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丸出だめ夫とプログラミング

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 石戸奈々子さんの『デジタル教育宣言/スマホで遊ぶ子ども、学ぶこどもの未来』(角川EPUB選書)を一足先に読ませてもらった。石戸さんは、CANVASというNPOを率いて2002年から子供むけにプログラミングを含むワークショップの活動をされてきた。昨年10月には、グーグルのエリック・シュミット会長が来日して、同NPOと協力してコンピュータサイエンス教育を支援すると発表して話題となった。

 いまや世界がプログラミング教育というものに注目している。米国では、小学生から高校生までサマーキャンプがあるが、定番のアウトドアからプログラミングの人気が急上昇中だというニュースがあった。まさに世界は変わったのだ。日本も、2013年6月に閣議決定された成長戦略には、「義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進する」とうたわれた。

 本によると、日本は、15歳の生徒がコンピュータを利用する割合はOECD加盟国中で最下位に近く、「プログラミングのためによく使う」割合は、米国33%、OECD平均で23%、日本はわずか3%で最下位。これは、2003年の調査だがその状況はあまり変わってはいなそうだ。2012年のPISAの調査で自宅でコンピュータを使う生徒の割合は33カ国中下から2番目だった。

 石戸さんの本は、そういう中でのCANVASや"デジタルえほん"など自身の活動や考え方とともに、さまざまなところで行われているプログラミング教育をとりまく動きを紹介している。有名な佐賀県武雄市の例だけでなく、板橋区立神板橋第二中学校、学習院女子高等科、所沢市立松井小学校、品川区立京陽小学校など学校の事例、三鷹市の中原はちのすけクラブ、南相馬ITコンソーシアム、Coder Dojoなどの民間の活動、It is ITはなんと"子どもによる子どものための子どものプログラミングワークショップ"だそうだ。

 米国のオンライン教育を一変させたカーンアカデミーにはじまるという反転授業や、韓国のスマート教育、もちろん、子ども向けのプログラミング教室の現場でどんなことが起こるかも描かれている。いろいろな事例や調査データ、人々の意見も紹介されているが、我々がいま手に入れたデジタルテクノロジーが、石戸さんの言葉では、「たのしい」、「つながる」、「べんり」というところに集約されているのだと思う。ちょうど"音楽"や"カメラ"や"コミュニケーション"がそうであったように"デジタル"が特殊なことではなくなるということだ。

 そして、社会全体を動かしているコンピュータの動作原理を知ることの重要性とともに、プログラミングそのものに子どもの成長にとって可能性がある!

 さて、その石戸奈々子さんを招いて「プログラミング・デイ 2014 シンポジウム」を、12月7日(日)に六本木ニコファーレで開催することになった。「プログラミングの学び方とは」と題した、石戸奈々子さん× 村上憲郎さん(元グーグル日本法人代表取締役)の対談は、どんなヒントがとび出すか興味深い(Tech Instituteプログラミング・デイ 2014の公式サイト=http://peatix.com/event/60217/)。

 シンポジウムでは、「クリエイティブな学びとは」と題して、伊藤ガビン氏(ゲームデザイナー)、西村俊之氏(大人の科学編集長)、渡辺登氏(株式会社アフレル=教育版レゴ代理店)、岩朝暁彦氏("ハッカドール"プロダクトオーナー)でパネルディスカッションも行う。「ゲーム」、「実験」、「レゴ」、「おたく」という、プログラミングの周辺事情から"学び"をみてみようというわけだ。ところで、自分はどうやってナード(コンピュータおたく)っぽい性格に育ったのかを考えてみると、コンテンツの影響が大きかったと思う。

 それは、往年のテレビ番組『丸出だめ夫』(森田拳次のマンガが原作)のような世界だ。だめ夫の父、丸出はげ照はノーベル賞すら取れそうな天才科学者だが、どこかズレている。とんでもない失敗も発生するのだが、それでOKという絶対的な楽観主義に貫かれている。それは、まさに科学者の心ではないか? いちばん記憶に残っているのは、野球でまったくヒットが打てないだめ夫のために"どんなボールも吸い寄せてしまう薬"を作ってしまう。すると野球場に行く途中に練馬高野台のガスタンクがグラグラと揺れるのだ。

 実は、こうした予想のつかないことの試行錯誤をひとりでも仲間とでも体験できるのがプログラミングである。米国は、いまもナードものドラマや映画は凄くあって、コテコテの救いようのないくらいのテクノロジーおたくが脇役どころか主人公で登場する。それが、いまのデジタルテクノロジーと呼応しあってグーグルやアップルを支えている。いろんな視点から、プログラミングのことを考えてみるタイミングではないか。

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