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松岡宗嗣 Headshot

いま、カミングアウトについて考えたいこと。

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深夜2時31分。付き合っているパートナーからLINEがきた。

「母さんと姉ちゃんにカミングアウトした」

3人で話をしていた時に、ふとパートナーが「今悩んでいることがある」と切り出した。「それはLGBTと関係があること?」と聞き返されたことをきっかけにカミングアウトしたそう。今までの人生のことを母と姉に伝え、3人で号泣しながら語り合った。

母親と姉から「言ってくれてありがとう。」という言葉と、以前パートナーがLGBTに関心があることを話した時から、実は色々調べていたことを伝えられた。

今まで会話の中でセクシュアリティについて触れた時は何回もあったそう。「理解できない」という言葉や「まさかあなたは違うよね」「まさか付き合っているわけじゃないよね」という否定的な言葉も耳にしていた。テレビにオネェと呼ばれるタレントが登場するとチャンネルを変えられる時もあった。

「家族が大好きだからこそ、伝えたいけれども伝えられない。」そんな思いをパートナーから聞いていたので、カミングアウトの話を聞いて自分のことのように嬉しかった。


家族を含む様々な関係性の中で、セクシュアリティに限らず衝突やすれちがいは必ず起きることだと思う。絶対に途切れることのないつながりなんてむしろ存在しないとも思う。それが無知や偏見によるものであることもきっと多い。
でも、決してそれは"終わり"ではない。いつだって途切れても、気づいて、振り返って、また結びなおすことができる。
そんな関係性ってとても素敵だと思う。

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身近な人ほどカミングアウトが難しい



ここ数日、芸能人のカミングアウトが続いた。

"新世代オネエ"ぺえ、両親へカミングアウトの瞬間に「号泣」の声殺到 母の複雑な本音も...「慎平らしく生きて」 - モデルプレス

「2人にカミングアウトする前にテレビで言っちゃったじゃん?今オネエタレントでやっていてどう思っているんだろうなってのはすごくある」と恐る恐る本題を切り出す。「はっきりとした言葉は聞いてないよ」と促す母親に対して「恋愛対象が...男っていうか...」とぺえが明かすと、父親は「あんまり聞きたくない」と正直に言葉を濁した。

翌日、ぺえが「中途半端な気持ちでやっているわけじゃないから応援してほしいと思ってる」と改めて告げると、母親は「複雑だね、やっぱり」と涙。「『困ったな』と思ったり、『そうなんだ』って思ったり、『嘘だと良いな』と思ったり、そう思うけど、子どもが幸せでいるのが一番親は嬉しいから」と本音を語りつつも、応援することを心に決め、父親も「慎平(本名)が幸せであればうちら夫婦も幸せ」とエール。

「まだまだ同性愛がどこでも理解される世の中ではないかもしれない。カミングアウト出来ずに悩んでいる人もいると思います。無理にとは言いませんが勇気をだしてさらけ出してみると凄く気持ちが楽になります。もっと毎日が楽しくなるかもしれません。私はカミングアウトしたこと後悔していません!」

「タッチ」声優・三ツ矢雄二、カミングアウトが話題 ゲイであるとテレビ初告白 - シネマトゥデイ

アニメ「タッチ」の上杉達也役などで知られる声優の三ツ矢雄二が12日深夜に放送されたバラエティー番組「じっくり聞いタロウ~スター近況(秘)報告」(テレビ東京)でゲイであることをテレビ初告白し、話題になっている。

これまで自身のセクシャリティーについて聞かれるたびに「グレーゾーン」と言葉を濁してきた三ツ矢だが、番組でそのことについて突っ込まれると、「あれは理由があって、兄がいるんですけど、兄が定年退職するまではちょっと曖昧にしておこうと。会社で何か言われると兄に迷惑がかかると思ったので」と説明し、「兄が定年退職しちゃったんで『もういっか!』ということで」と発言。

LGBTにとって、まだまだカミングアウトしづらい現状がある。NHKが2015年10月に実施したアンケートによると、カミングアウトした人のうち、その相手は友人が最も多く、過半数が最も身近な家族や職場の同僚などに打ち明けられていない。

毎日会う人や、身近な人になればなるほど、カミングアウトすると「このコミュニティに居続けることはできなくなるのではないか」という不安や恐れからカミングアウトすることが難しい。また、LGBTという枠組みで語られつつも多様なセクシュアリティがある中、それぞれがカミングアウトする時にぶつかる壁もまた様々である。

そんな中、この2人がそれぞれ身近で大切な関係のことを思い、家族や広く世間にカミングアウトした勇気は本当に素晴らしいものだと思った。

カミングアウトするのは、相手を信頼しているから


カミングアウトするということは、相手を信頼している証拠。その人とこれからも友人として、家族として、仕事仲間として、様々な関係の中で"嘘をつかなければいけない"自分ではなく、ありのままの自分でこれからも関わっていきたいから伝えるのではないかと思う。

「カミングアウトされたらどう応えたらいいの?」という質問をよく受ける。カミングアウトされた側も、どういう言葉をかけたらいいのか、どう応えた方が誰も傷つかなくて済むのか、どこまで聞いて良いのか、きっと戸惑うと思う。だからこそ、どう応えるかに正解はない。

カミングアウトされた人は「きっとこの人は自分を信頼してくれているんだ」と思って肯定的に受け止めて欲しい。そして疑問に思ったことは自分自身のモラルに従って、素直に聞いてみて欲しい。そうやって会話を重ねることで、その関係性は今までよりもっと素敵なものになっていくと思う。

カミングアウトは一度きりで決着がつくことではない。もしかしたら、1度目のカミングアウトでは心ない言葉をかけられてしまうかもしれない。それでも少しずつお互いに歩み寄っていくことで、きっと相手の心のどこかにその言葉は響くはず。カミングアウトしてからがスタート。ゆっくりで良いので会話を重ねていって欲しい。

カミングアウトするしないを選択できる世の中へ


もちろんカミングアウトすることが"正義"ではない。カミングアウトする、しないを自分が選択でき、どちらを選んだとしても不利益を被ることのない社会になると良い。有名人がカミングアウトしても、特にメディアに取り上げられることのないほどそれがあたりまえな世の中になると良いと思うし、そうしていきたい。

だから、その社会が実現するまでは、カミングアウトしたいと思った人を全力で応援したいし、勇気を振り絞って誰かに伝えることができた人を、私は全力で祝福していきたい。