未来の転職マガジンPARAFT編集長が語る、これからの「働き方」

私たちの働き方は今後、どのように変わっていくのだろうか。

働き方いう言葉をよく目にするようになった。

トヨタや損害保険ジャパン日本興亜が在宅勤務制度を導入し、リクルートホールディングスも「働き方変革プロジェクト」を掲げ、リモートワークの導入を進めている。ヤフーが、週休3日制を検討すると発表したのも記憶に新しい。

リクルートホールディングスは、「ビジネスのグローバル化や人口減少による労働力の不足、ダイバーシティの推進に対応するため」とWebサイト上に挙げている。このように、私たちの働き方は、迫りくる社会課題に対応するため、大きな変革期に入っているのかもしれない。

私たちの働き方は今後、どのように変わっていくのだろうか。未来の転職求人マガジン「PARAFT」編集長を務める鎭目美代子さんに、未来の働き方について話を聞いた。

■PARAFTとは?

PARAFTとは、"ハタラキカタをもっと自由に"をテーマに掲げる転職求人メディアである。求人情報には、「リモートワークで仕事可能」「パラレルワーク(複数のキャリアを並列して持つこと)OK」などの言葉が並ぶ。2016年10月現在、エンジニアの募集が多いように感じるが、編集者や運用型広告のコンサルタント、営業職に関する求人もいくつかあるようだ。

未来の転職マガジン「PARAFT」のWebサイト

鎭目さん自身は、国内のリサーチ会社を経て、日本マイクロソフトで15年マーケティングコミュニケーションの業務に携わってきた経歴を持つ。2人の子どもを持つ母親でもあり、日本マイクロソフト時代から、火・木曜日は在宅勤務、月・水・金曜日は出社する形を取ってきた。

「働き方は、人の生き方と思っています。技術の進化も面白いですが、私は人が好きで、人の近くにいたい、人の思いに共感したい。そのため、人の生き方がにじみ出ている記事を発信するPARAFTで、自身も発信してみたい気持ちから転職を決めました」(鎭目さん)

子どもが2人いる中で、15年務めた大企業からベンチャー企業へ転職するのに抵抗はなかったかと聞くと、鎭目さんは「今とてもワクワクしています」と笑顔ではにかむ。また、希望する勤務時間に対応してくれたのも大きかった。PARAFT内でも、同じ働き方をする社員は1人もいなく、その中でチームワークを発揮して成り立つ文化が面白いという。

■アウトプットに対して責任を持つこと

フレキシブルな働き方を導入する企業が増える中、鎭目さんは「女性が子育て、介護をするための制度になってはいけないと思います」と指摘する。福利厚生のような位置付けでは、限られた社員だけが利用できる制度になってしまう。全社員に導入することで、"仕事のアウトプットに対して責任を持つこと"につながるとする。

つまり、フレキシブルな働き方導入の根本的な意味は、"働く人それぞれが自分の役割を認識し、アウトプットに対してより責任を持つこと"であると、筆者は解釈した。ヤフーが週休3日制の導入を検討すると発表したとき、「うらやましい」という気持ちがどこかにあった。しかし、言い返せば、5日でこなしていた仕事を4日で終わらせる必要があるのだ。それだけ、個人に求められる仕事の生産性や能力が高くなるということなのだろう。

「大企業にいるから安全という時代ではなくなりました。これからグローバル化も進み、与えられた仕事だけをするような人は、今後残っていけないのではないかと思います。自分の市場価値やどんな貢献ができるか、何をしたいかを常に考えないと厳しいのではないでしょうか。このような意識に変わると、フレキシブルな働き方はより普及していくでしょう」(鎭目さん)

「PARAFT」編集長の鎭目美代子さん

■経営層が当事者になったことが後押し

また、経営層が育児や介護の当事者になったことが、フレキシブルな働き方の普及を進める大きな要因という。鎭目さんによると、介護や子育てによる女性の離職に対して、多くの企業はこれまで就業規定の変更やサポート体制を整えるなどの労力をかけてまで離職率を下げることはしなかった。

しかし、高齢化や共働き世帯の増加が進み、「経営層が当事者となったことで、在宅勤務やリモートワーク導入の重要性を理解し始めました」と語る。

鎭目さんは、フレキシブルな働き方を導入するメリットに2つを挙げる。1つ目は、人材の多様性による企業の成長である。決まった企業の文化に当てはまらないだけで人を排除してしまうと、持続的な成長は難しい。2つ目は、コストの低減だ。新しく雇用し、教育しなければいけないことを考えると、今いる人材を育てるほうがコスト的なメリットがあるとする。

「経営層の中には、フレキシブルな働き方を導入することで、社員がサボると思う人もいるかもしれません。成果主義が手放しで素晴らしいわけではないですが、自分のアウトプットに責任を持つ考え方があれば、フレキシブルな働き方を選択する人ほど、期待されている成果に応えるため、時間をどうやったら有効に使えるかという考えになるでしょう」(鎭目さん)

■「働くことは、生きること」

鎭目さんが、働き方について考え始めたのは、日本マイクロソフトでの経験が大きい。多様な人々と日々接する中で、「自分らしさとは何か」を考え続けたという。そこから、"人の近くにいたい、人に共感したい"という自身のミッションにたどり着いた。

PARAFTの編集長には、2016年9月に就任。今後については、「働くことは、生きることです。私たちは働くことに、人生の多くの時間を費やしています。PARAFTのメディアでは、働くことから生まれるストーリーを深掘りし、コンテンツとして伝えていきます。世界中の人に、1人でも多くの人に、PARAFTのストーリーを発信していきたいと思っています。求人サービスとしても、スペックを重視したものではなく、それぞれの企業が考えるビジョンに焦点を当て、そのビジョンと"働くと生きると楽しく"を結び付けるようなサービスを追求していきます」と力強く語った。

(この記事は、挑戦する人を応援するブログ「Wanderer」の記事を転載しました)