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「女性活用」の女性って誰のコト? (小紫恵美子 中小企業診断士)

2014年05月19日 16時04分 JST | 更新 2014年07月18日 18時12分 JST

急激な生産年齢人口の減少にあえぐ日本では、女性が労働力として参加することが期待されています。仕事の質にもおおいに期待されるところです。女性は「消費のプロ」であり、世界の消費の少なくとも64%以上を握っていると言われています(ボストンコンサルティンググループ「女性と消費に関するグローバル・サーベイ」2008年による)。

こうした消費を知り尽くした女性たちが商品やサービスを提供する側にたつことで、男性とは違う、きめ細やかなサービスやおもてなしが実現しています。

■ひとくくりに「女性」とするから活用できない

一方で、女性は働き始めるといろいろな「決断」を迫られます。結婚、出産、育児、介護、病気等々、ライフステージにおいて何かあるたびに「仕事、どうしよう・・・」という迷いを生じるのです。これは、たとえ女性が働いていても、家事、育児、介護といった、「外でする仕事以外のもろもろ」のほとんどが今も女性の手にゆだねられたままであることが影響しています。いまだに性別の役割分担意識が残っているのです。

今までの「女性活用」では、女性社員をひとくくりにして、「仕事と子育て、あるいは介護等との両立を図ること」を追求するための施策が多くとられてきました。しかし、当然のことながら、女性一人一人が置かれている環境はそれぞれ異なっているのに加え、働き方やプライベートとのバランスについての考え方も千差万別です。したがって、働く女性が増えてくればくるほど、従来型の「女性活用」施策だけでは違和感を覚える人も増えてきています。

今後の企業は、各人のおかれた状況、資質などに応じて、企業側もとるべき施策を変えていく必要があります。そこで、今回は、企業側が、いわゆる「女性活用」についてどのようにしたらいいのか、働く女性の類型化を試み、各々に対する施策を検討してみます。

■カテゴリーを分けてみると

たとえば、以下の表のように、女性を「現在の能力」と、「仕事セーブ要因」で切って考えてみましょう。「能力」というのは、いわゆる仕事に対するスキルのことです。高付加価値志向とルーチン志向とにわかれます。また、仕事セーブ要因は、まだ女性が担うことが多い家事育児介護などのことを指しています。

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1.高付加価値志向で、仕事セーブ要因がない「キャリア追求型」

「キャリア追求型」に分類される人たちは、仕事に100%全力投球できる余地のある人です。会社としては、事業活動に貢献し、少しでも稼いでほしいところです。そのため、会社としては、彼女らがイキイキと能力を発揮することをサポートし、役職昇進も見据えたキャリア形成を図ることになります。

2.高付加価値志向で、仕事セーブ要因がある「WLB(ワーク・ライフ・バランス)考慮キャリア型」

「WLB考慮キャリア型」は、より高度な仕事をする意欲も能力もあるけれども、時間や空間の制約がある人たちです。会社としては、裁量労働制(時短勤務や在宅勤務)の導入等により彼女らの制約を緩和するとともに、制約が外れたときにキャリア追求型に戻れる様、ネットワーク維持・能力開発を行う一方で、その後のキャリア形成に不利にならないような人事制度を整備しておく必要があります。

3.ルーチン志向で、仕事セーブ要因がない「新人型」

 「新人型」は、まだスキルは身についていないけれども、仕事セーブの要因もない、といった条件の人たちを指します。会社としては、彼女たちのスキルアップを支援することが求められます。将来時間制約ができた場合にも、正社員として働き続けたいと思えるようにロールモデルとの対話などを通じたモチベーションアップも有効です。

4.ルーチン志向で、仕事セーブ要因がある「定型業務型」

「定型業務型」は仕事に対しては特に多くを求めず、限られた時間の中で定型業務を望む人たちのことを指しています。私生活を重視し、仕事はあくまでも言われたことをやることで割り切ります。会社としては、そういったライフスタイルも認めた上で、彼女たちがきちんと企業に貢献できるようなスキルアップや、マンネリ防止・モチベーション維持の施策を打つ必要があります。具体的には、事務作業の定型化、業務の意義等に関する社内コミュニケーション、WLB考慮キャリアへの移行の機会の設定(スキルアップ研修等)、改善アイデア出し等を通じたモチベーションアップなどが考えられます。

能力が高いけれども今は仕事をセーブしたい状況なのか、仕事を積極的にしたい状況なのか、これから能力を伸ばしていきたいのか、あるいは割り切って定型業務だけで私生活を重視したいのか。女性の側、企業の担当者の側双方でこれを把握することによって、女性はより働きやすくなり、結果として企業への貢献度が上がるという効果が期待できます。

なお、どのカテゴリーに分類されるかは、本人と、上司の間で認識に差がある可能性があります。また、女性は、家族構成などの事情によって、働き方を変えたくなる、変えなくてはならなくなることが、長い会社員生活の中で何度か出てきます。したがって、定期的に、あるいはライフイベントごとに、面談を実施し、意識をすり合わせたうえで、会社にとっても本人にとっても貢献度が高く、かつ働きやすい状況を追求する努力が必要になるのです。

女性の働き方については以下の記事も参考にして下さい。

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一口に女性活用といっても、昇進させるキャリアパスを用意したり、ワーク・ライフ・バランスのための「制度を整備」したりするだけでは不十分な理由はここにあります。実はこうした動きは女性のためだけではなく、男性のためにも、つまり従業員全員のために、今後ますます必要になってきます。

小紫恵美子  中小企業診断士