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経産省が封印したがった「再生可能エネルギーの導入見込み量の推計」

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SOLAR
(画像はイメージ) | Tetra Images via Getty Images
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河野太郎氏は自民党の中にいながらもとても良い活動をしてくれていますが、今回の働きには本当に関心しました。経産省の圧力により公表が控えられていた、環境省による「再生可能エネルギーの導入見込量・効果影響の推計」というドキュメントの公開をしてくれたのです。

原発・火力発電から再生可能エネルギーへのシフトに関しては、経産省が「現実味がない」「日本経済に悪影響を与える」と否定的な立場を崩していませんが、この資料を見る限り、非常に現実的であるどころか、「二酸化炭素排出量の大幅削減」「エネルギー自給率100%」の達成への一番の近道にすら思えます。

ファイルは28MBの重さなので、結論だけ知りたい人のために、重要な数字を含むページのみを貼り付けておきます。

まず最も重要なのは、稼働率も含めた発電量の見積もりです。低中高の三つのシナリオで書かれていますが、中のシナリオだと、2030年で28%、2050年で55%を再生可能エネルギーだけで賄うことが「現実的」だとしています(年間需要を 10,000億kWh と仮定した場合)。今後、省エネと少子化で需要が減れば、この率はもっと高くなります。

次に重要なのが、エネルギー自給率の上昇により減少する産油国への資金流出です。やはり中位の資産で、2030年までに約19兆円の資金流失の減少が見込まれます。

そして産油国に流出するはずだったお金は、設備投資などの形で GNP を押し上げ、雇用も生み出すことになるのを示したのが下のページです。

米国の原発が「経済的理由」で次々に停止していること、フランスのアレバ社が存続が危ぶまれるほどの損失を去年計上したことなどを見ても、原発が経済的に成り立たないことが明確になりつつあります。「核のリサイクル計画」も既に破綻しています。原発は今や「ババ抜きのババ」なのです。

第二次世界大戦では、敗戦が濃厚になってからも軍部がそれを認めず、そのために何万人もの日本人が落とすべきではなかった命を落としました。日本の原発政策もすでに行き詰まり状態にあります。原発政策の失敗を認め「勇気ある撤退」をすべきだと思います。

(これは、メルマガ「週刊 Life is Beautiful」3月3日号のコラムに加筆したものです)