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韓国の若いバンドが見せた突破する力に期待したい

2014年08月30日 00時44分 JST | 更新 2014年10月29日 18時12分 JST
1TON

 下北沢の小さなライヴハウス「下北沢THREE」で韓国のメロコア・3ピース・バンド、1TON(ワントン)のライブを観た(8月29日)。

 ライブは対バン(幾つかのバンドが出演するスタイル)で、いっとう最初に彼らが登場。持ち時間はたったの15分足らず。でも、疾走......どころか、暴走、爆走、火の玉みたいに駆け抜け、そのエネルギーたるや! 若い、若い、若い。さすが3人とも21才。韓国ロックの爆発パワーに度肝を抜かれてしまった。

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Photo:Yuki Kuroyanagi

 演奏したのは4曲。デビュー・アルバムの『TINY OLD TAPE』からの「Missing Memories」「Tonight」「I'm Standing Here」「When I Was Young」。歌詞は英語だったり韓国語だったり。でも音楽に言葉なんて関係ないのは言わずもがな。メモを取り出し、ボーカルのウォン・テソプがなかなか上手な日本語で「国境も人種も言葉も関係ない」と言ったとおり、ギュウウと熱い思いがストレートに伝わってきた。後から話をしたら、日本のHi-Standard、アメリカのNOFXらインディーズ系がザ~~ッとひととおりみんな大好き! バンドの3人は昔からの友達。3人そろって音楽が大好きで、情報交換しながらやっていたら、メロコアに行き着いた!という、東京でもロンドンでもニューヨークでもソウルでも、若者たちの音楽青春街道の辿り方なんてみんな同じっ。汗かき、べそかき、大笑い。ただただそれが好きだから、それを鳴らし、ぐんぐん進んでく。だからこそ、私のようなまったく韓国ロックに詳しくない人間にだって、それはソッコーで届くんだ。深く深く。

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Photo:Yuki Kuroyanagi

 最後の曲の前に「韓国、日本、みんないっしょに」とウォンが叫び、会場を煽った。21才の若い韓国の青年たちは臆することなく、ネジくれた日韓の状況に手を差し出す。差しのべるその手を、たとえば嫌韓などと言っている人たちは振り払うのだろうか?と想像した。まっすぐ、ひたむきに、汗を流して突っ走る、この爽快な若者たちに唾を吐し、おまえなんて知らない!とソッポを向くのか? もし、そんな風にするのなら、それはただの駄々っ子で、ふてくされてる子どもにしか見えない。すごく愚かなことだろう。というか、この爽快な音楽に抗うなんて、すごく難しいと思うのだけど?

 音楽はすばらしい。一瞬で国や言葉の壁をすり抜けて、気持ちがつながる。彼ら自身、そこを何より意識していた。彼らの音楽、技術的なことを言ったらまだまだだけど、情熱の丈が飛びぬけている。韓国ではマイノリティ中のマイノリティだというエモコア、パンクというジャンル。韓国にパンク・シーンを築こうと、自らMake The One Ton というイベントを開いて日本からもF.I.B.を招いた。そこにないものを作っていこうと自ら頑張るDIY精神って、まさにパンクじゃないか!

 韓国の若い3人の、素直でまっすぐなエネルギーにひたすら感激した。こうした力こそが色々なものを突破していく。彼らの世代がまた何かを大きく変えていくだろう。