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地方創生と東京など

2015年04月18日 00時14分 JST | 更新 2015年06月18日 18時12分 JST

石破 茂 です。

統一地方選挙の前半戦である知事選、政令指定都市市長選、道府県議会議員選が終わり、与党系候補がほぼ順当に勝利を収め、後半戦である市町村長、同議員の選挙に向かいます。

「政権奪還は統一地方選の勝利をもってはじめて完成する」とかねてから主張してきた私としても、その総仕上げである後半戦に向けて、出来る支援をしてまいります。

地方創生のキーワードとして用いられる「東京の一極集中と地方の人口減少に歯止めをかける」というフレーズからは、ともすれば「東京対地方」という構図を描かれがちですが、実はそれは違うのだと思っています。

1955年(昭和30年)から1970年(昭和45年)までの15年間に、地方から東京をはじめとする大都市圏に約800万人の若者が移り住み、地方は過疎化し、都市部に先行する形で高齢化が進行しました。

その後60年が経過し、移り住んだ若者たちも75歳以上になっていくと、今後は大都市圏が急速に高齢化し、逆に地方の高齢化はそのピークを越えていく、というのが近未来の日本の姿です。

現役世代が多数であった大都市圏は、そうであるが故に医療・介護の物的・人的インフラが未整備のままここまできたのですが、75歳以上の医療需要が65歳未満の需要の約5.1倍であるという事実を考え合わせると、大都市圏の将来はこのままでは相当に深刻な状況とならざるを得ません。

地方の経済の生産性を高め、あるいは創業を促すことによって、かつてメインの産業であった建設業や製造業に匹敵する仕事を創出することと併せて、大都市圏の元気なシニアの地方移住も後押しし、大都市圏の医療・介護需要の集中を緩和し、余剰が発生する地方の医療資源の存続を可能とするための施策が必要です。

地方創生のもう一つの重要な観点がまさにここにあるということ、地方創生は東京の富を簒奪するのではなく、東京のためでもあるという意識を東京の方々に持って頂くためには、今後一層の努力が必要です。

2020年の東京オリンピックを「最後の祭り」などにしないためにも、精緻にデータを分析して「不都合な真実」を直視しなくてはなりません。

内閣府の調査によれば、東京在住の50代男性の5割、女性の3割、60代男性・女性の3割が地方での居住を希望しており、このうちの1割、2割でもその希望を行動に移して頂ければ、状況は随分と変わってきます。

「地方を姥捨て山にするのか!」「都会から出て行けと言うのか!」との短絡的・感情的な反応が時折見られますが、すでにこれだけ多くの方々が希望されているのですから、そのご希望を叶えるための環境整備をしていきたい、というのが我々の考えです。

現在発売中の雑誌「世界」(岩波書店)五月号の特集「あるべき『地方創生』とは」では、一連の地方創生の流れがかなり批判的に論じられています。

「世界」は一貫して反体制的・革新的な雑誌ですが、我々と反対の立場の主張を理解するためにはとても有用で、防衛の仕事をしていた時も随分と丹念に読んだものでした(かなりの忍耐を要する作業ではありましたが)。

今回も、ここで提起されている問題点を率直に受け止めて、改めるべき点は改め、反論すべきは的確に反論しなくてはなりません。議論が交わらないまま単なるすれ違いに終わることのないよう、議会のみならず我々政府の側もさらに努力が必要です。

後半国会ではいよいよ安全保障法制の審議が始まります。

「防衛法研究」臨時増刊号(防衛法学会編・内外出版)の特集「新たな安全保障法制の整備の現状と課題」には優れた論考がいくつか収録されているように思います。これまた法制整備に賛成であれ、反対であれ、正確な知識に基づいた論戦が交わされることを期待しています。

週末は18日土曜日が修学旅行で国会見学に来る地元の中学生たちへの挨拶、「2015年度大隈塾リーダーシップ・チャレンジ」での講演と田原総一朗氏との対談。

19日日曜日は本当に久しぶりのオフなので、資料整理や体調管理(ただひたすら寝ているだけ)に充てたいと思っております。

ゴールデンウィーク前は鳥取では修学旅行シーズン、私たちの頃はバスで関西方面というのが定番でしたが、今は飛行機を利用した東京方面が多いようで、時代は随分と変わったものです。

地元の子供たちへの挨拶は出来るだけスタッフ任せにせず、自分で対応したいと思い、なるべくそのようにしています。ディズニーランドやスカイツリーでのひとときに比べれば国会見学などはそう魅力のあるイベントではないのでしょうが、そうであるだけになるべく議員本人が出て「国会とは何をするところか」(首班指名、立法、予算案の審議、条約の批准、憲法改正の発議)とか、「国民主権とは何か」などをなるべくわかりやすく話すように心掛けています。

昭和62年、最初に話した子供たちももう42歳、地元に帰ると「国会見学で話を聞きました!」という青年男女に時々出会いますが、少しでも何かを学び取ってもらったとすればとても幸いです。

皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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国会見学にお越しになった生徒さんたちへのご挨拶の様子です。

(2015年4月17日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)