障害児たちは放課後、何をしているのか?「放課後等デイサービス」の実態を学ぶ

「放課後等デイサービス」という単語、ほとんどの方にとって聞きなれないものだと思います。特別支援学校に通う、障害をもつ生徒たちは放課後や夏休み、何をしているのか。皆さま、考えたことはありますか? 私は正直、あまりありませんでした。。

今更のご報告ですが、私、10月より都民の皆さまの

福祉・社会保障を担当する厚生委員会の副委員長を拝命いたしました。

だからというわけではありませんが、議会閉会後の現在は、

色々とお約束した施設に見学・視察へと伺わせてもらっています。

昨日は、児童養護施設「星美ホーム」

本日は、障害児への放課後等デイサービス施設「まつぼっくり子ども教室」

にそれぞれ訪問いたしました。

まず、本日訪れた「まつぼっくり子ども教室」から報告したいと思います。

「放課後等デイサービス」

という単語、ほとんどの方にとって聞きなれないものだと思います。

特別支援学校に通う、障害をもつ生徒たちは放課後や夏休み、何をしているのか。

皆さま、考えたことはありますか?

私は正直、あまりありませんでした。。

日中は特別支援学校に通う生徒たちも、放課後や夏休みなど、

学校外で過ごす時間はたくさんあります。学校と家庭の往復だけでは、

生徒にとってもご家庭にとっても、あらゆる面でマイナスになりかねません。

しかしながら障害を持つ児童・生徒は、普通学級の生徒が利用する

学童クラブに通うことは難しく、その居場所は極端に制限されておりました。

障害をお持ちの家庭を支えるためにも、児童・生徒たち自身に学校以外で

集団行動をする機会と居場所を提供するためにも、厚生労働省が2012年より

「放課後等デイサービス」を創設する運びとなりました。

障害児の学童保育所「放課後等デイサービス」 株式会社も参入、選択肢拡大

こうした国の制度によって支援が始まり、多数の株式会社などの事業者が参入して

サービス拡大したことは喜ばしいのですが、まだ若い制度ということで、

いくつかの点で綻びが出てきています。

訪れた「まつぼっくり子ども教室」は、制度がスタートする遥か以前の1983年から、

寄付や東京都・基礎自治体などの独自支援を受けてサービスを提供していました。

生徒たちが訪れ始め、活気づく教室内。

見た目は普通の一軒家の建物だったのですが、

大家さんがこの教室のために無償でリフォームし、

バリアフリーなどの構造にして提供して下さったそうです(家賃は有償)。

車座になり「はじめの会」をして、

自分たちで今日のプランを話し合う生徒たち。

2012年から始まった「放課後等デイサービス」には、

以下のような特徴があります。

・大規模(利用者21人以上)より小規模施設(20人以下、10人以下)の方が補助金が手厚い

・生徒数に対して職員数が5:1程度の設定で補助金が算出される

・従来は存在した、重度障害の受け入れ加算が存在しない

株式会社などに小規模での参入を促すための政策誘導とみられますが、

20人以上の子どもを擁していたまつぼっくり子ども教室は、以前の独自補助よりも

補助金額が大幅に下回ってしまい、サービスレベルを維持できなくなってしまったとのこと。

職員配置についても、まつぼっくり子ども教室は職員:生徒が10:7を理想とし、

本日も子ども2人に対してスタッフ1名の割合で対応をしておりました。

新規参入してきた民間企業では、5:1の割合で運営をして利益を出しているそうですが、

それでは室内遊戯などしかできず、また生徒がパニックになった際の対応は困難になります。

(実際今日、会の最中に叫びだしてしまう男の子がおり、男性スタッフ1名がつきっきりになりました)

こちらの教室では、本日も子どもたちを2グループに分けて外遊びに出かけていきました。

このような教室運営を目指す施設は、どんどん損をしてしまうのが現在の仕組みのようです。

また、重度障害にはスタッフ1名がほぼ付きっきりになる必要があるため、

新規参入してきた民間事業者が受け入れるケースは少なく、受け入れる側にも

加算がつかないため、積極的に受け入れる施設の負担になっているとのこと。

以上は、ほんの一例です。

その他も送迎サービス加算の矛盾やOBOG対応の負担など、

様々な点で貴重な示唆と問題提起をしていただきました。

まつぼっくり子ども教室は、この制度が始まった後もサービスレベルを維持するため、

第二教室を開講して小規模施設×2としたことで、なんとか運営を続けているそうです。

そもそも障害者政策の全般は、障害者自立支援法の理念に基づき、補助金の

支給方法が施設に対するものから利用者に対するものに変わってきています。

つまり、安定した利用者数を確保し続けなければ、施設を保持できないのです

これによって施設側には、常に一定の生徒数を集め、

逆に職員数は適正化して(減らして)利益を出そうとするインセンティブが働くわけですが、

こうした市場原理の誘導的なものは、障害者政策にはあまり馴染まないような気がしてます。

うーん、子育てや介護政策には、もっと規制緩和で市場原理を

効かせるべきだと思うけれど、障害者政策についてはここら辺が本当に難しい...

基本的には国の制度設計にはなるものの、

各自治体は独自加算も可能で、財源が比較的豊かな東京都だからこそ、

全国に先んじて改善できる点が多々あるはずです。

引き続き理解と研究を深め、

厚生委員会の場で提案していきたいと思います。

お話を聞かせていただいた田中代表、

本日はほんとうにありがとうございました!

こうした放課後デイサービス施設は、

地域の方々の理解によっても支えられているそうです。

ぜひ皆さまもこれを機に、障害を持つ児童・生徒たちの

放課後について、少しだけ思いを巡らせていただければ幸いです。

それでは、また明日。

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