橋下徹氏VS乙武洋匡氏のひとり親支援の論争 実はマイナンバーにも深く関わっている

ひとり親支援のための新たな社会運動がスタートしました。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

社会起業家の駒崎弘樹さんを始めとする皆さまが、

ひとり親支援のための新たな社会運動をスタートしました。

先進国と言われる我が国でも「子どもの貧困」は大きな問題になっており、

特に母子家庭を中心とする「ひとり親家庭」の多くが貧困状態に陥り、

ここに対する支援拡充に私も兼ねてから取り組んで参りました。

ひとり親支援関連の過去ログはこちらから。

「働かないで国からの保護をもらおうなんて、怠慢だ!」

という意見も散見されますが、我が国における

母子家庭の就労率は8割以上で、先進国の中でも群を抜いています。

「働いているのに、貧困から抜け出せない」社会システムがそこにあるのです。

言うまでもなくこれは、出産・育児をする女性に厳しい社会構造のためであり、

母子家庭の母親の約半数が非正規雇用、平均就労収入は181万円/年しかありません。

そんな厳しい状況と闘うひとり親家庭に支給される行政からの手当として、

「児童扶養手当」というものが存在します。

しかしこちらも、第一子こそ42,000円の手当が出るものの、

第二子5,000円、第三子たったの3,000円!この金額でどうやって、

子どもに十分な生活環境と教育を与えろというのでしょうか?

こうした「児童扶養手当」の増額のために著名人たちが立ち上がったわけですが、

早速その発起人の一人である乙武洋匡さんに、橋下徹氏が絡んで

興味深いやり取りが行われています。

橋下氏の主張は、

「ひとり親家庭だけの支援に限定すれば、逆差別を招く可能性がある。

家族構成に関係なく、低所得世帯ずべてを支援する政策を拡充するべきだ!」

というもの。

橋下氏の第一声は(そのご存知の性格から...)誤解を招きかねない

苛烈なものでしたが、そこに温和に切り返した乙武さん。

最終的には

「制度変更は難しくなく、課題は財源。財源をしっかり確保して、

必要な施策を講じていくためにお互い頑張ろう」

という非常に前向きな結論に終わりまして、

ともすれば「ディスり合い」で終わるTwitter論戦史上において、

非常に清涼感のある幕切れと相成ったわけであります。

(詳細や乙武さんTweet内のリンクから御覧ください)

実はこの橋下さんの主張する「低所得者への支援」という部分には、

いま話題のマイナンバー制度が密接に関連します。

「ひとり親世代」というのは戸籍上すぐに判別できますが、残念ながら

今の我が国のシステムでは、「低所得者」というのはすぐに補足できません。

源泉徴収を行うサラリーマン以外の自営業者の所得補足は極めて難しく、

実際には高所得の自営業者でも「赤字」として確定申告をして、

都営住宅に住むような例が多発しているのが我が国の現状だからです。

ゆえに、橋下さんの言う政策は(現時点では)「あくまで理想」に留まりますし、

現在行われている所得格差によって実行範囲が規定される各種福祉政策についても

根強い批判が残っており、なかなか拡充することができません。

参考:クロヨン

(課税所得の捕捉率に関する業種間格差に対する不公平感を表す語)

何かと評判の悪いマイナンバー制度ですが、きちんと機能すれば、

本当に困っている人に必要な支援を届けるのには必要不可欠といえます。

私の政治信条の根本は自由主義なリバタリアンですけど、

一言で社会保障に対する政治信条を表せば、

「困っている人は絶対助けるけど、そうでない人は徹底的に放っておく」

ということなので、それを実現するためには

過渡期としてのマイナンバー制度は有効な手段なのです。

(私は自分のことを「モデレート・リバタリアン」と自称しています)

なぜかリベラルと言われる人ほど、福祉政策には熱心なのに、

マイナンバー制度には強く反対する人が多いのですが...。

きちんと機能させる方法を考えれば、この制度こそ実は

社会保障制度の充実に最も寄与するのではないかと思います。

ともあれ、橋下さんのように根源的な解決策を目指しつつ、

まずは目先に解決できることに着手する乙武さんの発想も非常に重要。

これを機会にぜひ皆さまも、

「ひとり親世帯、および子どもの貧困」

「児童扶養手当の拡充の是非」

についてご一考いただければ幸いです。

キャンペーンもやっているみたいですよ!

ひとり親を救え!プロジェクト

それでは、また明日。

(2015年10月23日「おときた駿公式ブログ」より転載)

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