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「自分たちだけでいいじゃんという考え方が、すごく危ないと思うんです」REINA、混迷する世界情勢の中で―セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン事務局次長髙井明子との対談

2016年12月08日 02時57分 JST | 更新 2016年12月08日 02時57分 JST

ブラウン大学卒業、ハーバード大学院修了、ビル・クリントン事務所やインターポールでのインターンシップ、CIA内定やFBI試験の合格、ロイター通信での勤務など、その異色で多才な経歴で注目を集めるタレントのREINAさんと、東京大学大学院修了後、国連人口基金での職を経て、現在はセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン事務局次長を務める髙井明子が、今の混迷する世界情勢の中で、国際NGOができることは何か、また果たすべき役割について語り合いました。

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髙井明子(以下、髙井):とてもユニークな経歴をお持ちのREINAさんに、実は以前から興味を抱いていました。詳しい経歴を拝見すると、国際NGOでのインターンのご経験もあって、さらに興味がわきました。

REINAさん(以下、REINA):オックスファムやアムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなどでリサーチ系のインターンをしたことがあるんです。国際NGOといってもいろいろな種類があって、カルチャーやワーキングスタイルもそれぞれ全く違うのが不思議でした。

髙井:実際に国際NGOでインターンをしてみてどうでしたか?

REINA:どれも大きな団体だったので、私一人では何もできないだろうなってちょっと感じましたね。思っていたよりも、すごい大きなマシーンという感じで...。

髙井:私は国連で勤務する前に、HIV陽性の人やエイズを発症している人への直接支援をする、専従職員が数名しかいないような小さな日本のNPOで仕事をしていたんですよ。その時に国際NGOやNGOのネットワーク組織の方と出合いました。

その後、国連で国際NGOの人と一緒に仕事をするようになって、この人たちは国連にかなり近いところにいるという印象を持ちました。

コミュニティベースの本当に草の根の団体と国際機関の中間に立って、特に政策や国際の枠組みみたいなものを作る過程では、現場の声を吸い上げる役割を果たしていることがわかったんです。

REINA:ちょっと話が変わるんですけど、最近のニュースでいうと、貧困女子高生の問題があった時にびっくりしたのが、そんなにバッシングするんだ...って。貧困とは何か、基準は何なのか、そもそも貧困の基準を明確なものにするべきなのか、そんな議論になるのかなって思ったら、なんとなくフワーって終わってしまった。

貧困の課題があることは知っているのに、意識というか認識というか、理解度がまだ低いのかなって思ったんですね。となると、やはり社会の中での意識や理解の向上って、NGOやNPOの役割なのかなって思いますね。政府はそこまでやらないですから。

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髙井:そうなんですよね。やっぱりその貧困問題の時に、何ていうのかな、結局その子がどういう状況だったのかなっていう、そこまでの過程よりも、画面の中に何が映っていたかが注目されてしまった。問題は、絶対的貧困ではなくて、相対的貧困だったはずなんです。

セーブ・ザ・チルドレンが大切にしているコアバリュー、子どもの権利、権利基盤型のアプローチからすると、子どもは助けられるだけのものではなくて、自分の権利を主張する権利を持っている主体であるということ。ただ、そのアプローチ自体が、もしかしたら社会的に認められなければ、私たちが活動を通して進めていることは実現されなくなってしまうんです。

REINA:ちょっとポリティカルな側面もあるということですか?

髙井:これはアメリカの例ですけれど、アメリカでは民主党政権と共和党政権が入れ替わることがありますよね。すると、政権が変わった瞬間に、特定のイシューへの政府からの拠出金がストップしたりするんです。REINAさんがビル・クリントン事務所でインターンをされていた時はどうでしたか?

REINA:どうなんだろう...?NGOやNPOの世界って、なんか聖域というか、精神性という部分があって、ポリティカル(政治的)ではあってもポリティックス(政治)そのものではないですよね。

良いことをしようとしてるんだよねっていう前提があるから、そこにポリティックスをダイレクトに持ち込むことはやっちゃいけないことという認識があるように思います。

髙井:REINAさんは、大学でテロ対策について学ばれて、中東の問題や難民・移民問題に大きなご関心があるとお聞きしましたけれど、イギリスのEU離脱やアメリカ大統領選挙の結果を踏まえて、今の世界の流れ、その流れに対して国際NGOとしてできること、やるべきことは何だと思いますか?

REINA:そうですね...国民が政治家とか国を信頼していない世界になってきている。誰も助けてくれないんだったら、もう国民が政治をコントロールする、政治家が作る政治はやめろっていうポピュリズム的な感じに進んでいるんですけど、もうすごい危なくて、変な空白というかギャップができてしまっている。

そこに入るのがNGOとかなのかなと思いますね。政府への信頼がもうどんどん落ちていく中、リセットというか、その分サポートできるのがNGOの役割なんじゃないかなと。

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髙井:私個人としては、いわゆるポピュリズムは基本的に賛成ではないですけど、新しい世界の動きとして、もしかしたら、逆にチャンスにもなるんじゃないかと思う部分もあります。

REINA:いずれにせよ、子どもが犠牲になるのが一番あってはならないことですよね。今は、それをひとつの国とかひとつのNGOだけで何かできることではないので、みんなで一緒に解決策を探さなきゃいけないことなんだけど、どんどん閉ざされた世界になっていて、結局は犠牲になるのは子どもたちじゃないですか。

ポピュリズムとか国民が、政治を変えたい、政府を変えたいっていうのもわかるし、それもいいとは思う。でも、イコール自分たちだけでいいじゃんという考え方が、すごく危ないと思うんです。

髙井:やっぱりこういう状況の中では、市民社会の人たちが意見を出して変えようとすること自体が困るという感じで、市民社会の人が活動できる居場所はどんどん狭くなってくる。日本の場合には特に、元々狭かったから、どんどん狭まってくると嫌だなって、そこはすごく感じているところです。

REINA:日本は混乱しなすぎだと思います。安定しすぎていて、平和すぎて、なんかちょっとアップダウンがあるのは経済だけですよね。日本だともうちょっと何でしょう、ポピュリズムじゃないですけど、エネルギーがあってもいいのかもと思いますね。

やっぱり世界の人たちに比べると、政治に対する思いとか、社会問題に対する、それこそNGOとかに対する熱意とか、もう比較すると全くないですからね。もったいないなって思いますし。

髙井:何かに対して疑問を感じたり、おかしいなって思っていたとしても、それっておかしいよね、じゃあちょっと変えましょうということが、小さな問題に対しても、ないですよね。

REINA:アメリカ大統領選を見て、じゃあ日本の選挙ってどうなんだろうって考え始めた人が多いらしくて。カオスじゃないですか、今世界は。それはいい機会というか...自分って誰なんだろう、日本ってどういう国なんだろうって、色々考えなおす機会ではあると思います。

髙井:自分が何かを見ておかしいなって思ったときに、おかしいと思ったことにまず気づくことが結構重要なのかなって思います。特に、子どもたちにはそういうことができたらいいなと思っていて。

やっぱり、子どもとしては自由にそういう発想をできる、大人はそれに上手く答えられる、というのが上手くできるといい。でも、難しいんですよ。本当は単純に言ってしまえば、意見を言える場所を作ったらいいと思う。私たちのようなNGOの役割はそういうところにもあると思っています。