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育休ママがMBAを学ぶ上で注意すべきこと(朝生容子 キャリア・コンサルタント・産業カウンセラー)

2015年07月12日 23時10分 JST | 更新 2016年07月12日 18時12分 JST
Dave Thompson via Getty Images
STOKE-ON-TRENT, ENGLAND - JUNE 10: A figurine at various stages of production, designed by artist Neil Faulkner, of HRH Princess Charlotte of Cambridge held by her mother Catherine, Duchess of Cambridge, standing alongside Prince George, at Waterford Wedgwood Royal Doulton factory in Barlaston, on June 10., 2015 in Stoke-on-Trent, England.The hand painted bone china figure, which is produced by Royal Doulton, will be launched as a limited edition of 3000 pieces and will be available from September 2015. (Photo by Dave Thompson/Getty Images)

女性が育休中にMBAの勉強をすることがちょっとしたブームになっているのだとか。

「『育児』という制約をMBAで突破する女性が増加中(日経DUAL 2015.03.27)」によると、青山学院大学大学院、グロービス経営大学院、一橋大学大学院、法政大学大学院、明治大学大学院の5校における経営学修士のコースにおける女性比率は2割~3割と、いまやMBAの3人~4人に一人は女性という時代です。私がMBAを取得した頃は、25人ほどのクラスに女性は1割ほど、5人もいればちょっとした話題になったことを思い返すと、隔世の感があります。

さらに、育児の傍らMBAを学ぶ人も増加中だそうです。静岡県立大学経営情報学部講師であり、自らもママである国保祥子氏が主催する「育休プチMBA勉強会」は、2014年7月のスタートした以来、回を重ねるごとに口コミで参加者が増え、約半年間・計11回の勉強会に育休中の男性を含む、延べ107人が参加したとのこと。その後も希望者は増加を続け、2015年1月以降は参加者が自宅リビングには入りきらなくなったため、外部の会場で開催するようになったそうです。

記事によると、MBAを学びに来るママたちの動機は「育休後の復職に備えて、経営の知識・思考を学びたい」からで、学んでいるうちに「管理職への興味が芽生えるメンバーも」いると書かれています。女性活躍推進が叫ばれる今の世の中、こうした動きは非常に歓迎すべきことと思います。一方でいくばくかの懸念も覚えるのです。

■育休ママがMBAを学ぶメリット

私はママでもないし、育休経験もないものの、11年前に働きながらMBAを取得した人間の一人として、MBAを学ぶメリットは大きいと考えます。MBAの功罪については議論はありますが、私自身はビジネスを担当者の視点から、ぐっと高い経営者の視点で俯瞰できるようになること、経営のメカニズムを理解できるようになり問題解決のおさえるべきところが把握しやすくなるという意味で、やはりMBAは有効なツールだと感じているからです。

特に時間の制約の大きいワーキングマザーは、マネジメントを学ぶのにビジネスの経験を積むという方法では時間がかかってしまうため、他の社員と比べると不利です。だから、体系化された経営学を集中的に学ぶことで、経験に必要な時間の差を補うのは理に適っています。

■日本企業はMBAの成果を評価するのか?

一方で、記事の中で「MBAを学んだことで、管理職になりたいという意欲が芽生えてきた」という発言を読んで、ちょっと危険なものを感じたのも事実です。

MBAを学んだことで、復職後に仕事の成果も高められる、経営的な視点も身につけられた、だから管理職にも挑戦したい...という気持ちはわかります。しかし現状からすると、過度な期待を抱かせてしまっているのではないかと懸念を覚えるのです。

日本企業において、管理職に昇格する条件は、果たして仕事の成果が高いということなのでしょうか?

ここに興味深い調査結果があります。

厚生労働省が行っている「雇用機会均等基本調査」によると、「女性の活躍を推進する上での問題点(複数回答)」について企業の人事担当者があげた回答の多い理由のトップ3は、順位の変動はあれ2000年から一貫して、

「(女性には)家庭責任を考慮する必要がある」

「勤続年数が平均的に短い」

(女性には)時間外労働・深夜労働をさせにくい」

なのです。つまり、女性が男性と同様に時間外労働・労働ができなければ「女性に"活躍"してもらう仕事を与えるわけにはいかない」と企業は考えているのが見て取れます。仕事の成果云々での判断ではありません。

さらに同調査で、女性管理職が1割未満と少ない、あるいは全くいない役職区分が一つでもある企業について、その理由(複数回答)を尋ねたところ、

「現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」

「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」

「勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する」

が上位3項目となっています。

「女性は家庭責任もあるし、長時間労働もできないから「活躍」は難しい。したがって管理職になるための経験も積む機会がない」と解釈できます。「長時間労働」が活躍し昇格するうえでの前提となっているのが、日本企業の現状なのです。

■MBAの学びを活かすのは企業風土の改革

「女性活躍推進がこれだけ叫ばれているのだから、さすがに日本企業の方針も変わってきているのではないか?」と考える人もいるかもしれません。しかし、男女雇用均等法が施行されて30年たってもこうした現状なのです。ここ数年で、大きくその考えが変わるとは思えません。

育休ママががんばってMBAの勉強をし、仕事の成果をあげても、管理職への意欲を持つようになっても、長時間を是とする日本企業の組織風土が変わらない限り、ワーキングマザーにとって昇進昇格の入口は狭いままです。MBAを学んだ育休ママが、そのMBAを活かすのは、まずは隠れた評価基準を改める活動という皮肉なことになりかねません。企業も、せっかくの人材をフル活用するためにも、評価基準を今一度、見直していただきたいと願うのです。

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