沖縄とどう向き合うのか―戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)

沖縄県民の民意が翁長知事の「オール沖縄、イデオロギーからアイデンテテイー」へと変わった今こそ、再検討すべき。

三上智恵監督の最新作「戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)」の特別上映会が、議員会館で開催されました。10万人近い県民の命を奪った沖縄戦を振り返りながら、辺野古移設反対運動を活写するドキュメンタリーです。経産省時代、沖縄振興担当をし、何度も沖縄を訪れた私にとって、自分の沖縄感の甘さを思い知らされました。

元々、中国と冊封関係にあった琉球は江戸時代には薩摩藩の「附庸」として、日中に両属します。しかし、何と言っても、歴史的に、沖縄は、「琉球王国」として独立の王国でした。ペリー提督が日本に先んじて、琉球・米国修好条約を結んだのが、1854年。同様に、フランスやオランダも独立国琉球と条約を結んでいます。

第二次世界大戦後、米国の占領・統治下に置かれ、1972年に本土復帰を果たすまでにも色々な経緯がありました。昨年末の県知事選で翁長雄志候補が勝利した4日後に、安倍政権が辺野古基地移設の工事を再開した時に、独立国であった誇りを持つ沖縄の県民が、本気で怒った姿を、この映画がとらえています。

翁長知雄志事と寺島実郎多摩大学学長の月刊「世界」での対談で、知事はこう言っています。「沖縄に経済援助なんかいらない。その変わり基地は返してください。」「沖縄が日本に甘えているのか、それとも日本が沖縄に甘えているのか。」知事選を経て、沖縄の民意は変わりました。国土面積の0.6%の沖縄県が在日米軍の74%を引き受けている現状をどう考えるのか。

寺島氏は、「普天間移設を、沖縄の負担軽減とだけとらえるのではなく」、「日本における全米軍基地を再点検し、21世紀の東アジアの安全保障を睨んで基地の段階的縮小と地位協定の改定を粘り強く提起し、その中で辺野古の位置づけを議論すべきである。」と指摘しています。

民主党政権は、残念ながら「基地の負担軽減」の観点のみから迷走し、辺野古移転の決定をしました。野党になってからも、この呪縛から自由になっていません。安倍政権は、いまだに冷戦型の思考回路のままに、辺野古移転を強行しようとしています。沖縄県民の民意が翁長知事の「オール沖縄、イデオロギーからアイデンテテイー」へと変わった今こそ、過去にとらわれず、再検討すべきです。

国際的には、英国のスコットランド、スペインのカタルーニャ、そして沖縄が独立の可能性の高い3地域と見られています。その現実性を、このドキュメンタリー映画が語りつくしています。

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