未来技術遺産にカメラ付き携帯など49件

国立科学博物館(東京・上野)は8月26日、未来に引き継ぐのにふさわしい重要科学技術史資料(愛称・未来技術遺産)に、カメラ付き携帯電話やレンズ付きフィルムなど49件を登録したと発表した。
時事通信社

国立科学博物館(東京・上野)は8月26日、未来に引き継ぐのにふさわしい重要科学技術史資料(愛称・未来技術遺産)に、カメラ付き携帯電話やレンズ付きフィルムなど49件を登録したと発表した。国立科学博物館で9月2日に所有者を招いて登録証と記念盾の授与式、9月2日~9月28日に一部実物も含めパネル展示。同登録制度は日本のすべての科学技術を対象として2008年に始まり、今回で計184件となった。

今回登録されたのは、大半が戦後の技術資料。最も新しいのは、高エネルギー加速器研究機構のKEKB加速器用に2002年、製作された高出力のUHF帯連続波クライストロン。次いで新しいのは2000年に登場したシャープのカメラ付き携帯電話で、撮影した写真をそのまま携帯電話のメールで送信でき、「写メール」という言葉を普及させた。現在では当たり前になって、急速に高度化している携帯電話のカメラのさきがけとなった。

「フジカラー 写ルンです」は富士フイルムが1986年に発売した世界初のレンズ付きフィルム。それまで写真撮影にはカメラが必要だったが、子どもでも手軽に写真を撮ることが一般的となり、写真文化のすそ野を一気に広げた。徹底的にシンプルにしたシャッターや安価なレンズ、巻き上げ機構、ボディーへの軟質プラスチックの採用など、当時の革新技術が詰め込まれた。

今回の登録で最も古いのは、1914年に製作された光学顕微鏡のエム・カテラ。いわしや松本機械店(1915年よりエム・カテラ光学製作所)が、当時先端だったドイツ製を模倣し、良好な性能と安定した品質で量産した。顕微鏡の名称は、共同で製作した4人の名前の頭文字を連ねた。これを礎に日本の顕微鏡技術が発展し、この100年で世界のトップレベルになり、科学、医学、産業などさまざまな分野で貢献してきた。

このほか、ソニーが1981年に作った世界初の電子スチルカメラ「マビカ試作機」や、シャープが1987年に発売した電子システム手帳、1960年の日本最初期の量産型カラーテレビ、1970年代の初期のファクシミリ、1950年から警察無線に広く使われた国産初のFM方式超短波移動無線装置なども登録された。

関連リンク

・国立科学博物館プレスリリース

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・2013年9月4日ニュース「セメダインや金鳥も"未来技術遺産"に

・2013年7月24日ニュース「江戸時代のからくり人形など"機械遺産"に

・2012年9月5日ニュース「新たに21件の"未来技術遺産"

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