熊本地震など

危機管理体制のあり方には不断の見直しが必要なことは言うまでもなく、その意味で防災省の創設については私なりに研究し、自分なりの考えを纏めたいと思っております。

石破 茂 です。

熊本、大分をはじめとする九州各地の被災地の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

曾祖父(金森通倫)の出身地でもある熊本には今年に入って2回講演や選挙応援に参りましたし、私自身も様々なご縁を頂いて随分と思い入れの深い地であるだけに、胸の塞がれるような思いが致しております。

余震が続いているため、車の中で寝泊まりしておられる方々や、一度入った避難所を退去せざるを得ない方々も多く居られ、その苦難と困惑はいかばかりかと思います。

自衛隊の艦船、車両、航空機等も含め、活用できるものはフルに使って、被災者の皆様に少しでも安心して頂くべく、政府の一員として最大限努力を致します。

自民党熊本県連では、所属地方議員がバラバラに要望を伝えて混乱が生ずることの無いよう、要望を一旦県連に集約し、山本県連会長・前川幹事長の指揮・判断のもとで迅速・的確に担当に伝える、という体制をとっているそうです。各地の自民党の底力と知恵を感じます。

国会議員が現地入りすることにも大きな意義がありますが、正確な知見を持った者が現地に赴き、権限を持って判断することが、特に発災直後には求められると思います。

歴史上、17世紀にはまず東北で慶長三陸地震・大津波(1611年)が起き、その8年後(1619年)に八代地震、14年後(1625年)に熊本大地震、22年後(1633年)に小田原を中心とした関東都市直下型地震が起こっています。

21世紀の今日と類似性があるとは断言できませんが、いつ、どこで起こってもおかしくはありませんし、それは確実にやってくるのです。

私の選挙区である鳥取市においても、昭和18(1943)年9月10日にM7・2の大地震が発生し、1210人の死者を出しています。時代が異なるので今回の熊本地震と単純な比較はできませんが、人的な被害という点だけから見れば、さらに大きなものです。

それから既に73年が経過しており、記憶も全くと言ってよいほどに風化していますが、鳥取県・鳥取市などにおいてはもう一度これを検証し、今日に相応しい対応策を予め講じなければなりません。

危機管理体制のあり方には不断の見直しが必要なことは言うまでもなく、その意味で防災省の創設については私なりに研究し、自分なりの考えを纏めたいと思っております。

復興庁は3・11に対応する、2021年3月末までの時限的な官庁ですし、かつての国土庁防災局を発展的に継承している内閣府防災担当部局は、各省庁からの出向者で多く構成されており、防災担当大臣(今は河野太郎氏。極めて優れた方です)は国家公安委員長、消費者担当相など多くの任務を兼任しています。

もちろん今の体制の中で、日々最大限の努力をしているには違いないのですが、在任の長い専任の国務大臣を置き、自分の出身官庁や組織に戻ることなく、ただひたすらにあらゆる事態に備える優れた人材を朝野から集め、防災・減災・縮災に努めることは国家にとって必要なことであるように思われてなりません。

危機管理とは、最悪の時期に、最悪の形で事態が生起することを想定して、法律・組織・装備、人員、運用などを予め構想し、出来る限り実際に近い形で訓練を繰り返す他はありません(訓練は予告なく突然にやるのが良いとも言われていますが、一つ間違えるとパニックを引き起こしかねないのでなかなか困難です)。

行政版DMATの創設も検討すべきでしょう。危機管理庁(日本版FEMA)構想は何度も浮かんでは消えることを繰り返していますが、今一度、真剣に考えてみたいと思っています。

支援物資の滞留が指摘されていますが、公平を旨とする行政にとって、これが意外と難しいもののようです。

「何故○○避難所には物資が届いているのに我々の××避難所には届かないのか」という批判を危惧するあまり、迅速性が損なわれているという面は否めませんが、「緊急時にあっては公平性にもまして迅速性を重視する」という大原則を樹立するとすれば、それは行政官というより政治に携わる者の責務なのでしょう。

週末は、23日土曜日が鳥取県連所属国会議員県西部地区合同国政報告会(10時・日野町文化センター・日野町根雨、13時半・天津ふるさと交流センター・南部町福成、15時半・米子食品会館・米子市旗ケ崎)。

24日日曜日は古民家再生プロジェクト視察(兵庫県篠山市)、ライオンズクラブ国際協会335―A地区第62回年次大会で講演(神戸ポートピアホテル)という日程です。

先週末に比べれば多少余裕のある日程で、少しほっとしています。

来週後半はもうゴールデンウィークに入りますが、被災地の方々の苦難に思いを馳せ、政府・与党として可能な限りの対応を続けて参ります。

皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

(2016年4月22日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)

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