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温暖化とエルニーニョで、昨年は最も暑い年だった!/21世紀は「炎熱」続き。CO2濃度は400ppm超に

2016年03月17日 14時34分 JST | 更新 2017年03月17日 18時12分 JST

森林文化協会の発行する月刊『グリーン・パワー』は、森林を軸に自然環境や生活文化の話題を幅広く発信しています。3月号の「環境ウォッチ」では、環境ジャーナリストの竹内敬二さんが、2015年が過去最も暑い年だったことについて解説しています。

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「あっ降ってる、降ってる」「ほんと!」

今年1月24日夕方のテレビニュースが、雪に興奮する沖縄の人たちを映していた。「雪がどうした?」と思う人も多いだろうが、大ニュースだ。沖縄本島での降雪はなんと観測史上初めてで、鹿児島県奄美大島では115年ぶりだった。同じ日、中国南部の広東省・広州市でも1967年以来、約半世紀ぶりの降雪があった。

その直前、米国で「史上最大級の大雪に備えよう」と警戒が呼びかけられていた1月20日に、米海洋大気局(NOAA)は「2015年の世界の年間平均気温は史上最高だった」というニュースを発表した。そもそも今冬は世界的に暖冬で、12月は日本でも世界でもかなり暖かかった。

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●欧州アルプスの氷河。温暖化で年々体積が減っている=スイス、マッターホルン近く(竹内敬二氏提供)

このところの天気は異常続きだ。NOAAの発表は、信頼できる記録がある1880年以降の136年で、2015年が最高というものだ。「大規模なエルニーニョ現象と地球温暖化が合わさって気温を押し上げた」と分析されている。

トップ16中15が2001年以降

エルニーニョは南米ペルー沖、赤道近くの太平洋の海水温が広範囲にわたって高くなる現象を指す。大気に熱を放出するので気温を押し上げる効果を持つ。

近年はしばしば「今年は暑い年だった」と聞く印象だが、データを見ると改めて驚く。19世紀終盤の1880年以降で「暑かった年のトップ16」を並べると、15が2001年以降の21世紀に集中しているのである。

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地球の平均気温は、陸と海の表面近くを測定して調整し、年ごとの相対的な差(偏差)を出している。絶対値として「地球表面が何度であるか」を示すのは難しい。測定場所などで変わるからだ。ただ一般に20世紀の平均気温は13.9℃といわれているので、この表には偏差と13.9℃を足した数字を示している。

これによると、トップは2015年、2位が14年、3位が10年。いかに2001年以降に暑い年が集中しているかが分かる。1990年代から唯一、98年が入っているが、この時期は過去最大級のエルニーニョがあった。暑い21世紀の中でも06~08年の温度は少し低めだ。これはラニーニャ現象(エルニーニョと反対の現象)が起きていたことの影響が大きい。近年の気温が偶然に高いのではなく、NOAAは「長期的な上昇傾向が顕著であること」を強調している。

大気の状態はもうギリギリ

20世紀の気温は1900年~40年頃に上昇し、70年頃までは下降気味だった。その後、再び上昇に転じ、最近はそれが加速している。

一般に気温の上昇は、海より陸上の方が早い。南極地方の上昇が早いのも特徴だ。

ハワイのマウナロア山では1958年から、大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が測定されている。最初の通年データ(59年)は316ppmだったが、2015年はついに400ppmを超えた。観測当初の上昇は年約1ppmだったのに、最近では約2ppmずつ増えている。

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●世界の年平均気温の変化(気象庁資料から、1981-2010年平均との差を示している)

昨年採択された温暖化対策のパリ協定では「温暖化による温度上昇を2℃以内に抑えよう」という目標が書かれているが、これは「CO2濃度を450ppmに抑えよう」と言っていることにほぼ対応する。

これで「まだ50ppmの余裕がある」とはならない。メタンやフロン類などCO2以外の温室効果ガスの排出が増えれば、450ppmに相当する状態をすぐに突破してしまう。すでにギリギリなのだ。

温暖化は目の前にある

地球規模の環境破壊はじわじわ、ゆっくりと進むので気付きにくいといわれる。しかし、そうとも限らない状況になっている。

日本においても近年の暑さや異常な豪雨を経験する中で、多くの人が「以前とは気候が変わった」と感じている。

CO2濃度の値は極めて明確な変化だ。ハワイのデータではここ50数年で84ppmも上昇し、ついに400ppmを超えたが、これがいかに劇的であるかは、過去を見れば分かる。

産業革命の前までの大気中CO2濃度は280ppmだった。そして南極の氷床コア中にある気泡の分析からは、産業革命に至る過去65万年間のCO2濃度は180~300ppmの間だったとみられている。なのにここ200年で、いとも簡単に400ppmになった。

人間はもともと温暖化に鈍感だった。ハワイでの観測などによって、CO2濃度の上昇は1960年代から知られていたが、温暖化の脅威が騒がれ始めたのは80年代に入ってからだ。CO2増加などの温暖化要因はあったが、硫黄酸化物など空気の汚れ(エアロゾル)の増加のような寒冷化要因もあり、差し引きでどちらが強いかがよく分からなかったからだ。実際、1940~70年の間は空気の汚れなどで、地球の気温が下降傾向だったこともあり、80年代前半までは温暖化どころか「寒冷化している」「氷河期が近い」の声が大きかった。

今になって動かし難い温暖化の証拠の続出に直面し、あわてているのである。

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