仕事の生産性を上げるために、まずオフィスから変えてみよう

仕事する空間は、驚くべきスピードで進化している。

仕事する空間は、驚くべきスピードで進化している。かつて、みんなで足並みを揃えてオフィスに(まるで軍隊のように!)行進し、決められた自分の席で孤独に8時間働いて、外の世界を思い出させてくれる唯一のアイテムは、写真や小さな植物くらいだった。しかし、そんな日々は終わったのだ。

トリバゴオフィス:科学の部屋(掲載許可をいただいています、以下同)

人々は、自宅、車の中、カフェ、オフィスの共有ダイニングなど、様々なところで働く自由を楽しめるようになった。2016年の働く場づくりで注目されているのは、働く環境が生産性とクリエイティビティに与える影響だ。

ホテル料金比較サイト「トリバゴ」の従業員は、多彩な内装で囲まれた部屋でゲームに没頭することができる。同社でコミュニケーションディレクターを務めるジェレミー・クライダーさんは、次のように話す。「会議室の“シンクタンク”や、共有スペースには様々なテーマがあります。例えば、旅先を連想させるようなものや、科学、数学、芸術、裁縫などのテーマのスペースがあり、それぞれが創造性と生産性を高めるように設計されています」

■色と創造性

自分の理想の家を思い描いてみたことはあるだろうか。Pinterestの画像を眺めながら、「わあ……この素晴らしい白い壁と、眩いライトに囲まれることができたら……とってもハッピーなのに!」などと考えたことはないだろうか。きっとないだろう。人は、似たり寄ったりのオフィスに入るときに、インスピレーションを感じないだろう。しかし、色使いを工夫するのは難しい。

ある人にとっては良い色でも、他の人にとって同じとは限らない。まるで、それぞれのお気に入りが違うスターバックスのドリンクのようだ。できることは、それぞれの色が持つ効果を知り、自分たちの職場にぴったり合う色を選ぶことだ。環境を整えるため、壁紙の色を選ぼう。選ぶ色によって、その日のクリエイティブ能力が変わってくる。

エステサロンで新しいメニューを考えたり、瞑想の新商品のためのアイデアを出したりしたいと思っているのなら、鮮やかな赤やオレンジは避けたほうがいい。一方、ゲーム業界で働いていて、新しいシューティング・ゲームのアイデアを出したいのならば、攻撃的な赤と暗い色を何色か合わせると、想像力が掻き立てられるかもしれない。

■居心地の良さ、仲の良さ、創造性

オフィスの椅子といえば、デスクの後ろにあるのは座り心地良いが、会議室にある椅子や、上司と話すための椅子は、座り心地が悪い。特に心地の悪いものは、そういう意図で置かれていた。

(快適さを増やすのではなく)不快さを減らす方法は、企業の生産性を増やすために従業員に効率的に働いてもらう、という考え方に基づいている。これが問題なのは、心地悪くないからといって、必ずしも心地が「良い」状態と同じようにクリエイティビティを発揮する訳ではないことだ。

エッツィのダンボオフィス

もちろん、椅子の座り心地は大事だが、周りの人との仲の良さも同じくらい大事だ。アップルなどの大きな会社は、職場で社員同士の交流を推奨する仕組みを作っている。

手作り品販売サイト「エッツィ」のオフィスには、社員同士で座ってノートパソコンで仕事ができるように、座り心地の良いソファーが置かれている。大きなクッションには遊び心があり、座り込んでブレストできる人気の席だ(人が最も居心地の良さを感じる)自宅でどのように働いているかを考え、そこから(オフィス環境を)作っていけばいい。ブレスト中はハンモックに、午後はピクニックのテーブルに、そして他の心地の良いスペースに……社員たちは吸い込まれていく。

■コラボレーションと創造性

コミュニケーション能力が高くないとクリエイティブになれないのだろうか? そんなことはない。作家は、自分の内面と対話するために、ひとり静かに座る。ただ、想像したアイデアを他の人に広めたいと思うのであれば、得意ではなくても社交的になる必要があるだろう。

周りに対して気を張らず、仲良くしながら創造性を向上させる方法は、たくさん存在する。エバーノート本社のデザイナーは、非常にうまくコラボレーション・スペースを取り入れた。ホワイトボードの壁は、グループで考え、話し合うのには最高だ。

エバーノートのオフィス(C)asper Sanidad

伝統的なオフィス環境が好ましいと思われている業界でも、社員たちがいつも座っている区切られたスペースから出て、ベンチで他の社員たちと一緒に座って仕事するだけで、コラボレーションと創造性が向上するという。

コラボレーションを引き起こす環境は、かつてないほどに必要とされている。豊富なオンラインの情報に常にアクセスできるようになったことで、人々は創造性と楽しみの重要さに気づき始めたのだ。

意図的に、このような効果を生み出すオフィス環境作りに時間をかけることで、社員がよりクリエイティブになれば、職場の利益につながる。これは、多くの会社やフリーランスで働く人たちにもいえることだ。きちんと時間と労力、リソースをかけ、働く場所を楽しい環境にすることは、スタッフの創造性や生産性という形で返ってくるだろう。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。