議員・政治家の「海外視察は無駄なのか」問題に決着をつけよう。議員視察が必要な3つの理由

そもそも地方議会に限らず国会でも、議員の外遊・海外視察というものに対しては「税金の無駄遣いではないか?」「それって本当に意味あるの?」という議論は絶えません。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

英国のEU離脱で若干報道がそっちにぶっ飛んだ部分はありますが、

まだ各地方自治体・地方議会の「リオ五輪(海外)視察」問題はくすぶっています。

23区の中では渋谷区・品川区の地方議員が、

リオ海外視察に行くことになっているようです。

というか品川区、議事録が削除されてるって本当なんでしょうか...。

都議会のリオ五輪視察については前回のブログ記事で取り上げた通り、

紆余曲折があって「白紙撤回(ゼロ!)」という結論になったところです。

参考:

そもそも地方議会に限らず国会でも、

議員の外遊・海外視察というものに対しては

「税金の無駄遣いではないか?」

「それって本当に意味あるの?」

という議論は絶えません。

まあ、あまりにもわかりやすい高額支出ですからね...成果も見えにくいですし。

でもせっかく舛添問題、そしてオリンピックでこの問題に注目が集まったわけですから、

ここらでこの永遠かに見える議論に決着をつけようではありませんかっ!

(と、とりあえず大風呂敷を広げてみる)

まず結論から言うと、永江一石さんあたりに怒られそうなのですが(苦笑)、

私は政治家・議員の海外視察が必ずしも意味のないものだとは思いません。

私自身も海外視察に行った直後にこんな記事を書きましたが、

今日はここで触れた「1.国民・有権者に成果や情報を還元する」という理由以外にも、

もう2つの根拠を追加しておきたいと思います。

2.儀礼的な意味合いが重要だから

今回のリオ五輪で言えば、次期開催都市の議会を代表して、

何人かの議員が訪問して祝儀を伝えるという行為に一定の意味はあると思います。

これは民衆の「代表者」である政治家にしかできないことです。

「いや、知事(首長)が行けば充分じゃん」

という意見はあろうかと思いますが、

向こうにも市長だけでなく議会・議員が存在するので、

やはり首長だけではそのカウンターパートとして成立しません。

そんな儀礼や慣習、全部いらんわやめちまえっ!!

というストロング・スタイルを主張することも可能ですけど、

儀礼はある種世界共通ですし、ここを全否定する方はそう多くないんじゃないかと思います。

なので私としては繰り返しになりますが、

東京都は議長・副議長くらいは公費で出向くべきだったと考えています。

一方で品川区議会・渋谷区議会には今回、この儀礼的要素は求められていませんから、

他の2つの理由を確実に満たしている必要があります。

...というかそれなら、終わった後に安い期間に行けばいいじゃんと、

心の底から思いますけど。そのほうがゆっくり、先方の反省点とかも聞けますしね。

3.議員は官僚機構のチェック機関だから

もうひとつ重要な理由は、これ。

「視察に行くなら、議員じゃなくて事務方が行けば充分」

という意見は非常に多くいただきましたし、

前回の都政報告会の中でも直接質問をぶつけられました。

確かに、事務方の視察はそれはそれで重要です。

しかしながら。

普段から皆さん、「公務員」に対して厳しい目を持たれている方は多いと思います。

民間企業に比べて危機感がない、経費や目標設定などの数値管理が非常に甘い、

天下りや利権ばかりを追い求める...これらは実際に存在する、公務員組織の欠点です。

本来、政治家というのは市民の代表者として、

こうした公務員・官僚組織を監視する役割も担っているわけです。

ここまで言えば、おわかりいただけるかと思います。

公務員・事務方だけを視察に行かせれば、どんなプランが出てくるかわかりません。

前例踏襲主義に従って無駄な予算組みをしてしまったり、自らの天下り団体に

仕事を流すために余計な提案を持ち帰ってくるかもしれません。

そうした公務員組織の意思決定に目を光らせるために、

本来であれば政治家が現場を見て、厳しいチェックをかけるべきなのです。

政治家は敵ではなく、本来われわれの代表者たる「味方」なのですから。

話をまとめます。

1.国民・有権者に成果や情報を還元する

2.儀礼的な意味合いをこなす

3.官僚機構のチェックをする

これらすべて、あるいはいずれかを充分に満たしていれば、

議員の海外視察は無意味なものでは決してないはずです。

だから「議員の海外視察」そのものが悪なのではなく、

政治家がろくでなしばかりでこの役割をまったくこなせていないことが問題なのです。

議会の海外視察はだいたい、

「集団で行っても報告書は一つ」

ということが通例、さらには議員が書いているというのは建前で、

ほとんどは同行した事務方が作成しているのが実態となっています。

(都議会に至っては、それすら半年たっても完成してないし...)

事務方が書いたレポートをもってその成果とするなど、

完全に上記役割の1番と3番の放棄です。こういう視察はもう、全部やめていい。

なので今回、品川区・渋谷区の議員の皆さんを評価する方法は簡単です。

行った議員が個人毎に全員、報告書を有権者に対して提出するかどうか。

これでその議員と議会の質が判断できます。

事務方が書いたレポート一本で「報告」とするなんて論外なのはもちろんのこと、

大人数で行くのであれば、それぞれ違った視点で報告書をつくるのは当然です。

それすらやらない議員がいたら、本気で落選運動して良いレベルだと思います。

ちなみに私は過去2回、政党視察で海外に同行させていただきましたが、

毎日この分量のブログを書いてアップし、帰国後は成果を数十枚のパワーポイントにまとめ、

それぞれ海外視察報告会・タウンミーティングを開催しています。

ついでに言えば、向こうで座学の時はTwitter実況までやってました。

ネット社会万歳。

そして持って帰ってきた情報を元に、実際に議会でも政策提案をしてますし、

特に児童福祉法改正にあたっては少なからず貢献できたと自負しています。

都議会でも、今回の「選挙対策」とも取れるリオ五輪視察中止を一過性のものとしないために、

これら3つの理由を満たさない海外視察の削減、実施する場合は議員毎のレポート提出などが

義務付けられるよう、今後も粘り強く提言していきたいと思います。

皆さまからも引き続き、手厳しいご意見やチェックをいただければ幸いです。

それでは、また明日。

(2016年6月27日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)

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