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話題沸騰の「ブルーボトルコーヒー」 日本進出の地になぜ"清澄白河"を選んだのか?

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ここ数年、「サードウェーブコーヒー」という言葉を耳にします。なにやら厳かな名前がついておりますが、要約すれば「もっとうまいコーヒーを飲もうじゃないか」という、シンプルで人間らしい現象だと言えます。

さて、その「波」のはじまりは、サンフランシスコの小さなガレージに創られた、ひとつの小さなコーヒーショップでした。その名も"Blue Bottle Coffee"。オーガニックで新鮮な豆、フェアトレードにこだわり、自家焙煎してから48時間以内に提供する。純粋に「おいしさ」を追求したコーヒーは、多くの人に支持され話題になり、世界中にその名前を響かせることになりました。そして今、サードウェーブという巨大な波となって、日本までやってきたわけです。

そのブルーボトルコーヒー"世界初の海外進出"として選ばれたのが、日本の清澄白河です。先日発表されて瞬く間にニュースが広まりました。が、どうして清澄白河だったのか? いったい誰がオーガナイズしているのか? 日本でどんな展開が行われるのか? いろいろ聞きたいことがあります。

というわけで、日本進出のキーマンであるブルーボトルコーヒージャパンの石渡康嗣さんに会いにいってきました。

【本当においしいコーヒーを届けることについて】

石渡さんはちょっと変わった道を歩んできた人です。一橋大学を卒業後、大手メーカーに勤め、4年ほどで退社。その後、スターバックスコーヒー・ジャパンへ入り、全社を俯瞰できるバックスタッフとして活躍。コーヒー・チェーンの仕組みを学びました。それ以降、いくつものカフェ作りに携わり、その経験から、ブルーボトルコーヒー日本進出のキーマンとなったというわけです。控えめに言って、とても面白い経歴です。

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「食べることが好きだったのと、身の丈にあったビジネスをしたかった。それがカフェをスタートした理由でした。フットサル場の横にカフェをつくる計画を思いついて、友人たちと借金をしてお店をつくりました。うまくいかないことだらけでしたね。そこでは、当たらないマーケティングをさんざん学びました。自分では『刃を磨いだ時期』と呼んでいます(笑) 」

―― ブルーボトルコーヒーの人気、ブランド力を日本へ輸入するとなれば、商社など大企業の介入もあったのでは?

「日本の大手企業からのお誘いは実際にたくさんあったようです。そうなれば、全国の流通にのり、多くのお金を儲けることはできたと思います。だけど結果的に、彼らはそうしなかった。なぜなら原点に立ち返れば、それはブルーボトルがやりたいことではなかったからです」

―― ブルーボトルコーヒーのやりたいことって、どんなことですか?

「ブルーボトルコーヒーが目指すのは、『本当においしいコーヒーを届ける』という、とてもシンプルなことです。それは日本の展開でも変わりはありません。

おいしいコーヒーを届ける。シンプルだけど、とても奥が深いものです。それは大量消費・大量生産とは、なかなか相容れません。それを日本で実現したければ、自分たちのお金で、自分たちの目と手で、お店を創っていく以外に方法はない。それが結論でした」

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【銀座でも表参道でもなく、清澄白河へ】

―― どうして日本では、清澄白河という場所が選ばれたのでしょうか?

「創業者のジェームス・フリーマンは、日本の"喫茶店"に魅了され、そのカルチャーをアメリカへ輸入しました。それをアメリカらしく洗練させ、アメリカの文化として浸透させた。今度はそれを日本へ届けていくわけです。ブルーボトルコーヒーは、日本とアメリカの文化の往復のなかで生まれたコーヒーなんです。

だから投資してくれている人たちも、日本進出にとても好意的です。ひとつの理由は、最先端の日本のホスピタリティを学べるからです。それを本国にも還元すれば、ブランド全体の底上げになる。本国との人材交流は増やしていきたいですね。サンフランシスコに研修にいってもらったり、向こうからも日本に来て学んでもらいたい。アメリカと日本の良いカルチャーを融合させ、よりよいお店になればいいと考えています。

