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黄熱の脅威に立ち向かう

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これは、セーブ・ザ・チルドレンがコンゴ民主共和国で実施する黄熱対策支援の現場で、コミュニケーションズ・コーディネーターとして活動するサラ・フラッタロリによる手記である。

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私は、見聞きしていることすべてを日記に残そうと、メモを取っている。

しかし、ぬかるんだ凸凹の道を進む車中では、どう頑張ってもうまく字が書けない。諦めて、車窓から外を眺めることにした。私は現在、コンゴ民主共和国の首都、キンシャサにいる。ここは、人口が1000万人以上の密集都市で、黄熱による重大な危険にさらされている。

危機的状況


2016年の初めに最初の感染者が確認されて以降、広大なスラムを抱えるキンシャサでは、黄熱は拡大の一途にある。非常に有効なワクチンはあるが、ここでは、接種していない人が700万人に上るという。

加えて、数多くの水たまり、衛生管理や下水システムの欠如は、ウィルスを媒介する蚊にとって絶好の繁殖地となっている。雨季がいつ始まってもおかしくない状況も、不安な要素である。

黄熱は、下痢や嘔吐を引き起こし、人々は高熱に苦しむ。重篤な場合には、目や皮膚が黄色くなる黄疸の症状のほか、目や口からの出血がみられる。黄熱には特別な治療法がなく、10人に1人が死に至るといわれる。キンシャサだけでも、700万人が黄熱の脅威にさらされているといっても過言ではないのだ。

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ワクチン接種の支援

コンゴ政府の実施する黄熱ワクチン接種を支援するため、私もここにやって来た。この取り組みは、アフリカで実施されるワクチン接種としてはこれまでで最大規模。コンゴの保健省は、10日間でキンシャサのすべての住民に対するワクチン接種を想定している。私たちが担当するのは、34万人が住むキンシャサ郊外のビンザ・オゾンという場所だ。

ワクチン接種所で最近、エスターという11歳の少女に出会った。注射は怖くなかったと話し、これで黄熱から自分の身を守ることができると喜んでいた。しかし、注射する瞬間の話をした時の彼女は、手で顔を覆っていた。もしかしたら、注射はやはり怖かったのかもしれない。

子どもたちを接種所に連れてきた母親たちは、ワクチン接種が無料でありがたいと話した。もし、無料でなかったら、ほとんどの人がワクチンを接種することができなかっただろう。

国際的なワクチン不足

保健省の努力や私たちのような団体の支援に関わらず、世界的なワクチン不足は大きな課題だ。ワクチンの製造には一年を要する。この間に黄熱の感染が拡大して、手が付けられないような状況になってしまう可能性もあるのだ。

現在、コンゴで実施しているワクチン接種では、一回の接種で通常の五分の一の量を投与している。こうすれば、少なくとも人々を一年、感染から守ることができ、その間にワクチンの製造も世界中で進むだろう。

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冷却保存システムと医療廃棄物処理-専門チームによる支援

ビンザ・オゾンでワクチン接種を実施するセーブ・ザ・チルドレンの緊急保健チームは、医者や看護師のほか、水や衛生、後方支援の専門家、その他の緊急保健介入の専門家で構成されている。私たちは、ワクチンが冷却保存された状態で、倉庫からビンザ・オゾンに計102カ所あるワクチン接種所に届けられるよう支援している。また、使用済みの注射器や注射針など、医療廃棄物の収集と処分のための仕組みづくりにも関わっている。

こうした活動は、ささいなものだと思われるかもしれない。しかし、この国では、毎日のように気温が30度を超え、道端の溝は、ごみ集積所と同じだと考えられている。道路事情も悪く、車の中でメモを取ることもままならない。ここでは、医療廃棄物の支援はささいなことではない。

そしてワクチン接種の支援も、黄熱の感染拡大を食い止め、発症の収束につなげ、キンシャサの人々、子どもたちを守るために必要不可欠なのだ。