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企業がお寺のマーケティングに学ぶ日

2014年02月02日 17時42分 JST | 更新 2014年04月03日 18時12分 JST

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「お寺」と「マーケティング」という言葉の並びに違和感を持たれる方も多いかもしれませんが、マーケティングの本質を理解されている方ほど「おぉ!それはすごいね!ど真ん中だね!」と仰います。

未来の住職塾でもオススメ本として紹介させていただいた『経営戦略ワークブック』著者の河瀬誠さんも「マーケティングの考え方は、もしかしたら企業よりもお寺のほうがよりしっくり来るかもしれないね、これって布教そのものだよね」と言われていましたし、ある外資系コンサルティングファームのトップの方も「マーケティングなんて宗教が最初だよね。自分もキリスト教の伝道師の歴史をマーケティングの視点から研究したことがある」と仰っていました。

人によっては、「なに? お寺のマーケティング? 宗教は商売じゃない!」と言われることもあります。その通り、宗教は商売ではありません。しかし同じく、マーケティングも商売ではないのです。マーケティングとはいわば、「相手にとって価値ある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動」の総体であり、受け手視点から見た組織の営み全体に関わるものです。これらはすべて、宗教にもそのまま当てはまるものでしょう。

しかも、一般企業が売るような自動車や携帯電話といった目に見えるモノ、旅行や音楽ライブなど体験するサービスと違って、宗教は相手にとって価値ある提供物を創造・伝達・配達・交換するだけでなく、究極的には相手の価値観そのものを変容させます。信を得ることによって、その人の生きる意味が180度転換する。価値判断する物差しそのものが完全にひっくり返る。そういうことが起きるわけです。

宗教は、メッセージそのものを提供物とするという点でふつうのビジネスよりもはるかにマーケティング的であり、価値提供の営みである布教伝道の結果として受け手の価値観そのものに影響を与えるという点で、マーケティング的発想を超えて行くものです。

これから未来の住職塾の成果が実ってくれば、お寺が企業のマーケティングに学ぶのではなく、企業がお寺のマーケティングに学ぶ日が、そう遠からず来るかもしれません。

(2013年7月29日「Everything But Nirvana 」より転載)