日本1号店の場所は、銀座でも、青山でも、渋谷でもない...。それはとても感覚的なものです。出店初日から大騒ぎになって、数年後には忘れ去られる。そういうブランドにはなってほしくないし、してはいけないという思いはありました。

だから、東京中を歩き、様々な場所を見ました。最もブルーボトルらしい空気があったのが清澄白河です。静かで、道が広くて、建物が高くなくて、空気がゆったり流れている。ちょっと歩けば、清澄庭園や現代美術館があって、門前仲町に囲まれている文化的な場所でもある。もちろん建物そのものにもこだわりました。焙煎工場とカフェを並列できる面積を有することも必要です。

本国に提案して了解を得ました。もちろん、清澄白河のことは誰も知りませんでした(笑)。でも結果的には、ブルーボトルコーヒーの決断は日本のファンに好意的に受け止められていると考えています。」

【 新しい「消費」の選択肢】

―― 今のコーヒー文化について、どう思われますか?

「例えば、世界中で浸透しているスターバックスが提供しているものは素晴らしいものです。彼らはサードプレイスという、最高の空間を提供した。コンビニコーヒーだって、缶コーヒーだって、生活の中である役割を担っている素晴らしいものです。

スターバックスは、いい空間を売っている。私たちは、おいしいコーヒーを売ります。それはまったく別のことです。我々は大量生産・供給で、本当においしいコーヒーを届けることは難しいと考えます。だから、ブルーボトルコーヒーでは均一的な大量供給の考えはありません。

コーヒーひとつをとっても、もっとたくさんの選択肢があっていいと思うんです。日本人が『選ぶ力を失っている』ことに、私は危機感を持っています。『誰もがどこでも同じものが買える』というのは、それはそれでいいことですが、それが進みすぎて『誰もがどこでも同じものしか買えない』という現状になっている気がしています。

コーヒーも農作物で、いつも同じ物が手に入るわけではありません。それは、知ってほしいことのひとつです。天候や時季によって収穫量は変化するし、当然売り切れもあります。

日本では、アメリカとは違う豆を提供することもあるかもしれませんし、それ応じて焙煎方法も変わります。なぜなら、気温も空気も天候も、人の味覚も違うからです。ブルーボトルコーヒーの哲学のもと、本国の焙煎士やシェフと一緒に、日本という地域にあった商品を開発していきます」

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【「広めたい」と思ってもらえるコーヒー】

「今、世界でオーガニックが受け入れられるのは、単純な味覚面だけでなく、その思想が選ばれているからだと思います。それを選ぶことが、少しでも社会がよくなることに繋がるという意識です。ブルーボトルコーヒーの投資家たちも同じ考えだと思います。金銭的なリターンを求めているわけではなく、それによって『おいしいコーヒーが社会に広まる』ことに貢献したいと考えてくれています。

例えば、結局のところ、いちばんおいしいコーヒーって『自分で淹れたコーヒー』なんだと、私は思います。僕たちはいい豆を仕入れて、それを丁寧に焙煎することが仕事です。その焙煎豆を、自分の居場所、例えば家やオフィスで、自分でグラインドし、自分でお湯を落とす。その一連の作業によってできたコーヒーが何よりおいしいと思います。

私たちがカフェで提供すると、400円前後になると思います。でも焙煎豆を買ってもらって、自分で淹れれば、一杯100円くらいになるのではないでしょうか? しかも自分で淹れたほうがゼッタイにおいしい。そのことでどれだけ人生が豊かになると思いますか? だから、ブルーボトルコーヒーではおいしいコーヒーの淹れ方も伝えていきたいと思います」

―― 日本1号店は、どんなお店になりますか?

「とにかく、近隣の人に毎日来てもらえる存在になりたいと思います。いいものを創る人がいて、いいものを選んでくれる人がいる。そういう新しい消費社会に貢献したいと思います。まずは一店舗ずつ、一杯ずつ、丁寧にやっていきたいと思います」

(取材・文/しらべぇ編集部・コピーライターの目のつけどころ)

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