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利便性or安全性?「2020年東京五輪までに無料Wi-Fi完備」は実現するか

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本日は武蔵小金井で行われた
「舛添知事と語ろう!」なる企画をひっそりと傍聴してきました。

舛添知事と語ろう!in 小金井
「2020年に向けた地域をあげての外国人おもてなし」を開催します!

http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2014/08/22o8m200.htm

2014-10-21-141021_shunotokita_01.jpg

ちゃんと一般公募で応募して、当選したんですよ!笑
平日14時という時間帯ですので、参加者は高齢者が主体でしたけれど、
事業者っぽいスーツの方、あるいは学生さんの姿もチラホラとみられました。

2014-10-21-141021_shunotokita_02.jpg

ゲストにあのケビン・クローン氏などもお招きし、
外国人と対応する際の語学ボランティアについての話が中心でしたが、冒頭には
来日観光客の中で語学の次に不満として挙げられるのが「Wi-Fi環境」である点に触れ、

「Wi-Fi環境があれば、何か困った外国人の方も簡単に調べ物ができる。
 2020年までにこの問題を解決し、東京の無料Wi-Fi環境を完璧にしたい」

と舛添知事が力強く宣言しておりましたので、
本日はこっちについて敢えて取り上げてみたいと思います。

都議になってから、若い世代を中心に多くの方々に

「東京の無料Wi-Fi環境のイケてなさ、なんとかならない?」

という声をいただきます。
最近ではスタバの無料Wi-Fiも1時間制限がついたそうで、
外国人のみならず日本人でも「Wi-Fi難民」が多数発生するのが現在の東京です。

しかしこちら、誤解している方も時々いらっしゃるのですが、
行政がおじさんで頭が固いのでネット環境に関心がないとか、ケチなので
この分野に投資しないというわけではありません。(まあそういう政策もたくさんありますけど...)

一言でいえば、外国でイメージするような「フリーWi-Fi」が
日本で普及しないのは、安全性(治安)が最大の理由です。
「利便性か、安全性か」のトレードオフと言ってもいいでしょう。

認証なしのフリーWi-Fiが街中に溢れていれば、
たしかにクリック一つで誰でもネット接続が可能になる反面、
サイバー犯罪などが起こったときに犯人特定が困難になります。

そこは世界一の治安を誇るニッポン。
Wi-Fiを設置して運用している飲食店で、大手のチェーン店ともなると、
数か月に一度は警察から犯罪捜査のために情報開示請求があるといわれています。

このあたりは現在総務省でも見直しを進めている動きがあるそうですが、
少なくとも現時点で我が国の方針として、治安維持のために
「認証つき」のWi-Fi導入が推奨されているようです。

そのため、民間事業者は認証つきのシステムを導入せざるえず、
このコストが非常に高いため導入に消極的になりますし、
そんなWi-Fiを飛ばしても利用者から見れば

「メールアドレスの登録が必要とか、意味ねーじゃん(面倒くせーよ)」

ということになるわけですね。

さて、ここでもう一つ問題となるのが、
舛添知事のいう

「無料Wi-Fi環境を完璧にする(完備する)」

というのが、何をもって「完璧」としているのかです。
おそらく、若い世代や外国人観光客から見れば、

「東京じゅうどこでも、ボタン一つでネットにつながる」

状態が「無料Wi-Fiの完備」でしょう。
しかしながら上述のように、治安第一を旨とする我が国ではせいぜい、
「メールアドレス等を登録すれば、Wi-Fiが使える環境完備」程度がゴールになる可能性があります。

担当局に先ほど確認しましたが、この点の意識のすり合わせは
知事と担当局ではまだ行われていないようですし、総務省の方針とも
関連してくる部分にはなるでしょう。

外国人観光客のいう「Wi-Fiがつながらない」という指摘が、

・根本的にWi-Fiのアクセスポイント自体が少ないのか
・アクセスポイントへの情報が少なくてたどり着けないのか
・メールアドレス認証などが煩雑で、使用ができないのか

をしっかりと分析しなければなりません。
その上で、知事の目指す「完璧・完備」の定義を明確にし、
現状からそこに向けてのロードマップ・数値目標を示していく必要がある
でしょう。

繰り返しになりますが、安全性と利便性はどうしてもトレードオフになりがちです。
日本人はどちらかといえば、「安全性を重視する国民性」だと言えます。

国民全員にアドレスを与えて、その番号でいつでもどこでもワンストップで
IT化した行政サービスを受けられる、とかが実現したらものすごく便利だと思いますが、
日本では実現する気がしません。そういえば、住基カードなんてものがありましたね...(遠い目)。

印鑑文化や煩雑な行政手続きがどんなにしんどくても、黙ってそれに従う。
そんな日本人社会が、外国人から奇異にみられることは想像に難くありません。
しかし、それが世界一の治安を守ってきたこともまた事実です。

個人的には、日本・東京都はもう少し利便性に寄って
スピードアップしていかなければ、国際社会・情報化社会に取り残されると思いますが、
現在のセキュリティ水準を維持したまま観光客対応をするなら

・成田空港、羽田空港のフリーWi-Fiを完備(実施済)
・東京中のWi-Fiアクセススポット地図を空港でデジタルデータ提供
・登録が必要なものについては、まとめてその場で登録してもらうように案内

こんなところが落としどころになるのかもしれません。
財源が無限にあれば、

「認証システムつきWi-Fiを導入をする民間事業者に助成金を出しまくり、
その認証システムのランニングコストも一部負担」

という政策も、考えられるかもしれませんけど。。
また大阪の自主財源モデルは、今後の推移が参考になりそうです。

大阪府全域の外国人旅行者向け無料公衆無線LANサービス、自主財源の運用モデルを目指す
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140128/532883/

本件は今後、総務省の動きも注視しながら、
知事本人および担当局に議会質問を通じて明確な目標と、
それに至るロードマップの設定などを確認していこうと思います。

野良Wi-Fiが飛び交い、どこでもネットがつながる国が「進んでいる」のか。
登録などは煩雑だが、セキュリティや捜査がしっかりしている国が「進んでいる」のか。

皆さまは、東京にどのようなWi-Fi環境を望みますか?
それでは、また明日。

2014年10月20日「おときた駿公式ブログ」より転載)

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