50歳を超えて以来、亡父の人生と重ね合わせて考えることが増えました。
時事通信社

石破 茂 です。

今週も、衆・参両院の予算委員会集中審議、参議院決算委員会の審議でほとんどの時間が費やされました。

ISILの一連の非道な行為に対して我が国はどう対峙するのか、法律、組織、装備、運用、あらゆる面からこの際徹底的に議論し、対応を鮮明にしていく必要があると考えます。テロ特措法やイラク特措法の際にも問題提起されたことなのですが、いま一つ議論が詰め切れていない面があったのかも知れません。

テロ集団が国家と同じ規模の大量殺戮行為を為すことが可能となった、というのは従来の国際法の予想しなかったことですが、それが「国家」を名乗り、「領土」「国民」「排他的な統治機構」を有するに至った場合、誰がそれを判断し、「国際紛争」との関係をどう整理するか、相当に難しい問題ですが、これも先送りしてはならないものと思っております。

一昨日の予算委員会での私と民主党・細野議員とのやり取りの中で、猪瀬直樹氏の著作「昭和16年夏の敗戦」が取り上げられました。ここ何年か、機会あるごとにこの著作を紹介し、ご一読をお勧めしています。戦後70年の節目にあたり、私ももう一度読み直してみたいと思っています。

私自身、一貫した憲法改正論者ですが、先の戦争についての冷静かつ客観的な視点を欠いてこの議論をしてはならないと自重自戒しています。

先週土曜日の「田勢康弘のニュース新書」で「まーご」の後任「にゃーにゃ」と初対面致しました。

相手が人であれ、猫であれ、初対面というのはそれなりに緊張するものですね。なんとなく相性がいいような気もしたのですが、当方の勝手な思い込みかな?動画の再生回数が10万回を超えたとかいう話ですが、「政策より猫」ということなのかな、などと思うと、少し複雑な気分です。

JA改革は、専ら全中改革に焦点が当たっているようにも見えますが、そもそも議論の出発点として農業協同組合の目的を定めた農協法第一条と現実との乖離をどう考えるか、ということなのだと思います。

同条は「この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与することを目的とする」と定めますが、本当にその法目的にかなった実態となっているのか、そもそも「農業者」とは誰を指すのか、専業農家、第一種兼業農家なのか、准組合員はこの概念に含まれるのか等々、精緻な議論が必要であると思われます。

「産業組合」「地域組合」の性格を併せ持つからこそ総合農協の体制が相応しいのだ、との議論もありますが、果たしてそうなのか、農政それ自体が産業政策と地域政策を渾然一体に進めてきたこととの関連性も議論されなくてはなりません。

二月四日で満58歳を迎えました。

お祝いのメールやお手紙、お花などお心遣いを賜り、誠に有り難うございました。50歳を超えて以来、亡父の人生と重ね合わせて考えることが増えました。あらゆる面においてとても亡父の域には達していないことを思うと暗澹たる気持ちになりますし、享年の73歳まであと残り15年かと思うと焦燥感にもかられますが、一生かかっても越えられない親を持ったことは、ある意味とても幸せなことなのかも知れません。

週末は、7日土曜日が四国ブロック地方創生フォーラム(高知市)と中川俊直代議士新春セミナー(広島市)で講演。

8日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、地元でいくつかの会合に出席した後、島根県大田市の「中村ブレイス」を訪問します。

補助金に一切頼ることなく一人で会社を立ち上げ、全国から就職希望の若者が訪れ、世界から感謝の手紙が届けられる素晴らしい企業と聞いており、以前より一度行ってみたいと思っておりました(中村ブレイスについては新潮文庫「世界から感謝の手紙が届く会社」千葉 望著、日本文芸社「コンビニもない町の義肢メーカーに届く感謝の手紙」中村俊郎社長著をご覧ください)。

都心は快晴ですが、皆様の地域はいかがでしょうか。

お元気でお過ごしくださいませ。

(2015年2月6日「石破茂ブログ」より転載)

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