「荷重で床が抜ける」はやっぱりデマだと完全に判明。豊洲新市場の建屋構造について、ほぼ安全性が確認されました

第2回の「市場問題プロジェクトチーム会議」にて、豊洲新市場の建物の安全性について議論がかわされました。そこで、重要な進展がありました。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今日は夕方から第二回の「市場問題プロジェクトチーム会議」が行われ、主に豊洲新市場の建物の安全性について議論がかわされました。

重要な進展がありましたので、専門的な話もありますが最後までお読みいただけると嬉しいです。

※会議の動画や資料はこちらから閲覧できます↓

議題となったのは主に3つ。

1. 防水コンクリートの厚みが間違って計算されていた件(✕10mm→◯150mm)

2. 積載荷重700kg/㎡の妥当性(2tのターレが乗ると床が抜ける!の例のアレ)

3. 地下ピットの耐震設計の安全性について(地震で揺れて倒れる?!)

ネット上で一部の専門家によって実しやかに囁かれ、特に2番に至ってはマスコミが面白おかしく取り上げ豊洲新市場の風評被害・不当な評価の大きな原因となってきました。

これらについて、これまで守秘義務契約により頑なに沈黙を守ってきた設計会社「日建設計」がその義務を解かれて反論を行い、その主張に各界の権威がお墨付きを与えました。

まず一番に関しては、数字を間違えて記載した日建側に大きな非はあるものの、実際に施工した150mmで計算しても安全性にはまったく問題がありませんでした。

もちろん単純ミスが致命的な欠陥につながる恐れもあるので、再発防止には十分な注力が必要ですし、設計会社およびこれを見落とした都のチェック機関にも猛省を促す必要はあります。

そして2番めの、長らくネット上でも議論をされてきた「ターレの重みで床が抜ける」問題。

まずは当然のことながら、もともと都が要請した700kgという数字を満たしています。問題はこの数字の妥当性にツッコミが入っていることですが…

あらゆるケースをシミュレーションした図。一区画分をすべて水槽にするという荒業をもってしても、この数値の範疇です。もちろん床は抜けません。

続いては、これまたあり得ない仮定ですが、荷を満載にしたターレが密集して走行したシミュレーション。

それでも荷重は570kg/㎡。もちろん床は(以下略)

この日建の主張に対して、危険性を指摘した一級建築士・高野一樹氏は

「実際の用途を私は把握してませんので、確認されているならそれで良い(危険ではない、床は抜けない)と思います

「ただ50年・100年使用するのだから、将来の拡張性を考慮するべきでは…」

と切り返すことしかできず、後者の主張に関しては日本構造技術者協会会長の森高氏から

「拡張性の議論は無関係。(論点は)これから豊洲で使われる現実に即しているかだけです」

とバッサリと斬られて終了。

また同じく「床が抜けるかも!?」と各種メディアで強く主張してきた建築エコノミスト・森山高至氏はその場にいたにもかかわらず、この点についてはまったく反論することができませんでした。

※参考:森山氏が積載荷重700kgはありえない!と主張し始めた奇妙なブログはこちら↓

あれだけ床が抜ける抜ける、700kgなんて異常値だと騒いできたのに、これは一体どうしたことでしょうか?いつの間に宗派替えをしたのでしょうか?

少なくともこれまでのご自身の主張については総括・訂正されるとともに、無責任な言説に乗って報道してきた各種マスメディアも、この専門家の結論をしっかりと周知するべきであると強く感じます。

そして3点目に関しては、かなり専門的な話になるので詳細な説明は省略しますが、問題となったのは高野氏が模型を使って説明した部分。

実際に模型を取り出して「豊洲市場の建物が揺れて危険ではないか?」ということを実演し、その光景が(おそらく目論見通りに…)NHKなどで報道されたわけですが。

この図・模型での実演に対して日本構造技術者協会会長の森高氏は、

「スケールがまったく違うので、一般の方に誤解を招く懸念がある」

と苦言を呈し、日本建築家協会を代表して参加している一級建築士・佐藤尚巳氏に至っては、

「あなたはパフォーマンスとして事実と違う表現を用いて、都民の方に誤解を与える解説した。それは専門家としてやるべきことなのかと非常に疑問を感じます」

と極めて強い懸念を表明しました。

※森高氏のコメントはこちらの動画の1:19頃から、佐藤氏のコメントは1:27頃から見られます。必見。

つまり高野氏は、実態とかけ離れた「過剰に揺れる」図や模型によって著しく不正確な主張をしていたことを、2人の各界の権威によって同時に指摘されたわけです。

その後、この点でも安全を主張する日建設計との間で専門的なやり取りがいくつかあったものの、「不正確な図・模型」を用いたことに対して高野氏が弁明・反論することはありません(できません)でした。

私はこれが、少なくとも建屋構造の安全性議論についてのほぼすべてを象徴していたように感じます。

設計や構造について、専門的な知見から細かい点に疑義を示すことはいくらでもできます。しかしながらそれを、他人を騙すようなやり方でデフォルメ(強調)するのは許され難いことではないでしょうか。

概ね安全だが細かいところは引き続き専門家同士で議論を…という流れでお開きになろうかと思われた終盤、これまで守秘義務を強く課されて言われるがままの状態に甘んじていた日建設計が、

「法に則って安全な建物を作ったと思っている。異論があるというのなら、危険性を証明していただきたい

「今日この場で少なくとも、最低限法律に基いて(安全に)作られているかどうか、合意をしておきたい」

と踏み込み、矜持を見せました。相当に、鬱憤が溜まっていたんでしょうね…。

これに対して高野氏はまだ異を唱えましたが、構造の権威・森高氏が

「日建設計が設計の責任を負うものとして安全性を宣言した。私はそれに同意します」

『安全宣言』をし、建屋の構造における安全性は今日でほぼ決着したと考えて良いと思います。

土壌汚染などの環境についての議論はこれから続いていきますが、移転問題に大きな一歩が踏み出せた意義深い1日になりました。

ぜひとも今日の会議内容は一人でも多くの都民に正しく知っていただき、また「床が抜ける!」などの報道を繰り返してきたメディアに関しては、この結果を責任を持って報じていただきたいと強く望むものです。

それでは、また明日。

(2016年10月25日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)

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