山中伸弥氏:「STAP研究に協力、小保方さん大歓迎」は、2ヶ月前の記事です。

詳細を読まずにシェアをしたり、一次情報(出典)を確認せずに拡散するリスクネットメディアが広がる中で、使う我々のメディアリテラシーが改めて問われる、と思うのです。

なーんか、急にこの一日でフェイスブック上で毎日新聞の記事がシェアされまくっています。

あらゆる細胞に変化できる万能細胞のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した山中伸弥・京都大iPS細胞研究所長(51)が7日、大阪市内で毎日新聞の単独取材に応じた。理化学研究所などが開発したと発表した新型万能細胞・STAP(スタップ)細胞(刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得細胞)について「(万能細胞になる)メカニズムはiPS細胞と同じ可能性がある。ノウハウを提供し、協力したい」と話し、共同研究の必要性を強調した。iPS細胞研究所で近く、STAP細胞の作製を試みるという。

という冒頭から始まり、山中さんの記事は、後半にはこんな言葉が。

同じような立場なので、彼女の苦労が理解できる。

彼女を助けてあげたいと本当に思う

この山中さんの発言に「共感した」とか「懐が深い、さすが!」といった賞賛とともにフェイスブックやツイッターなどで広がりを見せているのだ。以下がその部分。

研究の中心になった理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子(おぼかた・はるこ)・研究ユニットリーダー(30)と会ったことはなく、直接話を聞きたいと望んでいるという。「私はiPS細胞を人の治療に役立てたいと、夢を見てここまで来た。彼女は50年、100年先を見据えた、もっとずっと大きな夢を持っているようだ」と評価。「同じような立場なので、彼女の苦労が理解できる。彼女を助けてあげたいと本当に思う」と話し、何度も「我々の研究所に移ってほしい。大歓迎だ」とラブコールを送った。

と、ところがだ。この記事をもう一度じっくりと見てみると・・・

な、なんと63日前の、2ヶ月も前の記事!

そうなんです、STAP細胞の論文が発表されたのが1月30日付の科学誌ネイチャー。(2014年2月5日、共著者のバカンティ教授のチームがヒトとして初めてのSTAP細胞であるとみられる細胞の写真を公表したとのこと)そして、不自然な画像データが在るとして調査が始まったのは、2月10日過ぎ(理研広報室は14日、外部の専門家も加えて調査を始めたと明らかにしている)

ちなみに、直近の山中さんのコメントはというと

山中さんは、30代後半に自身の研究室を持ちiPS細胞の作製につながった自身の経験にふれ、「30代、場合によっては20代に、独立のチャンス、欧米に匹敵する研究環境、研究費を与えるべきだ」と訴えた。

一方で、「ほったらかしは危険。私もそうだったが、30代の研究者は実験の方法は上手になっているが、様々な点で未熟」と述べ、「シニアの研究者が研究室運営や研究倫理、利益相反などを、独立後も若手研究者に教育するシステムが必要。国単位でやる方がいい」と提案した。(朝日新聞4月4日)

先ほどの2ヶ月前の記事は、かなり爆発にシェアされているようで、出元となった毎日新聞の公式ツイッターも以下のとおり。

この一連のソーシャルメディアを見ていて、やはり感じるのはこのこと。

詳細を読まずにシェアをしたり、

一次情報(出典)を確認せずに拡散するリスク

ネットメディアが広がる中で、使う我々のメディアリテラシーが改めて問われる、と思うのです。

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