豊洲の使い道はマンガ喫茶?! 築地に土壌汚染はないの?? 築地移転を「白紙撤回」して、現実的な対案は出せるのか

「食の安全」という視点から豊洲移転が計画されてきたことも忘れてはいけないでしょう。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今日はフジテレビ「バイキング」にお招きいただき、「築地白紙撤回」を掲げる移転反対派の理論的支柱、建築エコノミストの森山さんと議論を闘わせました。

議論終了後に行われた視聴者リアルタイムアンケートでは、なんと築地白紙撤回への賛否がきっかり50:50

東京都もわれわれ都議会も、都民の不安を払拭するために一層の情報公開・説明責任を果たしていかなければならないと、改めて身が引き締まる結果となりました。

森山さんによる移転反対の主張と、それに対して私の発言の主旨は以下の通り。

土壌汚染の問題が解決していない!

森山さんが示した数値は、土壌汚染対策をする以前のもの。850億円をかけて除去作業を行い、すでに複数回行われたモニタリング調査中間報告で、十分に安全を確認できる数値が出ている。

ただし、2年間のモニタリング調査の最終結論が出るのは11月18日。それが判明する前の日付に移転日を設けたことは疑問であり、安全宣言を行なってから移転をするべきとの主張は理解できる。

豊洲新市場の床積載荷重は700キロ/1平方メートルであり、ターレの重量に耐え切れず「床が抜ける」!

700キロという数値は床全体に同時にその重量がかかった際の限界値であり、床全体で負担を分散させて支える仕組みになっていることからも、2トン程度のターレが走ったところで床が抜けるとは考えづらい。

また、公開されている工事現場の画像を見ると、実際に10トンクラスのコンクリートミキサー車が床の上を走っており、これも豊洲新市場の床の安全性を示す十分な論拠になりえると考える。

店舗の面積が狭く、マグロが切れない!

森山さんが示している店舗スペースは確かに手狭だが、基本的に東京都は原則2区画で1コマとして営業して欲しいとお願いしている。

経済的な事情から1コマしか買えない業者もあると思うが、そもそもマグロの大きさは数キロから数百キロまで様々であり、小さな店舗が取り扱うマグロは小さなものである可能性が高い。実際、現在の築地の店舗面積も大小様々である。

それでも大きなマグロを切れない場合には、共有スペースとしてマグロを捌ける場所も確保されており、すべての店舗がマグロが切れないかのような主張をすることは明らかにミスリードである。

トラックの荷降ろしの際、横に開くことができない!

トラックを横開きをすると冷気が一気に逃げるため、品質管理上・衛生上大きな問題があり、豊洲ではそれを防ぐために敢えてバックドアから荷降ろしをする仕組みを採用している。

むしろこれまでの築地での荷降ろしの際に、衛生面を一部無視したオペレーションが行われていたことが問題であって、この移転を機に運用を改善しようというのは望ましい姿勢である。

店舗を洗浄する際に、海水が流せない! 築地と同じように床掃除ができない!

海水で掃除・洗浄をしていない市場もたくさんある。海水で洗浄をしないと虫が発生する・衛生に問題があるというのであれば、海水が使えない町の魚屋さんは問題だらけになる。海水洗浄に効果があるという科学的根拠は存在しない

海水(塩水)を使わせないのは、施設の腐敗が進行するのを防ぐため。真水で施設を使えばその分長持ちし、税金でつくる施設を長く、大切に使うことができる

海水を使った方が衛生に良さそうな気がするという、科学的に証明できない築地の「伝統」のために過剰投資するより、現実的な選択肢を選んだということで、十分に理解できるものである。

...とまあこんな感じで、限られた時間の中ではかなり充実した議論ができたのではないでしょうか。番組後半では、「体罰」と教育現場についての激論も。

明日の同番組でも築地移転をテーマとして取り上げるとのことで、再び私も登板して延長戦です! ぜひご覧いただけますと幸いです。

誤解のないようにお伝えしておきたいのは、私とて無批判に豊洲移転を推進する立場ではありません

実証実験や習熟訓練を行う時間が確保されていないなど、豊洲移転には多くの懸念がありますし、11月18日のモニタリング調査結果が出る前に移転日を設けたことも、極めて疑問です。

ですから、「延期」という選択はあり得ると思います。

一方で、「白紙撤回」という主張に対しては、首をかしげざるを得ません。白紙撤回をして、マトモな対案があるのでしょうか?

以前のブログでも詳述した通り、民主党政権が公約を撤回した時点で、この議論には決着がついていると考えるのが妥当です。

マンガ喫茶にするという森山さんの主張は、さすがに荒唐無稽すぎて、本気で言っているわけではないと思います(冷蔵機能など、すべて捨てることになる...)。

また、白紙撤回派が強硬に主張している「土壌汚染」「食の安全」にも大きな疑問があります。十分に安全な数値が出ている豊洲に対して、

「基準値を下回ったからといって、ベンゼンが出ているではないか!」

「広大な敷地の中の一部をチェックしているだけで、抜け漏れがある!」

というのであれば、果たして今の築地の「土壌汚染」「食の安全」はどうなっているのでしょうか?

豊洲の土地は以前に、東京ガスが使用していて深刻な土壌汚染を引き起こしたのですが、かたや築地の敷地には戦前に軍の科学実験場が存在したこともあり、土壌汚染を不安視する声も少なからず存在します。

築地で再整備を行うなら、その土壌汚染対策は万全と言えるのでしょうか?ここで豊洲と同レベルの環境モニタリング調査を行ったら、豊洲以上に深刻な結果が出る可能性は否定できないのですが、この点についても白紙撤回派は目をつぶり続けています。

また、そもそも開放型で老朽化した築地では水産物の品質管理を十分に行うことができず、むしろ「食の安全」という視点から豊洲移転が計画されてきたことも忘れてはいけないでしょう。

議論が起こり、豊洲新市場の懸念点が洗い出されることは良いことです。

ですが、対案なき「白紙撤回」という飛躍した主張が、反対のための反対になっていないかという点についても、同様にメディアは検証を行っていくべきではないかと思います。

引き続き、一人でも多くの都民・市場関係者が納得できるよう、私も政策提言と情報発信に努めて参ります。

それでは、また明日。

(2016年8月25日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)

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