コミュニティが主催する大規模カンファレンス そのスポンサー集め・アルバイト管理など運営の裏側を教えてください

MTDDC Meetup TOKYO 2015を企画運営したメンバーに集まっていただき、今回のイベントの良かった点と次回への学びを伺いました。

こんにちは、Six Apartブログ編集長のことぶきです。

昨年11月、Movable Type ユーザーグループ「MT東京」主催によるカンファレンス MTDDC Meetup TOKYO 2015 が開催されました。Movable Type の話にとどまらず、CMSやWeb全般の現在と未来を4トラック28セッションで語る、大規模カンファレンスです。

参加者が200人を超える規模のカンファレンスを、CMSのユーザーコミュニティ主催で運営するには、様々なご苦労があったはず。所属の異なるメンバー間の連絡手段、何十人ものスピーカーとの内容調整、会場確保、スポンサー集め、当日の運営、など考えるだけでも、やらねばならないことは多岐にわたります。

今回の記事では、Six Apartブログ アオキ執筆の勉強会ノウハウのシリーズ記事(企画&告知編開催直前&前日編登壇者との連絡編イベント当日編)の特別編として、MTDDC Meetup TOKYO 2015を企画運営したメンバーに集まっていただき、今回のイベントの良かった点と次回への学びを伺いました!

イベント運営のコツを教えてくださった5人

今回集まっていただいたのは、こちらの5人。みなさん、本業でも Movable Type に関わってくださり、MT東京のコミュニティに所属している方々です。

写真左から、

昨年(2014年)のMTDDCが成功したのでそのノリと勢いで、今年もまたMTDDC Meetup TOKYO 2015をやろうと思いましたね。もう少しまじめに言えば、Movable Type に携わる人、好きな人が増えたら嬉しいですし、そのことが自分たちのビジネスにもつながればいいな、という期待もありました

とは、能勢さんのお言葉。

さて、このメンバーを中心に企画されたカンファレンス開催の裏側を、聞いていきましょう。

イベント運営チームづくりとコミュニケーションについて

ことぶき:所属も地域も異なるコミュニティーのメンバーが中心となった今回のカンファレンス、どんな方々が関わっていたのですか?

柳谷:今回は、コアメンバーと言える人は10名ほどいました。その内、毎月1回スカイアーク社で行われる打ち合わせに参加していた人は7〜8人です。全員揃わなかったとしても、月1回集まって話が出来たのはやりやすかったですね。打ち合わせに参加できなかった方には、Backlogを使って連絡をしていました。他に、前日と当日の運営を手伝ってくださるスタッフが総勢40人ほどいました。

山田:40名の内、16名はアルバイトさんとして、謝礼をお支払いして手伝っていただきました。大学生と高校生8人ずつ、合計で16人です。アルバイトにお手伝いいただくのは、今後またこういったイベントをやる時も必須だと思っています。スタッフの自分たちも、できる限りセミナーを聞きたいですからね。

柳谷:アルバイトさんも多かったので、マニュアルをきっちり作って、それを見れば動けるように準備しました。マニュアルには、前日作業・入館案内・受付・司会・ランチ・懇親会の各担当ごとにやるべきことを、かなり細かく記載しています。資料はすべて、Google ドライブで共有。この資料はスタッフのためだけではなく、会場協力を頂いたマイクロソフトさんに対して「このようなオペレーションで実施します」という説明にも使いました。

山田:アルバイトの皆さんにスムーズに動いてもらうために、マニュアル以外にやったことといえば、ペアを組んで同じ担当になってもらったことです。休憩は必須ですが、ペアの二人の中で調整して柔軟に対応できるのが良かったですね。

スポンサーに対して

ことぶき:カンファレンスの公式サイトの下には、たくさんのスポンサー企業のロゴが並んでいます。どのようにコミュニケーションして、各社のご協力を得たのでしょうか?

柳谷:スポンサー集めに関しては、まず去年スポンサーしてくれた人にお願いしに行きましたね。今回新規でスポンサーのお申し出をくださったの会社も、数社ありました。

今年はプラチナ、ゴールド、シルバーの三種類のスポンサー枠を用意しました。去年はシルバーよりも、もっと小口のブロンズというスポンサー枠があったのですが、今年は用意しませんでした。ブロンズ枠でスポンサードしたいと言ってくださる方もいて、悩ましかったですね。他にもこれらの枠とは別に、紙袋や水、会場スポンサーのご協力もいただいています。

山田:スポンサーに喜んでいただけるような受け皿を用意するのが重要だと思っています。その会社が何をプロモーションしたいのかを事前に聞いておいて、それがやりやすいセッションや準備をしておくこと。たとえばWordPressの会社の方にスポンサードしてもらう場合、Movable Typeのイベントの中でどうすればスポンサーと参加者双方にとってメリットを感じてもらえるかも考えました。

受付のフローは?

ことぶき:実際に参加してみて、今回のイベント受付はとってもスムーズだったように思います。受付後から会場までの誘導も案内してくださる方がいてわかりやすかったです。どういうことに気をつけていたのですか?

