに~

2015年08月02日 16時02分 JST | 更新 2016年08月01日 18時12分 JST
Science & Society Picture Library via Getty Images
UNITED KINGDOM - OCTOBER 17: Sectioned white plimsoll, size 8, with cushioned insole, made by Dunlop. (Photo by SSPL/Getty Images)

先日、厚生労働省から日本女性の平均寿命が86.83歳で、3年連続世界1位に入ったこと、また男性も世界第3位に上昇したことが報告された。しかし、問題は寿命が延伸しても健康寿命との差の開きである。2025年問題も控え、益々、日本社会におけるヘルスプロモーションの展開が期待される。

こうした中、先日、オーストラリアから歩行・転倒予防の世界的権威であるオーストラリア・ビクトリア大学のBegg教授と、日本人一人の環境で長年教授を支えてきた長野放博士が来日し、独占インタビューをすることができた。

以下、Begg教授と長野博士のコメントをご紹介したい。

Q:日本の超高齢化問題をどうお考えですか?

Prof.Begg:世界中でも群を抜いていますね。大きな社会問題です。年齢を重ねると様々な要因によりバランスが悪くなり、けがや転倒で入院することが増え、医療費がかさみます。筋肉が減少し、関節は弱くなるので、バランスを維持することが重要と考えております。

Q:なぜ、インソールに着目されたのですか?

Prof.Begg:インソールの研究は、長野博士が博士課程より長年研究して来ました。足の裏は加齢により誰もが変形します。さらに、糖尿病を患うと足裏の刺激が感じにくくなってしまいます。

Dr.長野:これらを考慮し、インソールに着目した理由は3つです。

①履く靴によって入れ替えて使用可能。

②即効性

③コストパフォーマンス

Q:お二人は、なぜ、歩行の研究を始められたのでしょうか?

Prof.Begg:歩行解析は、幅広く社会還元できます。医療や美容業界など異業種とのコラボレーションが可能です。

Dr.長野:自分の祖父母の転倒がきっかけです。祖父がリハビリにおいて、歩行機能が回復・向上したことで、認知機能や気分も上昇していくのを目の当たりにし、歩行機能の復活が、これほどQOLと関連しているのかと強く感じました。

Q:歩行分析やインソールを開発することで、特に期待できる効果はありますか?

Prof.Begg:足の裏にかかる圧力は加齢により一点に集中する傾向があります。まずは、高齢者の転倒予測・予防を通し健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えています。

Dr.長野:バイオメカニクスに基づくインソールは、如何に自分の脚にフィットさせるかということに加えて、全身に影響を及ぼします。転倒予防にとどまらず、マタニティーの方々の腰痛・肩凝り改善のインソール、子どもの姿勢を改善するインソールなど、少子化の日本にも尽力できればと考えています。

Q:なぜ、長野博士と一緒に研究することになったのですか?

Prof.Begg:私が講師、彼が生徒という立場で出会いました。彼がとても優秀だったのでスカウトしたのです。

Q:Begg教授が研究に尽力できるモチベーションは何でしょうか?

Prof.Begg:開発した技術が社会で活用され、感動する人々の姿を見ると次のステップアップに繋がります。

Q:最後に、今後の展望についてお聞かせ下さい。

Prof.Begg:まずは長野博士が開発したインソールを高齢者に提供・普及させていきたいです。さらに、病院への導入はじめ産業コミュニティへの還元を促進させ、転倒予防に貢献していきたいと考えております。

取材後、短期間の滞在日程であったがインソール開発企業や工場見学、病院への訪問などハードなスケジュールをこなしたBegg教授と長野博士。帰国前日のフェアウェルパーティーでは日本の教授や医師、企業の社長たちと交流を深めて無事に帰国の途についた。インソールの販売時期は未定だが、このインソールが日本の未来を変えるかもしれない、超高齢時代という大きな危機を乗り越えられる救世主になる可能性を秘めているように思えた。