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アリアナ・ハフィントン氏の朝日へのLOVE

2013年06月10日 23時33分 JST | 更新 2013年08月10日 18時12分 JST

ハフィントンポスト日本版がローンチ(スタート)して1カ月余りが過ぎた。第1回目のブログ原稿をローンチ当日の5月7日に掲載した。

「朝日新聞参画でハフポスト日本版は成功するか」

そこでは、朝日新聞と、ハフィントンポスト創設者でプレジデント兼編集長のアリアナ・ハフィントン氏とは一体どういう関係なのかについての憶測記事を書いた。どちらが先に手を出したが分からないが、きっと、ハフィントン氏が見初めたに違いない、という内容だった。

ローンチ翌日の5月8日に日本記者クラブでハフィントン氏の記者会見があった。日本記者クラブ企画委員をしていた私は、偶然にも、この記者会見の司会をする機会に恵まれた。この記者会見により、両者の提携の経緯がある程度明確になってきた。

ブログの執筆が遅くなってしまったが、両者の提携の経緯についてまとめておきたいと思う。

5月8日の記者会見では、冒頭に約14分、ハフィントン氏に、ハフィントンポストについての概要を説明してもらった。その中で彼女は、ハフィントンポストは、伝統的メディアと新しいメディアの「結婚」だという点を強調した。「私たちのDNAには新聞を読みたい、雑誌を読みたいというものが残っている。新聞・雑誌が死に絶えるとは思っていないし、進化すると考えている。しっかりしたデジタル戦略をもつことで、従来型メディアも生き残り、繁栄していくことができる」

説明後の質疑は、司会役の私がまず質問をぶつけることにした。

質問の内容は

(1)アメリカやイギリス、カナダという英語圏では自前で各国版をローンチしたが、非英語圏でパートナーのメディアと組む方針にしたのはなぜか?

(2)日本ではなぜ朝日なのか? どちらから声をかけたのか?

だった。

ハフィントン氏は、まず2番目の質問から答えてくれた。「なぜ奥さんと結婚したのですか、なぜご主人と結婚したのですかという質問と同じようなものです。様々な根拠はあったのですが、でも感情という側面もありました。私たちは朝日の関係者とすぐに打ち解けることができました。素晴らしいジャーナリズムであり、パートナーであると分かりました。パートナーとしてこのような友人を獲得でき、大変嬉しく思います」

その言葉は、朝日へのLOVEに充ち満ちていた。結婚を語る女性のようにうきうきしていた。ハフィントン氏の発言を聞く朝日関係者もとても嬉しそうに見えた。

両者が最初に会ったのは、9カ月前のロンドンオリンピックのときだったそうだ。付き合いは「たった9カ月。本当に急展開だったのです」とハフィントン氏。9カ月で結婚して、子どももできた。

どちらからプロポーズしたのか。記者会見では明確に語られなかったが、朝日関係者によると、ハフィントンポスト側からの提案があったという。

(1) の質問についてはどうだったか。ハフィントン氏は「朝日は素晴らしい。朝日はデジタルプレーヤーとのパートナーシップを評価してくれたから」という朝日へのLOVEに終始し、それ以上の明快な答えを得られなかった。

それでは、なぜ、2005年のアメリカでのローンチ時に、なぜニューヨークタイムズ紙と組まなかったか、その理由については、当時、ニューヨークタイムズ紙は、ブログに全く興味がなく、オンラインでやることに興味がなかったからだと語った。「それが今では随分変わってきた。2005年から今までにアメリカにメディアに大変革が起きたのです」とハフィントン氏は説明した。

以上が、記者会見で分かった両者の提携の経緯である。当日の記者会見は50分間だった。会見のフル映像は、日本記者クラブのYouTubeチャンネルビデオドットコムのサイトで視聴できる。

出会いから結婚、スピード出産――。ハフィントンポスト日本版は、既存メディアとニューメディアの、順調すぎる結びつきで誕生した。落とし穴はないのだろうか。私には、ハフィントン氏のLOVELOVEぶりがどうも気になってしかたがない。恋愛をすると相手の欠点が見えなくなるものだ。そのせいか、朝日新聞に対する冷静な分析をついぞ聞くことができなかった。朝日に対するハフィントン氏の愛情表現に不安を感じた。

ハフィントンポスト日本版のローンチからほぼ1カ月。私の周囲では、ハフポストが話題になることは滅多にない。無難にスタートをしたが、強烈なイメージを植え付けたという印象はない。

ハフィントン氏には、人を引きつけるカリスマ性があるという。アメリカでは、カリフォルニア州知事選にも出馬した経験を持ち、その個性的な魅力で多くの人を惹きつけ、それがハフィントンポスト成功の一因になったのだろう。

しかし、日本においてはハフィントン氏のカリスマ性は通じない。ハフィントン?who?の状況である。その中でハフィントン氏の個人名を使用したメディアを運営する。難しい局面が続くだろう。

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