被災地から仮設住宅がなくならない、いくつかの理由

二日目の夜に大船渡市にて、市役所の復興支援担当職員と、震災直後から仮設住宅の支援員をやっているNPO代表の方にお話を伺う機会があったのですが、公営住宅への入居がうまく進んでいないとのこと。

日曜日の午後から本日まで二泊三日の弾丸日程にて、

夏休み(?)第一弾として岩手県遠野市に移住している

非営利団体ふらいパンダ

の代表、奈良さんのところへ訪問しておりました。

半分プライベート、半分被災地の現状見学といったところですかね。

右上のあやしいマリオが奈良さん。笑

非営利団体ふらいパンダは、東日本大震災直後に我々で立ち上げた、

被災地の子どもたちに笑顔と巨大カステラを届ける復興支援団体です。

そんなわけで、被災地支援にはかれこれ私も数十回足を運んでいるわけですが、

岩手に行くのは昨年12月の防災議連での視察以来の半年ぶり。

記憶の風化を防ぐためにそのまま残された、大槌町の町役場。

他にも、陸前高田に盛り土用の土砂を運ぶ巨大ベルトコンベアーが出現していたり、

(日が沈んでから陸前高田にたどり着いたため、写真が撮れず...しかし、あれは凄い!)

改めて、あの震災を心にとめながら、被災地の復興に向けて

やるべきことに邁進しなければならないと決意を新たに致しました。

さて、被災地の各地ではそろそろ、

主に仮設住宅に住んでいる方々の入居を前提とした

「災害公営住宅」

が完成し始めています。

大槌町に完成していた、平屋タイプの住宅。

「公営住宅」というと団地が思い浮かびますが、

こちらは雰囲気も戸建に近く、非常に綺麗です。

一方ではやはり、こうしたイメージ通りの

団地タイプの建設も行われています。

しかしながら...。

二日目の夜に大船渡市にて、市役所の復興支援担当職員と、

震災直後から仮設住宅の支援員をやっているNPO代表の方にお話を

伺う機会があったのですが、公営住宅への入居がうまく進んでいないとのこと。

以前に女川の災害公営住宅を視察したときも、

「人口流出も相まって、現段階で入居予定者は全戸の半分程度」

と担当者の方が悩んでいましたが、大船渡でも同じ状態になっているそうです。

第一期の災害公営住宅は完成したけれど、入居希望者が増えない。

このいくつかの理由を教えてもらいました。

まず、よりよい条件の公営住宅の完成を待っている人が多い

いま完成している災害公営住宅は一期目に計画された物件で、

例えば大船渡であればエレベーターがないなど、不備も散見される。

仮設住宅は

「一度出ると決めたら、原則として二度と戻ってこれない」

ので、一番良い条件・物件に引っ越しができるタイミングを

図っている、様子を見ている人が大勢いるそうです。

そして、何よりの最大の理由は、

公営住宅は(安いとはいえ)家賃がかかる。仮設住宅は無料。

未だに災害前と同じ労働環境・所得水準に復帰できていない方々にとって、

仮設住宅の「家賃無料」という条件は、生きる上で最低条件になっています。

いくら行政が

「住宅が出来ましたよ、さあ引っ越して下さい!」

と働きかけても、無い袖は振れない。

特に、一度出ると決めたら戻れないのなら、なおさらです。

仮設住宅を「住」だけの問題として捉えれば、

仮設と同じ戸数の災害公営住宅が完成すれば仮設はなくなりますが、

結局のところこれは雇用・経済環境の問題に直結します。

いくら住宅だけ数を揃えても、そこで生活できるだけの

十分なお金を稼げるだけの環境が整わなければ、仮設に住んでいる人たちは

出ていくことができず、仮設住宅は延々と残り続けてしまうのです。

被災地の経済環境はいまだ、苦しいままです。

震災から丸3年が経過し、復興仮設商店街の客足も徐々に遠いています。

やはりこれらの店舗運営も、

「賃料(テナント料)無料」

というゲタを履かせてもらっているから経営が成り立っているそうで、

これが打ち切られたら果たしてどうなることか...。

そして市役所役人さんも、

個人的な所感と前置きした上で

「国からの復興補助金もあと数年で枯渇することがわかっている中、

仕方ないこととはいえ、大規模な災害公営住宅という『箱モノ』を

私たちのような小さな自治体が所有してしまうことは大いに不安」

という意見を述べておられました。

大きくとらえれば被災地だけの問題ではなく、

国からの補助金漬けでの運営が前提とされた地方自治体が、

いかに自立していくスキームを考えられるかが、引き続き課題になりそうです。

直接的に関わるわけではありませんが、

地方議員の一員として、この問題解決・政策立案には

引き続き注視・尽力していきたいと思います。やはり地域主権・道州制か...。

それでは、また明日。

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