天国?地獄? 写真家in上海 (ユルい人にでも出来る海外生活)No.3

最初に予告した「ユルい人にでも出来る海外生活の極意」一回目は「英語」です。

長〜い春節休みを終えて上海に戻ってきました。写真は超高級モールの春節デコレーションです.....が、なんか違和感あるよね。こっちでは羊と山羊を区別しないみたい。後、剥製も縫いぐるみも区別してないようです(笑)。蔡國強さんの作品ぽいね。

最初に予告した「ユルい人にでも出来る海外生活の極意」一回目は「英語」です。

もちろんロシア語でもスワヒリ語でも現地の言語を喋れればいいんですが、やはり日本人にとって一番身近なのは英語ですよね。また世界中ほとんどの場所で英語が出来れば仕事はなんとかなる。ところが中高合わせて6年も習っても外人と喋ると全然通じない。英語の先生に「金返せ!」と言いたくなります。ちょっと海外で働いて見たいかな、と思う人も英語で挫折する人が多いと思う。

私も英語は壊滅的に出来ませんでした。高校の試験はテニスのスコアなみ。あまりに出来ないんで芸術大学に行ったくらい。嫌らしいことに文系も理系も英語の試験あるからね〜。つまり英語が出来てりゃ写真なんてやって無かったわけです...って今気がつきました。恐るべし英語! 全然英語出来ないのに何故シンガポールにツテもコネも無しに行ったか....正直に書きますと「思いっきりなめてた」んですね。本当にシンガポールに申し訳ないです。でもそのおかげで海外生活第一歩を踏み出すことが出来ました。その時の経験から「通じる英語の極意」。

1 英語ネイティブの先進国に行かない。

また失礼な事言ってますが80年代当時はシンガポールは「先進国」と言うイメージはなかった。今はGNP、日本もアメリカもを追い越してる堂々の先進国ですが...。シンガポールは中国人、マレー人、インド人などが混在する多民族国家、中国人も出身によってすごく異なる方言があり、共通言語として英語が第一国語として選ばれました。(中国の方言は日本人が想像する関西弁や東北訛りどころではなく、ほぼ別の国の言葉です。)英国の植民地時代から、家に帰るとそれぞれの出身地の言葉を喋って、学校や仕事では英語を喋る。

だから英米などのネイティブと比べると訛りがきついし、どこかぎこちない華僑英語なんですね。立て板に水で華麗に弁舌をふるうより「通じる」事に重点を置いてるので、文法や時制も簡素化されることが多い。この単純な単語を組み合わせて会話するローカル英語が非常に分かりやすい。英国人みたいにWould you care for some tea? などと丁寧に言われると、コアの重要な単語がセンテンスの流れに埋もれて聴き取れない。シンガポールならYou want a tea or not? てな感じ。また彼ら自身も勉強して身につけた英語なんで「出来ない人の気持ちが分かる」んですね。「どれくらい分かってないか」を推測してもらえる事は非常に有効です。

もしいきなりロンドンやNYに行ってたらどうなってたか? まず喋る早さが倍速。そしてインテリと喋るほど内容も言い回しも複雑になる。労働者階級や学生と喋るとスラングが多くてこれも分からん。ロンドンでは人種、階級、上下関係でも言葉がかわるし、NYとLAも全然発音が違います。なにより都市部では忙しくて気が短いやつが多いのですぐにイライラされる。またあまりにも英語が身体化しているので、簡素化してゆっくり喋るという事が意外と出来ない。シンガポールで最初の彼女はチャキチャキのロンドン娘だったんで、最初はほとんど何を言ってるのか分かりませんでした(笑)。レストランに行ったらシンガポール人も彼女の早口の英語が聴き取れず「あ〜彼女はドイツ人なんで英語ヘタなんだよ」とウェイターに冗談で言ったらすごく納得してました...(彼女は激怒したけど)。

2 話を聞いてくれる相手はいるか? 相手にとってあなたの話は価値があるか?

簡単な挨拶以上の事を喋ろうとすると時間もかかるし相手のストレスも溜まります。シンガポール人達が私のヘタな英語を必死にメモしながら聞いてくれたのは親切だからではありません。私がフォトグラファーで聞き手がアシスタント達だったからです。彼らには内容を理解する必要がある。だから分からないと質問してくる。こっちはその質問が半分くらいしか理解できないので延々会話(主に絵を描いて)してました。つまり私の話には聞くだけの価値があったのです。

時々、海外で弟子やアシスタントになって技術と英語を学ぼう、と言う人がいますがお勧めしません。相手が欲しがる技術、資金、情報を日本国内で持てるようになってから行った方が、どちらにとっても有益だと思う。私の場合1年ほどの広告写真スタジオ経験だけが頼りだったのでギリギリでした。今だとシンガポールは先進国なんで「けっ、その程度なら間に合ってるよ」と言われたでしょう。でも世界にはまだまだ日本の技術が欲しい国も多いはずです。それに最初の国でスキルアップしたら、より高いレベルの国に移住すればいいんです。

続きは次回で

注目記事