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田村遼佑 Headshot

あなたがユニクロやH&Mを選んで、古着を着ない5つの理由

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古着が好きで、もっと言うとファッション全てが好きで、通っていた広島の大学を中退し上京したのが5年前。21でこの世界に入って昨年、25歳の時に祐天寺にて一国一城の主となりました。

90年代にヴィンテージ古着というジャンルが確立された頃を第一次古着ブームと呼ぶなら、ぼくが高校生(2005年ぐらい)の頃、カリスマ美容師ブームと共に、第一次のそれとは違った形で古着が脚光を浴びたのを第二次古着ブームとしましょうか。この両者の大きな違いは、第一次は古着というプロダクト自体に価値が付いていたのに対し、第二次はそれをどうファッションという大きなカテゴリーに落とし込むかということでした。

ベタベタに後者で育ったぼくは、日々のスタイル、ファッションに古着を取り入れることが当たり前でした。

しかし時代は変わります。当時ほど爆発的に古着というカテゴリーがフォーカスされなくなりましたが、それでもこの仕事をしていく中で日々考えることがあります。

それは、「なぜ古着を着る人が増えないのか?」ということ。よく言われる汚いからとか、誰が着たかわからないとか、ここで触れるまでもないものは省いた上で(現段階での)その答えをぼくなりにまとめてみました。

①シェアできない


SNSが身近な生活ツールの一つになった昨今、好きなもの、買ったもの、興味のあるものをシェアするのは当たり前になりました。

例えば新品の場合、今年で言うとGUのスカンツとかラグジュアリーブランドで言うとエルメスのバーキンだとか、価格に差はあれど同じものが複数あります。誰かがシェアしているのを見て欲しいなと思ったら、お店に行けばいいのです。同じものが置いてありますから。モデルや芸能人がSNSであげた服が売り切れになる...。というのはよくある話です。

ところが古着はこの法則が通用しません。基本的にすべて一点物(ではないものも多数ありますがここでは一旦置いておきます)ですからね。このシェアできないという事実は、現代においてニッチ→マスになるために致命的なのです。

②ネットで買いづらい


fashion used clothes

これは①のシェアできないに通ずるものがありますが、ネット販売が大普及した現代の消費社会から古着業界が出遅れる大きな要因になっていると思います。

例えば、仮にリーバイスのデニムという括りで探したとしても、年代、色落ち、シルエット、コンディション、値段etc、と細かく情報が異なってきます。売り手にもかなりの知識と労力を要します。仮に全ての商品を時間をかけて正確に伝えたとしても、結局1点しか在庫がないため売れた瞬間にネット上でのその商品の情報は価値がなくなってしまいます。消費者はフラストレーションがたまる一方です。

つまり一点物のため、一点一点明確なディテールを示さなければならないのはビジネスの非効率化を、ダメージや汚れなどマイナスな要素をネット上でアピールしないといけないのは購買意欲を損なわせる原因になります。

③定義が曖昧


一口に古着と言っても、今日買った新品も明日売ってしまえば古着になるように何がどこまでが古着なのか線引きが非常に難しいことが挙げられます。

自己紹介欄で述べたように昔は古着=ヴィンテージという明確なイメージがあったのですが、最近の古着屋は1シーズン前のブランド物を店頭に並べて売っていたりリサイクルショップと大差ないラインナップになってきました。

加えて1990年代や2000年代以降の所謂レギュラー古着と呼ばれるジャンルまで登場していよいよカオス状態です。ハイブランドを身に付けるのと半ば同等であった古着を身に付けるというステータスが、定義の曖昧化によって魅力的なものではなくなってしまいました。

ファッションカーストを作ったときにそれをピラミッドに例えると、古着はスフィンクスのような存在です。本来縦関係でカテゴライズされるべき存在ではありません。
しかしながら現在古着というジャンルの概念は、非常にフワッと、ボヤッとしているわけです。

④マイナスな要素が必ず存在する


damaged jeans men

古着を着ない人の多くが、着こなしが難しいから、という理由を持っています。それは古着にはどこかしらマイナスな要素が存在するからだと思います。

例えばサイズ。同じSサイズでも、経年変化による縮みや時代背景、ブランドによっても定義は様々です。着丈は合っているのにそで丈が、シルエットは好きなんだけどウエストが...なんてことは古着ではザラです。

しかし、洋服を着る上でトータルの完成度は必ずしも100%である必要はないとぼくは思います。。むしろ少しマイナスな要素を入れてあげる、わかりやすく言うと外しや抜け感です。そういうニュアンスを入れて70点ぐらいにしてあげる。これがファッションの醍醐味だと思うわけです。そういう意味で古着というジャンルは、点数を下げるツールとしてはこれ以上ない存在です。


しかし一般社会において、点数を下げる行為というのは非常にリスキーです。普通に生活する上では全くもって必要のない行為です。だからみなさんが、古着を避けてしまっているのだと思います。

⑤ファストファッションの台頭


もちろん例外はありますが正直に言って古着なんて欧米では基本的にリサイクル用品です。街の至るところに住民の寄付で成り立っているリサイクルショップがあり、そこでは日本だと考えられないぐらい安い値段で売られています。和服や着物が海外だと高値で取引されているように、ファッション後進国であり洋服への憧れが強い日本では欧米の古着の価値があがるのは半ば必然です。

そんな欧米の洋服が安く大量に手に入るファストファッションの台頭は、今回のテーマで話を進めていく上で避けては通れない問題です。

古着を着る理由の一つに安いから、というのがあると思うのですが、ファストファッションはさらに安く、しかもトレンドをしっかり反映させています。

大量生産、大量消費なので簡単にシェアできる、ネットでも買いやすい、プチプラでトレンドを取り入れることがオシャレとされている、サイズ展開、カラバリ豊富、①から④で述べたことが全て当てはまります。

shopping happy phone


これを読んでいると古着にはデメリットしかないように見えますが、それでもぼくがこの仕事を続ける理由は、やっぱり古着が好きだからです。

完璧ではないものに僕は惹かれるのです。完璧じゃないからこそ魅力的にみえるのです。ぼくが古着屋をやっているのはそれに近い気がします。そしてこれからもこの仕事をやり続けると思います。

明日、この記事を読んでくれた誰かが久しぶりに古着屋に行ってくれたらぼくは本望です。そうやって少しでも古着の魅力に気付いたり、再確認してくれたら本望です。ぼくも一販売員としてそのお手伝いができればと思っています。