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狙撃、地雷で死亡するイラクの子どもたち-ISから逃れて

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セーブ・ザ・チルドレン、バクダッド現地フィールドマネージャー マイク・マックスカー

北部イラクにある埃っぽい警察署、ここを楽園と呼ぶのは不思議な気がする。しかし、ここで寝起きする8家族にとっては、この固いタイルの床の上での生活が楽園なのだ。

赤ん坊は泣きやまず、幼い子どもたちは、疲れて倒れこんだ場所でそのまま寝ている。彼らは前夜、100キロを歩き、山を越えてIS(イスラミック・ステート/イスラム国)の支配地域から逃れてきた。子どもたちを含め、多くは裸足で歩き続け、生き残ったのだという。「牢獄から天国にたどり着いた感じです。やっと家に帰ることができたような...」5人の子どもに囲まれて、ある母親は語った。

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ISの支配地域から逃れてきた家族

彼らは、自分たちは、ラッキーだったと話す。そして、ここまでたどり着くことができなかった家族の凄惨な写真を私に見せた。

携帯電話には、IS戦闘員による狙撃や検問所を逃れたにも関わらず、結局、野原や山道に埋められた地雷を踏み、死んでしまった子どもたちの写真があった。水がなくなり、のどの渇きを癒すことができずに倒れて死んだ人もいる。ある女性は、脱出ルートを教えてもらおうと、密航業者に何千ドルも支払ったにもかかわらず、きちんとした行き先を教えてもらえないまま、家族とともに暗闇の危険なルートに放り出された。

イラク軍が、国内第2の都市モスルの奪還に向けて進むにつれ、私は似たような話をいくつも耳にした。IS戦闘員に捕まって処刑されるかもしれない危険を冒しても、人々は、最終攻撃が始まる前に子どもを連れて逃げようと必死だ。ある女性は言う。

「4回、逃げようとしたが、その度に捕まって連れ戻され、夫は激しく打ち叩かれた」と。

イラク軍が奪還作戦を開始し、モスルの周辺地域で緊迫した状況が続くなか、激化する戦闘を恐れて避難する人の数は増加の一途をたどっている。国連のほか、私たちのような支援機関は、モスル奪還に向けた大規模な軍事作戦が始まれば、100万人以上の大集団による脱出が起こるだろうと推測している。

最近イラク軍が制圧した地域の状況を見る限り、セーブ・ザ・チルドレンでは、水、食料、避難する場所、心理的応急処置など、あらゆる支援が必要になると考えている。支援物資を届けに行ったとき、「私たちは今着ている服しか持っていません!」と、一人の男性が叫んだ。

幼い子ども中には、ISの支配による長く悲惨な2年間の記憶しかない子どももいる。また、何としてでも子どもたちを食べさせるために、時には雑草を調理することまでしたと証言する家族もいた。

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私が出会ったどの家族にも、痛ましい物語がある。刻々と近づく戦闘に巻き込まれるのを逃れるためにモスルを脱出する人々の膨大なニーズに応えるべく、セーブ・ザ・チルドレンは準備を進めている。私たちの推定では、まだ60万人の子どもたちが、ISが支配する地域に閉じ込められている。緊急出動要請が出れば、12-72時間以内に必要な人に緊急支援物資を届け、親や大人の付き添いもなく、単独で避難する脆弱性の高い子どもたちを適切に保護し、可能な限り家族と再会できるよう支援することを目標としている。一方で、全般にわたり資金が不足している。ここ数年で最も重大な人道危機になるかもしれない事態にも関わらず、国連は必要な資金の半分も調達できていないのだ。私たちには、もっと支援が必要だ。攻撃が激化する中、まずこの攻撃から逃れようとする子どもたちの安全が確保されなくてはならない。そして、もしも生きて脱出することができたら、その子どもたちは守られなくてはならない。

セーブ・ザ・チルドレン緊急支援活動の進捗はこちらから
http://www.savechildren.or.jp/