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金利リスクに家を賭けたがる人たち (淡河範明 ホームローンドクター)

2014年05月21日 18時12分 JST | 更新 2014年07月19日 18時12分 JST

■金利予想をする人は半分くらい

住宅ローンの相談をしていて不思議に思うことがあります。それは、金利予測に信頼性があると考えている人が本当に多いことです。

住宅金融支援機構の「2013年民間住宅ローン利用者の実態調査」を見れば、2013年度7~10月の調査では41.3%人が変動金利を採用しています。変動金利を採用した人の多くは、金利を予想しているに違いありません。

もちろん、「金利予想 住宅ローン」という検索をしてみると、多くのサイトで金利の予想をしながら、固定金利と変動金利のどちらがよいかを解説しています。このように専門家(のように見える人も含む)が、金利予想をすることで金利タイプが選べる、みたいな記事を書いているから、余計に迷ってしまうのでしょう。

そこで、金利予想をしている人に対して、「金利予想にどれくらい時間をかけましたか」と聞くことにしています。すると、多くの方が嫌そうな表情をします。

■予測精度は決して高くはない

私は、予想をしている方々に次のように問いかけます。

「日本株は、絶対上がるから買った方がいいと思います。買いますか?」

すると、「買いません」という答えが返ってきます。理由を尋ねると「絶対なんてないから」だそうです。

ここで、半分くらいの人は気づきます。しかし、気づかない人のために続けて質問をします。

「金利は絶対上がらないから、変動金利が正解なんですね?」

ここまでくれば、大抵の人が気づいてくれます。株式予測があたらないなら、金利だって同じなのです。「予想はあてにならない」のです。

もし、金利の予測が当たると考えているのなら、債券トレーダーになった方がよいでしょう。それでバンバン稼いだ方が、ずっと儲かるし、現金で家が買えるかもしれません。自分の予測に家を賭けられるんだったら、人生だって賭けられるはずです。

私は銀行や証券会社で働き、20年以上金利を扱ってきましたが、金利予測には全く自信を持っていません。特に、住宅ローンは35年という超長期にわたる予測が必要なので、金利予測は100%できないと断言できます。これは私個人の能力の問題ではありません(と信じています?!)。

もし、私の能力に問題があるとしても、私の上司や同期に金利を飯のタネにしている人はたくさんいますし、それこそ表彰されるような優秀な債券アナリストもいます。彼らに予測を聞いて色々と参考にすることはあります。ただ、それをもとに金利予想を語り、アドバイスをする気は全くありません。

専門的な話となりますが、予測をして金利タイプを選択しようとするなら、単に金利の上げ下げだけ予測しても、ほとんど意味をなしません。金利の上昇時期と上昇幅まで予測しなければ、有効な判断はできないからです。

繰り返しになりますが、戦略をたてるベースにできるほど、予測精度は高くないのです。

■結果責任は誰が負うのか

正直、将来、金利が上がろうが下がろうか、私はほとんど気になりません。私は住宅ローンの金利が上下しようが全く影響を受けないからです。

銀行員や、不動産業者や、住宅販売員の中には、「金利は当面あがりません」と言うかもしれません。金利が上がらないと考えている方に、なぜそう考えるのか理由を聞くと、大部分は、周りが、または専門家がそう言っているからといいます。でも、それらの人たちにとっても、金利変動は、所詮、他人事だということに気づいてはいないのです。

もし金利が上がったとして、「あなたが金利が上がらないというから変動金利にしたのに、どう責任をとってくれるんだ」とつめよるとします。そうしたら、必ず、「選んだ人の自己責任ですから」と言うでしょう。もしかしたら「金利は上がるリスクがあると、言ったはずだ」と逆ギレされるかもしれません。責任のない人たちのアドバイスは、参考情報として聞き流すくらいがちょうどよいのです。

金利が変動して、住宅ローンの支払いが増えたら、その負担は選んだ人がする、そんな当たり前の事を受け止め、どのように戦略をたてるべきか、真剣に考えていただきたいのです。コンサルタントの仕事とは、金利予想を語ることではなく、金利がどうなろうと、自分で納得できる計画を作るお手伝いをすることだと考えています。

■金利予測に頼らない金利タイプの選び方を考える

金利予測が自分ではできないと考えている人たちも、驚くべきことを言います。彼らでさえも、「金利がどうなるか教えてほしい」と聞いてくるのです。『自分はできなくても、予測ができる人が世の中にいる』そんな非現実的な妄想をしているようなのです。

住宅ローンを既に利用している人たちも、驚くべき人がたくさんいます。金利が上昇した場合に、毎月返済額や元利総支払額がどうなるか、正確に把握することなく、金利タイプを決めてしまっている人たちが実に多いのです。毎月返済額がいくらか安いか、という損得は計算しても、そのコスト削減がどれくらいのリスクを背負うことになるのか、把握をしようとすら思っていないのです。これは、金利予測の精度以前に、リスク管理そのものに重大な欠陥ががあると言わざるを得ません。

住宅ローン専業のコンサルタントとしてここで言いたいことは、「固定金利にしなさい」ということではありません。自分で納得できる計画とは、金利が上がっても下がっても、つまりたとえ予想が外れても、そのダメージが想定の範囲内におさまるように管理することではないか、ということです。言い換えれば、損得よりも前にリスク管理を考えるべき、ということです。

以下の記事も参考にして下さい。

変動金利のリスクの話のはなし方 1

固定金利と変動金利、どちらがお得?

家は余ってるから買う必要がない、というのは本当?  シェアーズカフェ・オンライン編集部

ソフトバンクのせいで家を買えなかった人がいるかもしれない件について~分割払いは借金である~ 中嶋よしふみ

真実性の原則と不動産価値との意外な共通点 カイケイ・ネット

住宅を購入するための資金計画なのに、家を失うリスクを放置するのは計画ではないと考えます。リスクをとるなら、リスクを正確に把握し、管理下における場合にだけ限定すべきです。このリスクコントロールのアドバイスこそが、コンサルタントの仕事なのです。

ホームローンドクター株式会社 代表取締役 淡河範明