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田嶋嶺子 Headshot

「キラキラ系」じゃない大学生がファッション誌で働いてわかったこと8つ

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女性ファッション誌の編集部といえば、ドラマや小説の舞台となるような華やかな世界を思い浮かべる人が多いだろう。モデルやスタイリストといった花形の職業、我先にと最先端の流行を追いかける女性達がいるキラキラしたところ。確かにそうだ、合っている。

かたや、そこで働く私はといえば、どちらかといえばインドア派。確かにファッションは好きだが、そのほかの派手なこと、例えばクラブやリムジンパーティー、その他女子大生が好きそうなことには興味なし、経験もなし。

Facebookの友達も、1,000人はおろか、500人もいないような標準的な大学生だ。雑誌に出てくるような「キラキラ系」の生活とは程遠いのではないだろうか。

そんな私が、「楽しそうだから」と軽はずみにファッション誌で働き始めてから3年目になる。当初は始めての世界で、いろんなことに本当にびっくりしたものの、いつの間にやら企画を任せてもらえるようにもなり、ようやく慣れてきた。

そこで、私が経験した「はじめて知ったこと」「驚いたこと」を忘れないうちに書き留めておきたいと思う。ファッション誌ってこんな感じなんだ...と、雰囲気を感じ取ってもらえたら嬉しい。

1. ライターの仕事は書くだけじゃない


calling women busy

私の職種はライターだ。編集部に入ってから一番驚いたことは、「ライター」という名前なのに書くだけが仕事ではない、ということだ。

毎月企画案を出すところに始まり、担当編集さんやスタイリストさんとの企画固め、各所へのアポ取り、コーディネートの確認、カメラマンさんとの打ち合わせに撮影当日の段取りや進行、ブランドとのやりとり、写真選びなどなど...。数え上げればキリがないほど、いろんなステップがある。

ライターの仕事の中で、書く作業というのは本当に最後の最後だ。そして毎月毎月、締め切りが終われば翌日からまた次月号の打ち合わせが始まる。

そんなわけで、この仕事のどこが「ライター」なんだー!こんなに忙しいなんて、聞いてないぞーーー!!と叫んで逃亡したくなることもたまーーーに、ある。

だからライターと言っても、「大きなカラー写真の横に少し文章を書く人」ではないのだ。誌面全体を作っている、といったほうが近いのかもしれない。ちょっと大きく言い過ぎだけど。

2. 内部の人間関係は、意外と...


office women

ファッション誌で働いている、と言うと、「えっ大丈夫?」と聞いてくる人がいる。どうもドラマなどを見て、人間関係がドロドロしているのではないかと心配してくれているみたいだ。

確かに編集部がかなりの「女社会」であることに間違いはないが、周りが思っている以上にその雰囲気はアットホームだ。

先ほどライターは仕事が多くて驚いたと述べたが、実際は本当に色々な人から助けてもらっている。スタイリストさんや編集さん、先輩ライターの方々など、みなさん優しく新入りを手伝ってくれる。

長くいる先輩は、「よくも悪くも、編集部は女子校だよね」と言っていた。いい面は和気藹々としていて活気があるところ、悪い面はどんな話もすぐに周りに伝わってしまうところ、だそうだ。

これから怖い面を見ることになったらどうしよう、とも思うが、今のところ編集部の雰囲気が嫌だと思ったことは特にない。どうか今後もありませんように。

3. 専門用語がわからない


term office freshman

華やかなファッション誌といえど、「ザギンでシースー」みたいないわゆるギョーカイ用語はあまり聞かない。

その代わり、出版にまつわる専門用語はたくさん飛び交っている。例えば写真ひとつでも、それが「キリヌキ」なのか「カクハン」なのか、はたまた「カゲイキ」なのか...、と色々種類がありややこしい。

ちなみにキリヌキはそのまま対象物の輪郭で切りとる加工を施すもの、カクハンは背景込みで四角く切り抜くもの、カゲイキは対象物とその影を切り抜くものだ。

今でこそこうやって説明できるようになったが、最初はこれらの言葉が写真の種類を指していることすら分からず、現場であたふたしていた。

そのほかにも、「香盤」、「色校」、「ネーム」、「ネガキ」など普段生きていく上では使わないような言葉に出会うことが度々ある。今でも戸惑うが、なんとか周りに聞きつつ頑張っている。

4. 常にオシャレでいる必要はない(たぶん)


fashion

ファッション誌のライターなるもの、常に服装には敏感でないといけない。

...のだが、常に自分までオシャレでいなくてはいけない、とうわけでもないようだ。もちろん、人前に出る格好として最低限のルールはあると思うのだが、Tシャツにジーンズ、スニーカーで現場に現れるくらいなら、全然平気だ(周りの雰囲気というよりは、もうこれは個人の美意識の問題かも)。

