BLOG

知事が作った予算案が気に食わない!そんなとき、議会に何ができるのか?

2017年03月28日 22時37分 JST

連日、深夜や休日まで政治的駆け引きが続いていた都議会予算特別委員会、本日が最終日となり、知事提出の予算案が「全会一致」で採決されました。

2017-03-29-1490747908-1242675-5767552095012.jpg

東京都新年度予算案 特別委で全会一致で可決

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170328/k10010927521000.html

>小池知事に攻勢を強めた自民党も予算案には賛成し、共産党も美濃部都政以来およそ40年ぶりに賛成に回りました。

共産党、なんと都知事予算案に賛成するのは40年ぶりだったそうです...!文字通り「誰も見たことのない都政」に向けた、小池予算を象徴する出来事と言えるでしょう。

とはいえ自民党・共産党は採決の前に、それぞれ「予算の編成替えを求める動議」を提出しています。簡単に言うと、知事の予算案に異議あり!ということですね。

ではせっかくなのでここで、小池都政で初めて政治に興味を持たれた方に向けて、今さら他人には聞きづらい「予算」の成立と議会の関係についてを解説してみたいと思います。

「予算の編成権は知事にあり、予算の決定権は議会にある」

そんな小難しいセンテンスを、なんとなく耳にしたことがある方はいらっしゃるかもしれません。

予算案の編成権・提案権というのは、地方自治法により定められた知事(首長)だけの特権です。自分が思い描くまちづくりや政策実現のために、どこにどれだけお金を使うのか、これを考案することができるのは知事のみになります。

一方で議会には、予算の「決定権」があります。知事がどれだけ自分の思いを込めて練り上げた予算案も、議会の承認を受けなければ「案」のまま。議決というお墨付きを得ない限り、正式な「予算」として日の目を見ることはありません。

政策実現とはつまり、予算をどこにつけるかということにほぼ等しいですから、予算編成権を持っている知事の権限は非常に強大です。しかしそれは、議会が承認・納得しない限りは、実現されないようになっています。

このように互いを牽制しあうことで、地方自治はどちらか一方の独裁にならないような制御機能が働いているわけですね。

では、議会が知事の予算案に納得できない場合、議会側にはいったいどんなことができるのでしょうか??

前述の通り、予算編成は知事特権であり、議会が勝手に独自案を提出して可決することはできません。

そりゃそうですよね、それが許されてしまうなら、知事なんてものは文字通りの「お飾り」になって、議会多数派が予算を掌握して独裁的に振る舞うことが可能になってしまいます。

そのため、議会側が知事に対してできるのは、大きく次の二つになります。

1. 修正案の提出

2. 予算組み替え動議の提出

前者の「修正案」とは、議会側が具体的な項目の増額・減額を提案し、新たな予算案(修正案)として議決にかけるものです。

この場合、知事が提出した原案と、議会側が提出した修正案の二つが採決にかけられ、通った方が今年度の予算として成立します。

ただし、「どこまで原案を修正できるのか」という点については、ある程度の縛りが存在します。予算編成権はあくまで知事にあるため、議会による修正はそれを犯さない範囲に留まる旨が地方自治法で定められています。

具体的には、原案になかった新たな事業・項目に予算を付け加えることなどはできないと解釈されています。新たな事業=政策を立案することは、知事の予算趣旨を変更することになりかねないからです。

よって修正案は、原案に出ている項目の増額・減額を提案するに留まるのが一般的であり、そういった意味では「範囲が狭い」「使いづらい」手段であるとも言えそうです。

一方の「予算組み替え動議」とは、知事側に予算案を作り直して再提出することを求めるものです。

「◯◯の予算はおかしいから、なくせ!」

「☓☓事業が入っていないから、そこに予算をつけてやり直し!」

と言った具合に、具体的な要求とともに提出されるのが通例になっています。

こちらは範囲の限定などはないため、予算案に存在しない項目の追加要求なども可能であり、「修正」よりも使い勝手が良い反面、仮に組み替え動議が議決されたとしても、法的な拘束力はないとされています。

とはいえ、議会の過半数が賛成して組み替え動議が可決された場合、知事側はその決定を尊重していったん予算案を引っ込め、ある程度議会側の言い分を取り入れた予算案を提出し直すことが一般的と言われています。

勿論これには、組み替え動議が過半数の賛成を得るということは、知事の原案が過半数に反対・否決されることとほぼ同義なので、そうならざる得ないという側面も存在します。

以上のような二つの手段を状況や提案内容に応じて選択し、議会側が知事に対して様々な揺さぶり(要求)をかけていくのが、議会制民主主義の醍醐味の一つです。

少し古い例ですが、2010年の千葉市議会では2つの組み替え動議と1つの修正案、そして知事原案という4つの議案が飛び交い、そのいずれもが否決されるという出来事がありました。

参考:平成22年度予算は3会派による修正のうえ成立(千葉市長・熊谷俊人Blogより)

http://kumagai-chiba.seesaa.net/article/144124923.html

では今回の都議会では、具体的にどんなことが起きていたのでしょうか?それを明日のブログで解説していきたいと思います。

議会の仕組みと攻防が、少しでも皆さまにわかりやすく伝われば幸いです。

それでは、また明日。

(2017年3月27日「おときた駿 公式サイト」より転載)