川竹:300名近くの来場者の受付を1人1分で完了させるために、受付は4列必要と想定しました。今回、スタッフ6人、アルバイト8人の合計14人体制で受付対応をしました。まず4列で来場者を受付、その後2人が配布物手渡し、ゲートを通るところとエレベーター誘導にそれぞれ1人という体制で対応しました。受付のスタッフ配置を手厚くしていたのは正解でしたね。おかげでスムーズな入場につながったと思います。去年のMTDDCの受付がかなり並んでいたということを聞いていたので、お金のやり取りは先払いにし、当日の受付でのやり取りを減らしたのも功を奏しました。

ことぶき:参加者のタイプに合わせて、数種のネームホルダーを用意していましたよね。

川竹:はい。今回は学生も歓迎していたので、未成年の方も参加いただきました。セミナーや懇親会での配慮のために、未成年であるとわかるようネームホルダーに明記しましたね。また、写真撮影NGの方も、カメラマンの方にわかるようネームホルダーの色を変える対応をしました。

懇親会とLTについて

ことぶき:懇親会の最中に数名のLT(ライトニングトーク、5分ほどのミニプレゼン)があったり、盛り上がっていましたね。

藤本:はい。LTは懇親会の途中で実施しました。飛び込みも含めて8人、1人5分でしゃべってもらいました。

山田:懇親会の最中に行うので、懇親に夢中で聞いてない人もいるのが難しいところですね。盛り上げてくれそうな人にLTを頼むというのもありますが、関係者も前で盛り上げた方が良いかなと思います。会場の広さに対して、マイクの音量が小さかったかな、というのも反省点の一つです。

今回のイベントからの学び

ことぶき:最後におひとりずつ、今回のイベントを振り返ってのコメントをいただけますか?

川竹:個人的な反省点としては、担当を受けすぎたなと思っています。運営チームとしては受付だけですが、ロフトワークのセッションに登壇したり、CMS座談会のモデレーターもやりました。

スタッフに入るとなると、セッションと両方を一人でやるのは無理だなと思ったので、ロフトワークの社員にも声をかけて一緒にセッションを実施しました。MTDDCに限らず、技術寄りのイベントに出てこない社内のメンバーに、イベントの雰囲気を伝えられたのも良かったですね。

受付について言えば、寒さ対策をもう少し考えねばいけなかったなと思っています。アルバイトの子たちには、コートを着て対応してもらいました。次回の反省点です。

山田:今回スタッフTシャツを用意したのですが、配布前にアルバイトの人たち何人かに「Tシャツ何色ですか?デザインは?」と聞かれました。若い子は、おしゃれ気にするんですね。

「Tシャツの上から、何か羽織っていいですか?」と聞かれたりもして、デザインが隠れちゃうとTシャツを作った意味がないので、コーディネート例を出すとかしてもよかったかなあと(笑)。

真面目な話をすると、WordPressやEC-CUBEとか他のイベントと比較すると、MTのイベントは他のCMSの話も多いんですよね。多くの人にMTというCMSを知ってもらいたい、というのもイベントの目的の一つなので、あえてそうしています。MTに特化したテクニカルな内容にすると、MTを知ってる人しか来ない。CMS座談会というセッションを用意して、他のCMSと合わせて知ってもらうための機会を作れたのが良かったなと思っています。他のCMSの話をきっかけに、MTの存在を知って、MTすごいじゃん使ってみようという人が出てきているという実感がありますね。

藤本:当日はレポート担当だったので、全部のセッションを自由に聞けたので良かったです。逆に言えば、他のスタッフはろくに聞けていないのではないかというのが、心残りですね。経理担当としては、ケータリングの手配で想定外のことがあり予算オーバーになってしまったのが反省点です。ともあれ、無事に終わってよかったと思っています。

能勢:MTDDC Meetup TOKYO は、MT東京のいつもの定例イベントに集まる人だけではなく、全国のコミュニティのメンバーが集まってくれる場になっているのが、ありがたいですよね。

地域や興味、職種の垣根を超えた規模のイベントになっているのがうれしいです。「MTDDC」の「DDC」は"Designer & Developer Conference"の頭文字なのですが、デザイナーや開発者にかぎらず、広報や法務の方にも登壇や参加いただけました。

柳谷:委員長としては無事に終わったのが、とにかく一番良かったです!200人を超える規模のイベントを無事成功できたのは、多くのスタッフやアルバイトの協力と、スポンサードしてくださる会社のお陰です。

ただ、集客が予定よりやや少なかったことをはじめ、課題はたくさんありました。

MTDDC Meetup TOKYOは、年に一回多くの地域から参加者が集まってきてくれるお祭り的な意味もあって、大規模に開催しています。規模が大きくなった分、セッションが増え、対応するスタッフも必要で、肝心のMT東京のメンバーがイベント運営スタッフとして忙しく、満足にセッションを聴講できない場面もあった、というのも反省点の一つですね。

当日は忙しすぎてどなたが来てくださっていたか把握しきれていなかったのですが、全国各地から多く参加くださっていたようです。このイベントをきっかけに参加者同志のいいつながりができていたはずだと、確信しています。

まとめ

以上、MTDDC Meetup TOKYO 2015運営チームの皆さんのインタビューでした。

登壇者のセッション内容ももちろん重要ですが、参加者としてはイベント運営側のホスピタリティも気になるものです。今回、私がひとりの参加者として思ったのは、入場受付からキーノート会場までの誘導、4トラックにわかれた部屋毎の司会担当の進行、懇親会の運営までスムーズだったこと。それは、事前の綿密かつ大量の準備と当日の連携の取れたスタッフ陣から生まれたものであることがわかりました。

そして、今回インタビューに参加いただいた方たちをはじめ多くのコミュニティのメンバーの皆さんが、自分たちが使う製品を盛り上げていきたいという共通の思いを持って運営くださったことを改めて感じました。今回のMT東京の皆さんのお話が、これからイベントを企画・運営される皆さんの参考になれば幸いです。

6月にはMT東北主催のMTDDC Meetup TOHOKU 2016が予定されているそうです。こちらも楽しみです!

以上、Six Apartブログことぶきでした。

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