特に撮影の日などは、スタッフとして動き回るのでヒールではなくスニーカーが必須アイテム。むしろちょっと底の高いサンダルでいくと、「歩きづらくない?」と心配される。ラフな格好で行くのが前提なので、非常に気がラクだ。

しかしここで問題なのが、最近はスニーカーといってもおしゃれなものが多く、それに合わせた「スニーカーコーデ」もなかなかハイレベル、ということ。カジュアル、かつ気の利いた服装でなくてはいけない。

ファッションそのもの、以上にファッション誌が好きでこの世界に足を突っ込んでしまった私にとって、「編集部に何着ていくか問題」はやっぱり常に頭を悩ませる原因である。


5. 編集部の人たちは圧倒的夜型

working night office

これは、なんとなく察しがつくだろう。撮影でもない限り、基本的に午前中は編集部にあまり人はいない。

そしてその代わりに、夜は果てしなく長い。正社員ではなく外部の人間である私ですら、仕事に行けば22時半より前に帰ることはほとんどない。気づけば終電の時間、なんていうことも割とある。

しかし、基本的に編集部の雰囲気はいつも暖かいので、話しながら作業していることも多い。やらなきゃいけないことがたくさんあってどうしても帰れない、といったときもあると思うのだが、そうでなくても仕事が趣味、のような側面もあるのかもしれない。

しかも、電車がなくなる時間になっても帰る気配のない人々がたくさんいるのだから、編集の方達は皆さんいったい何時に帰っているのだろう...と勝手に心配になる。というか、泊まってる人もいる(らしい)。

6. 早朝ロケの集合時間は、もはや朝じゃない


sleepy morning

しかしその一方、ロケの日は恐ろしく早い。人通りの多い街中で撮影するのを避けるために、なるべく朝早く撮り始めたいのだ。

一体どれくらい早いのかというと、5時に集合、7時に撮影開始とかそれくらいだ。その日のモデルさんの人数にもよるが、メークに2時間ほどかかるため、どうしても入り時間は早くなってしまう。

また、5時といえばまだ始発が動いていない時間なので、必然的に移動はタクシーだ。

朝3時に起きるのですごーーーく眠いのだが、まだ大学生なので会社のお金でタクシーに乗れるのが嬉しく、ちょっとテンションが上がったりする。

それにしても、終電より遅く帰り、始発より早く集合する編集の人たち、どうなっているのだろう...。

7. 季節感が狂う


closet upset

これはファッション誌の宿命だ。真冬に春服の撮影をし、春になれば次の秋冬の展示会(ブランドの新作発表会)を回る。

いったい今が何月で、どんなアイテムが適しているのか、なんて気にしてはいられない。特に、自分の服装をおろそかにしがちな私にとっては、ついつい仕事に引きずられて今日何を着ればいいのかわからなくなる。

さすがに夏服と冬服は間違えないが、たまに春と秋はごっちゃになって、季節感のずれた服を着てしまう。

あとは、撮影ペースに惑わされて春なのにもう夏っぽい服を着たり、まだ秋口なの厚着してしまったり...。しょうがない、可愛い服を見てるうちに自分も着たくなってしまったのだから。

8. モデルさんだって中身は普通の人間


shooting magazine

ファッションモデルは、ツンとすましてわがまま?いや、実はそうとも限らない。

少なくとも私が知る限りでは、そんな場面に遭遇したことはない。多くの人がとても感じよく接してくれるし、私がどんなに下っ端のころでも親しげに話しかけてくれる人もたくさんいた。

彼女たちの美意識やファッションに対する思いは、一般人よりも格段に高いだろう。しかし、それ以外の部分ではいたって普通の生きた人間だ。撮影の合間にも、友人との旅行話や恋の悩みなど、いたって等身大の話題が聞こえてくる。

雑誌やテレビで活躍するトップモデルであれど、周囲への気遣いやいつも笑顔でいることを忘れない素敵な人たちだ。

私は初めて仕事でモデルさんと会った時に、外見だけでなく、振る舞いや言葉の端々からもすごくハッピーなオーラが溢れていて天使みたい、と思ったのをよく覚えている。綺麗な人がにこにこしているのだから、それはもう周りのみんなが幸せになる。

私もせめて、常に笑顔でいることくらいは頑張らなきゃいけない、と思う。働く中で驚くことはたくさんあるが、これからも前向きに頑張っていきたい。(キラキラ系への道は遠いけれど)